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【FMCT】パキスタン、米国

”Fissile Material Cutoff Plan Seen Harming Pakistan” GSN, 2011.1.24】
●パキスタン外相は、現在提案されている兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)はパキスタンの戦略的安全保障を脅かすものだとの主張
●防衛アナリストのShireen Mazariは、国際社会が、インドに適用してきたのと同じスタンダードでパキスタンの核計画を判断すれば、パキスタンはFMCTの承認を検討するかもしれないとの見方を示した

Gottemoeller, “2011 Opening Statement to the Conference on Disarmament” US State Department, 2011.1.27】
●(CD以外に)FMCTを交渉するのに適したworld bodyはない
●もしCDにおいて交渉を開始する方法を見つけ出すことができないのであれば、他の選択肢を検討する必要が出てくるであろう。
●今、交渉開始に合意できないのであれば、FMCTに関するCDでの交渉の準備として、幅広いFMCT問題に関するrobust plenary discussionのアイディアを強く支持する

米露議会による新START批准承認

【米上院の批准承認】
●2010年12月22日、米上院は新STARTの批准を承認(71対26)
●批准承認に際して採択された決議の概要
-新STARTの制限に適合しないレベルにICBMあるいはSLBMへの通常弾頭の配備が必要だと大統領が決定する場合、大統領はその決定の理由に関して上院と協議
-条約発効から1年以内に、非戦略(戦術)核兵器の米露間の不均衡に対応し、検証可能な方法で戦術核兵器を削減するための協定に関するロシアとの交渉を開始することを模索
-条約は、第5条3項の要求を除き、ミサイル防衛の配備にいかなる制限も課さないと理解;ロシアの一方的声明は米国に法的義務を課すものではない;新STARTの前文は、当事国に法的義務を課すものではない

【ロシア議会の批准承認】
●ロシア下院が2011年1月25日、350対96で新START批准を承認。また上院も翌日、批准を承認。
●米上院が批准承認の際に、新STARTによって米国のミサイル防衛配備が制限を受けないとの付帯条件を盛り込んだ決議を採択したことを受けて、ロシア議会もロシアが新STARTから脱退する条件などを規定した批准法を制定。
-新STARTの前文は、条約条文の理解のために重要
-戦略攻撃兵器と戦略防御兵器の関係は、戦略核兵器が削減されるにつれ、より重要に
-ロシアの戦略核戦力の効果を大きく減じる能力を持つミサイル防衛システムの米国あるいは他国による配備は、ロシアによる新START破棄の理由の一つ
-(ロシアが配備を開始している)機動性弾頭に関する情報の公開を禁止
-米国に、欧州から戦術核兵器を撤去するよう求める
-戦術核兵器に関する交渉は、幅広い安全保障の構図の一部としてのみ行われ、ミサイル防衛、通常長距離兵器、宇宙の軍事化、欧州における通常戦力の不均衡などを考慮に入れるべき
(批准法の概要は、Sokov, “New START Ratification in Russia,” CNS, Jan25 による

【XXXXX】
●米露が批准書を交換すれば、条約が発効(これにより、2002年のモスクワ条約は失効)
●START1の失効によって途絶えていた米露間の戦略攻撃戦力に関する検証が再び実施される
●批准に当たって米露議会がそれぞれ採択した文書は、ミサイル防衛、通常グローバル攻撃能力、戦術核軍縮などに関する両国の主張の相違を明らかにしている。
●戦略弾道ミサイルに対応する米国のミサイル防衛能力は、現状ではアラスカおよびカリフォルニアに配備される30基のGMDのみで、当面、ロシアの戦略核戦力を弱体化させるものではない。ロシアのより大きな懸念は米国が欧州に2018年より配備する予定のSM-3だと思われるが、その能力や配備規模、あるいは米・NATOとロシアのミサイル防衛協力の動向によって、ロシアの戦略核戦力にもたらし得る含意も大きく変わってくるのではないか。
●米露の非戦略核兵器に関する軍備管理については、米露間の非対称性(保有数は米国の数百発に対して、ロシアは2000発)、米国の欧州に対する拡大抑止との関係に加えて、2012年に米露ともに大統領選挙を控えていることもあり、短期的には具体的な成果が挙がるとは考えにくいように思われる。

【対印原子力協力】日印交渉の停滞、豪州、パキスタン(2/4追記)

Mainichi Daily News, Jan 24】
●日印原子力協力協定交渉は、日本からの機微技術(濃縮・再処理)の移転に関する禁止を含めるか否かを巡って対立。また日本のmachinery and materialsを用いて建設された原子炉から生じる使用済み燃料をインドが再処理できるか(インドは事前同意を日本が与えるよう要求)についても意見の相違
●日本は、インドが核実験モラトリアムを破った場合に、原子力技術の移転を停止するとの文言を含めるよう模索。インドはこれに反対。

Medcalf, “Time to Sell Uranium to India” The Age, Jan21】
●豪州はインドへのウラン売却を行うべき
●ウラン売却に関して豪州が交渉でさえも拒否していることは、豪印がnatural partners( multicultural democracies facing shared challenges and hopes in the Asian century)であるとの事実を否定するもの+インドの急速な経済発展、共通の安全保障上の懸念(テロ、中国の台頭の潜在的な影響など)
●豪州はハワード政権下でウラン売却を決定した。インドは、豪州がインドを信頼していないためウラン売却を行わないと考えている
●米印合意以降、米国、カナダ、そして日本さえも、インドとの原子力協力を模索。外交に理想的な結果はなく、不完全な決定のみ。

”Pakistan Warns against India Nuclear Support,” Dawn, Jan 25】
●パキスタンのZamir Akram大使はCDで、インドに対するNSGメンバー国などによる原子力協力は、南アジアの安全保障を一層不安定化させるとし、“As a consequence Pakistan will be forced to take measures to ensure the credibility of its deterrence. The cumulative impact would be to destabilise the security environment in South Asia and beyond”と述べた

“India to Lobby for Joining Nuclear Suppliers Group” GSN, Jan 31, 2011】
●インドはNSGのメンバー国に承認されるよう、働きかけを行っており、米国はすでにインドの参加を支持すると表明している


【XXXXX】
●インドとの原子力協力に関しては、現在の国際関係における日本にとってのインドの戦略的な重要性、あるいはエネルギー安全保障、地球温暖化問題などグローバルイシューとの関係など、幅広いアジェンダとの関係を考える必要。
●核不拡散は、その中の1つの要素に過ぎないとみることもできるが、他方で、インドとの原子力協力が中長期的に核兵器の一層の拡散に(間接的に)影響を与えないとは断言できず、その場合、国際安全保障は大きく不安定化する可能性があることも留意する必要がある。インドとの原子力協力が核不拡散体制の観点からいかなるインプリケーションを与えるかについては、絶えず考えなければならない。
●対印原子力協力が核不拡散体制にネガティブな影響をもたらさないようにするため、あるいはインドを核不拡散体制に取り込む一助とするためにも、日本はインドとの原子力協定の策定にあたって、核実験モラトリアムを含む核軍縮・不拡散措置へのインドによる一層のコミットメントを得る努力を継続すべきだと思われる。

【イラン】P5+1・イラン協議の決裂(2011.1)

●1.21~22日に行われたイラン核問題に関するP5+1とイランの協議は、協議継続には合意したものの、意見の対立
●P5+1はイランに、ウラン濃縮の停止などを定めた安保理決議の遵守を要求したのに対して、イランは経済制裁の解除を強く求めた、ウラン濃縮の停止にも応じないと主張

【XXXXX】
●米国を中心とした西側諸国による圧力は、当面は継続される。他方、仮にイランに一層の圧力を行使することを考える場合、さらなる経済制裁措置などの手段はあるのかという問題も
●米国は中国などが対イラン制裁の実施に消極的だとしており、こうした国に安保理決議の厳格な実施に対する要求を一層高めていく可能性→これにより、イランへの圧力を高める。ただし、産油国としてのイランとの関係を悪化させたくないという誘因から、そうした国が米国の要求を容易に受け入れるとも考えにくい。
●イラン国内で、米国など西側諸国との対決派と協調派のせめぎあいがどのように収斂していくかによって、今後のP5+1との協議の流れが変わる可能性

米中首脳会談(2011.1)

米中首脳会談
共同声明(US-China Joint Statement)1.19】
●(パラ9)健全、安定的かつ信頼できる軍軍関係が、ポジティブ、協力的かつ包括的な米中関係のための両大統領の共有するビジョンに重要であることを再確認。各レベルで強化され実質的な対話およびコミュニケーションの必要性に合意
●(パラ17)米中は、核兵器のない世界の実現に向けたコミットメント、国際核不拡散体制の必要性を強調;CTBTの早期発効を支持、CDにおけるFMCT交渉の早期開始の支持を再確認、核セキュリティに関する一層の協力をnoteし、Center of Excellence on Nuclear Security in Chinaの設置についてMOUに署名
●(パラ18)朝鮮半島問題:北朝鮮のウラン濃縮計画に懸念を表明(北朝鮮による哨戒艦攻撃や延坪島攻撃など挑発行為に関しては具体的な言及はなし)
●「核心的利益の尊重」は記されず(ただし、「核心的利益の尊重」が記されている2009年の「共同声明をより強く再確認した」との一文)

共同会見、1.19】
●オバマ:中国の台頭は歓迎するが、それが紛争の原因とならず、国際ルールや規範を強化し、国際社会の平和と安全を高めるような台頭であるべきだ

クリントン演説(14日)】
●米中関係は「重要な岐路にきた」
●The world is looking to China, and there’s a lot of excitement about this, because we think that there are ways that China can be a unique leader in the 21st century. Embracing the obligations that come with being a 21st century power will help to realize a future that will give the Chinese people even more, in fact, unimagined opportunities. But that means accepting a share of the burden of solving common problems, abiding by and helping to shape a rules-based international order.
●北朝鮮問題:北朝鮮とuniqueなつながりを持ち、また6者会談の議長国として、中国は北朝鮮の行動を形成するのを助ける特別な役割を担っている

NYT, Jan 20】
●オバマ大統領は胡錦濤国家主席に対して、中国が北朝鮮への圧力を強めなければ、米国は北朝鮮の攻撃から防御するために、アジアに米軍を再配備しなければならなくなるだろうと警告(米軍の再配備、防衛体制の変更、北東アジアにおける軍事演習の強化など)

【XXXXX】
●米中は複雑な関係;難問も少なくない(人民元、人権問題、台湾、アジアにおける中国の攻撃的な姿勢);経済を中心とした相互依存関係;地域問題、世界的な問題で、米国は中国の協力が必要
●オバマ政権は当初、中国と協調関係の構築に向けて、関与を重視する姿勢→米国や国際社会が直面する課題で中国の協力を期待(「責任ある利害共有国」として)→しかし、中国は国益を重視する姿勢+十分な協力は得られず+国益を前面に押し出すような行動+既存の秩序には縛られないかのような姿勢→米国に対中警戒論の高まり
●首脳会談では、双方ともに冷静にマネージしようとする姿勢←「対決」の難しい関係