なんとなく読んでみたくなる、不思議な長~い小説というか自叙伝?。
日本語訳では400字詰め原稿用紙10,000枚、9,609,000文字数にも及び、「最も長い小説」としてギネス世界記録で認定されている。脳科学者の茂木健一郎さんのツイートをきっかけに読んでみようと思った、」茂木さんは英訳で読んでいるそうです。
同じような内容なんだろうけど、繰り返し丁寧に書き綴られている。
独特な長い表現方法、暗喩
何となく、深く考えずに100年前のフランス上流階級の一コマに入り込んでいく。
1900年前後のフランス・パリのごく一部の上流社会の絵画的世界、現代風にいえばアート感覚がちりばめられた豊かな文章を味わいながら、1巻から14巻まで約5ヶ月間を通し今、最終巻の14巻目を丁寧に読んでいる。
最初のほうから、
「可能なものを現実にしたり現実から排除したりするのは、かならずしも天才の管轄ではないからだ。
天賦の才がありながら鉄道や飛行機の将来を信じなかった人もいれば、偉大な心理学者でありながらはるか凡庸な人にも見抜けたはずの愛人や友人の不実が信じられなかった人もいる。」
7 ゲルマントのほう Ⅲ
「どんな家にも不幸な人が住んでいるのを知ったことである。こちらは夫の浮気のせいで絶えず涙を流している妻が、あちらでは夫と妻の立場が逆になっている、別の家では働き者の母親が酔っぱらいの息子に手ひどく殴られているが、おとなり近所の人にはその苦痛を見せまいと、人類の半数はまさに泣いている。」
この小説が長いと感じるとき、漠然とした内容で、改行がないまま20スページ以上続くような文章が幾度とある。
どこかで一度切りたいと思っても、切りずらく。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20230924/13/acdepo/7e/d0/j/o1280085315342139329.jpg?caw=800)
内容は延々と同じようなことが綴られているのではないんだろうが。
小説は非日常を愉しむことができる手段であるが、本書はまるで夢の中にいるような、別世界にいるような錯覚を楽しめる。約1世紀前に書かれた、今では考えられない、1900年前後、
日本でもこの時期に,歴史に残る名作が数多く書かれている。まさしく19世紀から20世紀は、文章による芸術の時代だったのかもと思える?
14巻を並べてみた、
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231026/07/acdepo/cb/12/j/o1280085315355816215.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20231026/07/acdepo/51/6f/j/o1280085315355816242.jpg?caw=800)
7月から読み始めて、とうとう最終巻まできてしまった。
13巻で、『「自分にはものを書くことなど絶対にできないだろう」文学的才能の欠如を痛感した』と書いている。
生涯、両親、祖母からの資産を食いつぶしながら書き続けてきた作品を否定している。
その作品が、フランスでは、いや世界的に評価は高い。
読破後次に何を読もうか?少し寂しさを感じる。
そして今朝訃報が届いた。幼馴染がすい臓がんで旅立たれた。「メメント モリ(memento mori)」
※11月21日に読破できました。