サピエンス全史の著者ユヴァル・ノア・ハラリによると
「産業革命前から地球平均気温の上昇を1.5%以内に抑えよう」というパリ協定で合意された気候危機回避に対する目標に対し、
この目標は一体、今後更にどれぐらいのコストで達成可能なのか、国際エネルギー機関(IEA)が試算した結果、世界の国内総生産額(GDP)約9,700兆円の「2%=約194兆円」の投資で達成可能だといいます。
また世界の経済学者も、
最近ロイター通信が気候変動を研究する経済学者を対象に実施した調査では、炭素排出量を実質ゼロにするには世界のGDPのわずか2~3%しか必要ないということで大半の回答者の意見が一致した。
と同意見。そしてIPCC(気候変動に関する政府間パネル)も同意見。
同パネルが2018年に発表した画期的な報告では、気温の上昇を1・5度に抑えるには、クリーンエネルギーへの年間投資額を世界のGDPの3%前後まで増やす必要があるとされた。人類はすでにクリーンエネルギーにGDPの約1%を費やしているのだから、あと2%分増やすだけで足りるのだ!
しかも、ハラリによれば、この194兆円のコストは、コストではなく投資によって達成可能だというのです。つまりグリーンディールとして194兆円投資すれば、1.5℃達成可能。
この数字は、どれだけ現実的か、というと、
*アメリカが、第二次世界大戦に費やした軍事費は、米国GDPの35%
*リーマンショックでアメリカが金融機関救済のために注入した金額は、米国GDPの3.5%
*新型コロナのパンデミックに全世界がつぎ込んだ景気刺激策は、世界GDPの14%
気候危機対策には、ベストセラー「人新世の資本論」で斉藤幸平のいう「現代版大衆のアヘン」たる、資本主義の延長線上にあるSDGsのような安易な対策で、十分可能だということです。
日本の一経済学者が主張する意見よりも、世界の経済学者や国際機関のIPCC、IEA
などの試算の方が信用性が高いと思うので、どうやら資本主義社会は、社会主義に転換しなくてもいいようです。