52歳で実践アーリーリタイア

52歳で実践アーリーリタイア

52歳で早期退職し、自分の興味あることについて、過去に考えたことを現代に振り返って検証し、今思ったことを未来で検証するため、ここに書き留めています。

2008年より17年間続けたこのブログ「52歳でアーリーリタイア」は、直近の過剰なポップアップ広告に悩まされて気軽にアップすることが困難になったため、泣く泣く本日202516日よりnoteに引越します。

 

以下で、ここの直近の内容をコピペしつつ継続予定。

 

 

 
 
 

なお、このブログは削除せず、記念にそのまま残しておきます。

 

私の身勝手で拙い文章にもかかわらず、長い間、お読みいただいた方、フォローいただいた方に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

 

また、広告には悩まされたものの、長期間、無料で利用させていただきアメブロ運営の方にも感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

国民民主党のスローガン「対決より解決」にインスパイアされ、自分だったらこの年頭にあたり、どんなスローガンがいいだろうと考えた。そしてそれは

 

「排除より共存」

 

年末のイスラエルの歴史学者「ユヴァル・ノア・ハラリ」も言っていましたが、

 

 

結局、真実というものは複数あって一つではない。私たちはそれを受け入れていくしかないのです。

 

私たち人間は、みな幸せを願って生きているのであり、その幸せは100人いれば100通りであって何が幸せかは、人それぞれ違うんです。

 

だから私たちは、幸せの元となる価値観(何が快適て何が不快か)も人それぞれ違う。なので社会的動物である人間は、自分と異なった価値観(幸せの方向)を排除するのではなく、共存すれなよい。

 

つまり「何が普遍的に正しいか(「良いか」でもよい)」は存在しないわけだから、あらゆる正しさを、共存させる。

 

それこそが唯一普遍的に正しいこと。

 

だからこそ、私たちはみな異なった考え方に寛容であるよう訓練(教育)されるべきだし、内面化していくべきこと。

 

そのうえで、私たちは法に反しない範囲で、自分の幸福を求めればよい。

 

「法」はさまざまな人の幸福を整理整頓するツール。お互いの幸福を追求しあうと衝突してしまう場合もあるので、できるだけ衝突しないよう、整理して判断していくもの。そして、それ以上であってはならない。

 

(モロッコのサハラ砂漠とオアシス。2024年11月撮影)

 

でもそうはいっても、嫌なヤツはいるし、嫌な社会もある。

 

なので、自分が嫌だと思う人や社会からは、できるだけ遠ざかれば良いだけ。決して排除するのではない。

 

排除の論理は、そもそも私たちが持っている憎しみの感情を増幅させてしまいます。そして仲違いが起き、国家同士であれば戦争・紛争が起きる。

 

嫌なヤツの考え方を理解する必要もないし、受け入れる必要もない。でもその存在は認める。つまりほっとけば良い

もちろん理解し、受け入れようと努力することはなおよし

 

そうやって対処していけば「排除」する必要がなくなくなります。

 

私たちは、みな生まれた時代も環境も土地も違うし、先天的に持っている遺伝子も違う。すべてが同じ人はこの世界に誰もいません(一卵性双子の方でさえ)。

 

だから違っていて当たり前なんです。だから違いの存在は認めるのです。そして共存していけば良い。排除するのが一番良くないんですね。

2024年も12月28日に至り、私たちの資産の利回りは名目「+14.6%」、今年のインフレ率2.2加味で実質「+12.4%」と年間目標実質利回り「3-3.5%」を大幅に上回りました。

 

昨年(名目+14%、実質+11%)に続く劇的な上昇。

 

今年の運用成績が好調な理由は、大幅な円安と世界的な株高。積立で人気の世界株インデックスファンド=オルカンは、eMAXIS slimでなんと年率33%の利回りだから世界株だけで運用していたら、もっととんでもないことになっていました。

 

かといって世界株は暴落したら半分ぐらいになってしまう可能性が高いので、ハイリスクといえばハイリスク。今年NISAで運用始めた人は、毎年こんなに儲けが出るとは思わないほうがいい。

 

そして私がアーリーリタイアして以降、直近5年間の平均利回りは「7.2」なので、想定をはるかに超える成績となっています。生活費として毎年目減りしているので単純比較はできないものの、仮に元本10万円を年間で7.2%の利回りを複利で計算すると以下のようになります。

 

つまり10万円が、14万円(1.4倍)に増えるのです。

 

最近つくづく感じるのは、持つものと持たざる者の格差の拡大。でも持たざる者だって頑張って貯蓄して投資すれば、同じ恩恵が享受できるということ。つまり問題は「投資をするかしないか」ということ。

 

毎日の生活が苦しくても、少しでもいいから余剰資金を作って(NISA口座で)投資していく、そうすれば、きっとお金がお金を生んでいく。そして複利のマジックでとんでもないことになる。

 

フランスの経済学者トマ・ピケティの法則(労働収益率よりも資本収益率のほうが高い)は、今も通用するということです。

■ポートフォリオ

私の現時点のポートフォリオは以下の通り。おおよそ債券50%、株式35%、現金含むその他15%の割合で投資しています。株価暴落時の対策として10%位程度持ちたいと思っているので、徐々に株式から金に資産を振り替え中です。

 

 

最終的には債券45%、株式35%、金など15%、現金5%くらいをイメージしています。この構成比で運用すると過去20年の実績平均利回りは%(シャープレシオ0.74)と相当にリスクも抑えられています。仮にリーマン級の大暴落が起きても▲27%まで抑えられます。

■外貨比率

米ドル73%、日本円27、と日本株のシェア拡大(+ポイント)若干日本円のシェアが上昇(+1%)。

 

今年は、日銀が金利をどれだけ上げるかどうか、が日本の投資にあたっての一番大きなトピックスだと思ってましたが、想定通りそんなに日銀が金利を上げるわけにもいかず、超低金利が続いています。

 

したがって、国内債券での運用ができない状況は、ここ数年ずっと継続。債券の場合は金利が下がらないと値上がりしないのですが、日本はあまりに金利が低すぎて下げる余地がない。そして今後も金利が上がる可能性の方が圧倒的に高い。つまり債券価格が下がる可能性があまりにも大きすぎるのです。

 

この結果、主となる日本円建ての資産は日本株だけにならざるを得ず、結果的に外貨建てメインになっているというのが今の状況。

 

今後もこの傾向は続きそうなので、私たちの外貨比率はしばらくは高止まりしそうです。

■今後の方針

2024年も2023年に続き大幅な円安と大幅な株高が続き、ちょっと怖い感じがしています。

 

したがって引き続き、金ETF(&投資信託)の購入は積立ベースで増やしつつ、もうちょっと株式は現金化しておこうかな、と考えています。円安と株高のダブル効果で世界株が毎年20%・30%で株が上昇していくってちょっと異常だと思っているので。

 

でもこれは何の根拠もありません。心理的にちょっと怖いな、ということです。

 

来年は何といってもトランプ大統領の年なので、トランプがどのような手を出すか、によって経済は大きく左右されそうです。

 

とはいえ、「遠い」将来の経済成長はある程度予測できますが、「近い」将来の経済状況は誰にもわからないという、いつものセオリーは今後も同じ。日々経済状況を追いかけつつ柔軟に対応していこうと思います。

 

 

******

以上は私の個人的な投資の実績と方針です。自分で投資する際は自己責任でよろしくお願いします。

 

私はアーリーリタイアして無職で給与所得がないので「税金払ってないじゃないか」というご批判も受けそうなんですが、たぶんわたしの場合は今年(2024年)、平均年収の方よりも多く所得税をお支払いすることになると思います。

 

もちろん別途、消費税10%(または8%)や、住まいの固定資産税もお支払いしています。

 

無職のわたしの場合、所得税・住民税の対象は、金融資産の譲渡益(キャピタルゲイン)と配当金・利子所得(インカムゲイン)。

 

証券会社の特定口座をチェックしたら、この両方合計で、今年わたしは所得税を本年度100万円超、お支払いすることになりそうです。

 

この金額は人によって控除額が違うので微妙ではありますが、おおよ年収500万円の人の金額と同じくらいの金額だから日本人の平均年収(460万円)の人より多くお支払いすることになると思います。

 

基本的に金融資産の収入に伴う税金は「所得税&住民税」で、累進課税の対象となる給与所得とは別に徴収されちゃいます。いわゆる分離課税(退職金も分離課税)。

 

わたしみたいな事例は大したことないですが、富裕層になると相当に金融資産からの所得が多いでしょうが、これは累進課税ではないので、1億円儲けようが10万円儲けようが、税金は一律約20%(≒20.315%)です。

 

これは不平等だとして、金融資産からの利益(キャピタルゲイン+インカムゲイン)にも累進が必要だ、あるいは給与所得と同じ総合課税に含めるべきだ、という意見もあるようです。

 

しかしながら金融資産って、所得税・住民税や相続税を支払った後、つまり課税された後に残ったお金で購入されたものなので、これにさらに税金をかけるとなるといわゆる「二重課税」になってしまいます(実際に今は二重課税状態)。いわゆる税金の二重取りです(ガソリン・タバコ・酒などへの消費税も同じ構図)。

 

一方で、リーマンショックなどで損した場合、国から補填されるかどうかについては、一切補填はありません(ただし特定口座の損益計算は確定申告で3年繰越可能)。儲かった時だけ税金払うのですね。

 

ということで特にキャピタルゲインへの課税は相当に不公平に感じているので、金融所得への課税はこれ以上の重税は勘弁してほしいな、と思っています。

 

*比叡山延暦寺:宗教法人は公益性が高いので非課税(ただし物販などの事業は課税対象)。

前回「ポルシェへの道」で紹介の通り、発注してから納車までの1年余りの時間は、中古のBMW Z4Mロードスター(約600万円)を購入して、ポルシェ718ボクスターGTS4.0が納車されるまで、直6エンジン楽しもうと思ったのですが、問い合わせした某ポルシェ販売店から、

 

「左ハンドル6MTなら、この車はどうでしょう」

 

ということで、とある718ボクスターGTSを紹介される。これは中古ではなくて、まさに今船便でドイツから日本に向かっている途中の新車だという。

 

これはどういうことかというと、当販売店がイベント用に特別にオプションをコーディネートした車だそう。イベントに参加されるお客様に「718ボクスターってこんな車ですよ」という車だから、販売店なりに相当にこだわったオプションを設定した車(残念ながら納期遅れでイベントに展示できず!)。

 

したがってオプションだけで300万円越えに。

 

でも300万円越えのレベル感ってタイヘンなことで、なぜかというと、上級車種の911カレラのベース車両(約1,700万円)とほとんど値段が変わらなくなってしまうんですね。

 

*718ボクスターGTS 約1,300万円+オプション約300400万円=約1,6001,700万円

 

 

もしこの車でよければ、他のお客様から注文が入っていない限りは、私にいかがでしょうか?ということで、勧められたのです。

 

当然ながらそのオプションの詳細をご提供いただき、実際に自分でポルシェHPでコンフィギュレーターという、各種オプションのセッティング画面でチェック。

 

 

そうすると、これでもか、とばかりに外装・内装・メカ含めて細かく設定されており、

 

*シート

 アダプティブ・スポーツ・シート・プラス電動18ウェイ、メモリー・パッケージ付き+514,000円

*ホイール

 20インチ Carreraスポーツホイール +481,000円

 

などは高額だし、個人的にオーバースペックかな、とは思ったものの、その完璧な仕様に自分では、ここまでできないな、と脱帽。

 

 

特にこだわっているのは展示用ということもあって内装のこだわりです。

 

 

ポルシェは、外装色はもちろん、内装もどの部分にどの材料(革とかアルカンタラとか・・・)でどの色を使用するか、シートベルトに至るまで細かく設定できるんです。

 

(試しにシートの中央をブラウンにして各種トリムを外装のイエローと同色にし、シートベルトもイエローに統一するとこんな感じ)

 

ポルシェって実際自分で発注する場合には、販売店の営業の方のサポートを受けつつ、こうやって外装から内装からメカから、ありとあらゆるパーツを決めていくんですね。

 

(インストルメントパネルもクロノメーターもすべてイエローに統一できます。もちろん別色でもOK)

 

これが面倒臭いという人もいるらしいのですが、ポルシェに乗るような人だったら、車好きも多いでしょうから、そんなニーズに適った対応なんでしょう。

 

そんなポルシェですが、私のようなポルシェに乗ったことのないポルシェシロウトがコーディネートするよりポルシェ販売専業店のプロがこだわって選んだ仕様の方が、それだけの価値があるのではないかと想定。

 

ある意味プロが無料で仕様を作ってくれた車両ともいえる。したがって自分で選ぶよりもより素晴らしいGTSになっていると確信し、予約確定。

 

販売店に伺い予約金50万円をクレジットで入金し、船で日本に向かって渡航中の車両を押さえました。

 

なお、私はアーリーリタイアの無職組なのでローンは組めません。自分のポートフォリオの最適解を睨みつつ、どの資産をどの程度売却するか、現在思案中。

 

到着するのは1月下旬から2月初めとのことで、実際に実車が来たら、またレポートしたいと思います。楽しみです。

 

 

 

<概要>

「地球は平らである」など、各種科学否定論者の紹介とその思考方法、および彼らに対する説得方法について論じた著作。

<コメント>

本書のタイトル『エビデンスを嫌う人たち』は翻訳者または編集者による意訳で、本書にエビデンスに関する記述はほとんどありません

 

本書の原題をそのまま訳せば「科学を否定する人々とどうやって話すべきか(How to Talk to a Science Denier・・・)」という感じです。

 

結論的には、

 

科学否定論者に寄り添い、人間的信頼を得たうえで、誠実に事実を説明して説得すればよい

 

ということ。最悪なのは頭ごなしに相手を否定すること。以下、著者の名言

 

足りなかったのは情報ではなく信頼だった(本書124頁)

信頼を築き、敬意を示し、話を聞き、冷静でいるよう努めるべきなのだ。同意できないからと相手に敵意を向けてみても、反感を買うだけだ。

本書139頁

 科学否定論者に対する説得方法は、科学否定論者に限らず、いかに異なる意見の人を自分の意見に同意してもらうか、という相手を説得する方法としても納得のいく手法ではないか、と思います。

▪️本書に対する違和感

さて、これまで哲学を学んできた自分としては、本書の内容は、若干違和感を感じる内容。科学だけが絶対だとして他の考え方を「間違っている」と否定するのは、いかがなものかと思ってしまうのです。

 

本書に登場する「地球は本当は平らである」というような極端な科学否定論であっても、私の考えではそれはそれで一つの考え方であり、それを信じる彼らにとっては「正しい」ことです。

 

それはアイデンティティであり、信念。思想として「地球は平らである」ことを信じており、信じることによって連帯感が生まれ、彼らは救われているともいえる。

 

実際に本書でも「フラットアース国際会議FEIC(Flat Earth International Conference)」という地球が平らであるという考えに賛同する人たちの集まりがあるのですが、この辺りは宗教の構造と同じです。

 

ちなみに本書でも、熱心なキリスト教徒の科学否定論者も登場します。「進化論はおかしい」「神は存在する」など。これらも彼らにとっては「正しい」わけで、それを科学的視点から「おかしい」というのはナンセンス。

 

神の存在や創世記について科学的にはいくらでも否定できるでしょうが、それはあくまで「キリスト教・ユダヤ教を科学の物差しでみれば」という条件付き。

 

宗教の世界観に科学を持ち込んでもまったく意味がありません。

 

科学的思考しか認められないのであれば、世の中の14億人いるというイスラーム教徒をはじめとした世界中に存在する宗教信者は、どうやって生きていけばいいのでしょう。むしろ何も信じていない無宗教者の方が世界的にはマイナーな存在なのに。

 

しかし、この辺りへの言及は残念ながら本書にはありません。

 

科学だけが正当であり、それ以外は間違っている」という著者のような考え方でしたら、すべての宗教は成り立ちません。

 

大半は無宗教たる私たち日本人でさえ、神社仏閣で「おみくじ」を引いて一喜一憂し、厄除けに神社に行って安心し、初詣に行ってお祈りするなど、私たちは科学的視点からはみれば「トンチンカン」なことを、今でもありがたくやっている。

 

むしろ大切なのは「公と私」の使い分けです。

 

「公」の領域では、科学はじめとした啓蒙主義で正しいか間違っているか、を判断し、「私」の領域ではそれぞれの個人信条に従う、というように、私たちの中に二つの領域を保持するのがより納得的な世界解釈の方法ではないかと思います。

 

そういう意味では著者のいう「教科書に進化論を当然掲載すべき」というのは同感です。教科書ではこう書いてあって公の世界では進化論だけれども、家に帰って信仰の世界に入れば「この世は神が創造した」でいいのではないでしょうか。

 

さて、個別に興味深いエピソードを以下メモります。

▪️科学否定論者の類型

科学否定論者が自分の考えを信じる類型としては「以下の5つの類型に整理できる」と言いますが、これはすべての信念(価値観や思想)に当てはまりそうです。

⑴証拠のチェリーピッキング

自分にとって都合のよい証拠(=チェリー)だけをピッキングして自分の考えを信じる。でも誰でもそうしますよね。

 

古代ローマ帝国のカエサル曰く「人は見たいものしか見ない」。20世紀最大の哲学者ともいわれる「マルティン・ハイデガー」も同じようなことを言ってます。

⑵陰謀論への傾倒

著者によれば陰謀論とは「なんらかの邪悪な目的を達成しようとする悪意をもった闇の勢力に関する言説」とでも定義できるかもしれない。とのことですがこれも何を「闇の勢力」と認定するかは、人によって異なるので、陰謀論と認定することも難しい。

 

ただ、本書で納得できるのは何らかの大災害が起きたときに「陰謀論」は拡散しやすい、傾向があるということ。今回のコロナでもさまざまな陰謀論が登場したのは記憶に新しい。

⑶偽物の専門家への依存

これも判断が難しい。誰が偽物で誰が本物なのか、どうやって私たちシロウトは判断すればいいのだろう。最近は最も信用のおけるマスメディアさえ信用できなことがある時代です。ひたすら自分のリテラシーを上げていくしかないのかもしれません。

⑷非論理的な推論

基本的にロジックだけで成立する信念は、科学や哲学の世界なので、この辺りで似非科学や陰謀論は否定できるかもしれません。

 

本書の中に具体的に活用できる好例が紹介されています。

あなたは、相手の理論を信じているわけではないと明言しつつも、もし説得力のある証拠を持っているのなら喜んで検討する準備がある、と最初に伝えることができる。

本書147頁

とし、自分の考えとは異なることを明示したうえで、相手の理論を真摯に受け止めてその理論を理解しようと努力することです。そのあとで自分の理論を冷静に伝えるという方法。

 

相手の理論には相手の理論なりのロジックがあるはずで、そのロジックをちゃんと受け止めたうえで、自分の理論を説明しないと、相手が「そういう考え方もあるかもしれない」というふうにはならないのでは、ということです。

⑸科学への現実離れした期待

エビデンスとはそもそも何か?」でも紹介した通り、科学の理論が定説に至るには、その理論を複数の専門家が証明したり、間違いがないかチェックしたり、など何段階ものステップを踏んだうえで固まっていくものです。

 

一方で、科学では新しい証拠が絶えず登場し、定説であっても当たらしい証拠によって修正されたり、捨て去られたり、と、常にアップデートされる性格を持ちます。

 

したがって科学への過剰な期待を逆手にとって科学否定論者が、だから「科学は信用できない」とするのではなく、この科学の特性を前提に理解を得る、ということ。

科学ではなにかを正しいとみなすために確実性を証明する必要はない。その代わり科学には「保証(理由づけ)」という考え方がある。これはつまり、ある理論を支持する十分な証拠があり、かつ、その理論に反証がないか厳格に検証されている場合、将来新たな証拠が出てきて覆される感応性は常にあるにせよ、現時点でそれを真実だと信じる合理的根拠があるとみなせるということだ。

(本書100頁)

 

この後、本書では「気候変動は人為的要因であること」「ワクチンは有効であること」「遺伝子組み換え植物は安全であること」など、すでに科学的には定説となっているにもかかわらず、否定論者が多い理論についての具体事例の詳細が項目立てて多くのページが割かれていますので、興味のある方は一読をお勧めします。

 

ちなみに多くの日本人は「遺伝子組み換え」については懐疑的なので、日本にも多くの科学否定論者がいる、ということです。

引き続き林英恵著『健康になる技術 大全』より運動編。

 

 

以前、古人類学者のダニエル・E・リーバーマンの運動に関する著作『運動の神話』や、

 

 

ジェレミー・デ・シルバの同『直列二足歩行の人類史』を複数回にわたって紹介しましたが、

 

 

おおよそ内容的には同じような説が紹介されており、より信頼性の高いエビデンスであるとの検証にもなりました。

 

さて日本人の場合、運動習慣のある人(=週30分以上の運動を年以上続けている人)は、20歳以上の男性で平均33.4%、女性で25.1%だそうです。身体活動の不足は日本人の死亡要因の第4位ですから運動不足がもたらす影響は大きいということでしょう。

 

それでは、いつものように以下興味深いポイントを整理。

▪️「運動」というより「体を動かすこと」が大事

これは、上のリーバーマンの主張する原始狩猟社会の人たちからの知見とまったく同じ。

休んでいる時、つまり座っているときは、背もたれ椅子はないので地べたに座り、会話をしつつ、足を入れ替えたり、ちょっとものをとったり、と長時間じっと座っていることはありません。ちなみにタンザニアのハッザ族の例では、調査した結果、通常15分間同じ姿勢を続けることはない、

私のブログ「座ることは不健康・・・」より)

本書においては「体を動かすこと」が重要で、「運動」に加えて、生活や家事などの日常生活における労働・通勤・通学なども入る、ということ。

 

なのでジムでの筋肉トレーニングとか、わざわざスポーツウエアに着替えてジョギングすることに加え、休まずに家事をひたすらコツコツとやっている人も相当に健康に近いらしい。

 

厚生労働省的には65歳以上は1日40分以上、元気に体を動かすこと。18歳ー64歳の人は1日60分以上、元気に体を動かすことを推奨。

 

(マッターホルン:2014年8月撮影)

▪️座ることは不健康

これも見事に古人類学者たちの知見と同じ。

 

「家のソファに座ってじっとテレビをみている」だとか「デスクチェアに座ってデスクワークする」みたいにまったく体を動かさない状態が健康に悪い。

 

最近の研究(2018年、2020年)でも、座っている時間が長いと、様々な病気のリスクや死亡の危険性を増やすことがわかっているらしい。一番良いのは体をよく動かしていて座る時間も短い人。


一方で運動する時間が長くても、それ以上に座っている時間が長い(1日8時間以上)場合は、死亡リスクが10%増えるというエビデンスあり。

 

さらに一番活動的な人(週61時間のジョギング相当)に比べて、18時間以上座っている人の死亡リスクは約60%上昇するという、いかに長時間座ると不健康になるのか、というエビデンスも紹介しています。

 

(ニセコアンヌプリ。2022年2月撮影)

▪️運動しないと人間が「死ぬ」原因になる

上で紹介した古人類学者のリーバーマンやデ・シルバによれば、人間(ホモ・サピエンス=現生人類)は「歩くことがデフォルト」であり、人間の身体の構造は、直立2足歩行に一番マッチするよう設計されている、とのこと。

 

本書では歩行に限らず、体を動かすことは、死亡率全体や循環器系の疾患の死亡率の低下と関連しているといいます。そして運動または体を動かすことは、心臓病や大腸がんや乳がん、糖尿病、高血圧、骨粗しょう症や肥満、腰痛や店頭による骨折などのリスクの予防にもなる。

 

さらにメンタル的には、うつの予防になるのに加えて、認知症の発症リスクを抑えたり、ストレスや不安を解消したりするなどの効果もあるという。

 

(富士山:2020年2月撮影)

▪️運動には4つの種類がある

運動といっても様々な運動がありますが、ここでは以下4つのタイプ「有酸素運動」「筋力トレーニング」「ストレッチ」「バランス」を組み合わせるとより理想的だそう。

 

⑴有酸素運動

酸素を体に取り込んで、筋肉を動かすためのエネルギーとなる脂肪を燃焼させる運動。具体的にはランニング、サイクリング、水泳など。

⑵筋力トレーニング

年齢とともに失われる筋肉量や筋力を増強する運動。具体的にはウエイトリフティング、スクワット、ピラティスなど。

 

⑶ストレッチ

年齢とともに失われる筋肉や腱の柔軟性を保ちます。具体的にはストレッチ、ヨガなど。

 

⑷バランス

止まったり動いたりしているときに、自分の姿勢を維持できる能力を鍛える運動。具体的には太極拳、ヨガ、ピラティス、バランスボールを使った運動など。

 

▪️運動をどうやって習慣づけするか

それでは、運動や体を動かすことがいいのは理解したのですが、具体的にどうやって日常生活の中に取り入れるか、様々な事例が紹介されています。

 

⑴体を動かすことで気分が良くなる経験をする

1度でもいいので、体を動かすことで「楽しい」「嬉しい」「面白い」という気分を経験することがまずは大事。

 

何か達成したら自分にご褒美!というインセンティブ方式も一部エビデンスがあるのですが、それほど強力なエビデンスではなく専門家の間でも議論が分かれているそう。

 

むしろ「体験そのもののポジティブな経験こそが継続性に大きな影響がある」という強いエビデンス(=認知バイアス)があるので、いろいろ試してみて「自分が楽しい」と思う運動を見つければいいのでは、と思います。

⑵変化を実感する

特に女性の場合は、運動の結果、体重が減ったりスタイルが良くなったり、などの自分が望んでいる結果を出ると、大きなモチベーションになり、運動を継続する動機づけになるとのこと。

⑶競争する

ゲーム感覚で仲間やグループ間で万歩計などの歩数や距離などの記録で競争しあうと、より継続するモチベーションになります。ランニングでもサイクリングでも「距離を競う」「時間を競う」などのアプリを活用することも有効だとか。

⑷目標をもって記録する

専門的には「セルフモニタリング」というそうですが、スマホでも紙のノートでも目標とともに記録を続け、目標を達成すれば達成感を味わえます。この経験が大きなモチベーションになるといいます。

⑸コミュニティに参加する

誰かと一緒に、たとえばチームでスポーツする、と一人でスポーツするよりも健康に良いというけけて結果があります。高齢者の場合は誰かと一緒に運動することで自分が健康だと感じる度合いが高くなったり、鬱のリスクが軽減されたりするらしい。

⑹どんなに忙しくてもルーティンはやめない

これはなんとなくわかる気がします。私の場合、毎日の中にルーティンを作って、時にやめてしまうとなんとなく心がしっくりこない時があります。たとえば仕事の帰りに勤務先から30分かかる駅にわざわざ徒歩で帰っていたのですが、たまに勤務場所近隣で飲みに行った場合、やはり同じように30分かかる駅まで歩かないと、なんとなくモヤモヤした気持ちが残ってしまう。

 

著者の通うハーバード大学の先生たちは、出張に行った時も必ずジョギングシューズを持って行くとか、ヨガマットを持って行くとかで、毎日のルーティントレーニングをできるだけ中断しないようにしている、といいます。ジムに通う先生の場合は、出張先のホテルには必ずジムがあるかどうか、などを確認する人も多いとか。

 

(山形県 鳥海山麓にて:2020年7月撮影)

 

以上、エビデンスに基づく健康の法則は、運動については人類学者たちの知見とほとんど変わらなかった、というのが印象的でした。

 

個人的には、週4−5回のピラティス約1時間、週1回のサイクリング2−3時間の他、毎日できるだけ7,500歩以上歩くようにしています(現時点2024年1日あたりの平均歩数は8,221歩)。

 

したがって、運動に関しては健康の法則にだいぶ近いですが、今後も継続していくことが大事かな、と思います。

引き続き林英恵著『健康になる技術 大全』より今回は食事編です。

 

 

前回エビデンスとは何か?について紹介しましたが、

 

 

今回はそのエビデンスに基づき、食事について健康に良いこと、健康に悪いことは何か?

 

そして具体的にどのような打ち手が効果的なのか?整理してみました。

 

日本の研究によると、日本人の死因リスクのトップ10のうち「塩分取りすぎ」「酒の飲み過ぎ」などがエントリーされているなど、食生活の改善は死因リスク低減のためには大きな効果がありそうです。

 

(本書46頁)

▪️より多く摂取すべき食材・料理

日本人の場合、これは想定通り「野菜「果物」です。野菜や果物を摂取している人ほど死亡率が低くなる傾向があります。具体的には、約80g食べるごとに5−6%死亡率が低下。これは主に欧米の研究結果から明らかに(日本人対象の研究は2022年同じような結果に)。

 

*果物を食べれば食べるほど「脳卒中」「循環器疾患」による死亡率が低下します。

の摂取が多い人ほど、循環器疾患による死亡率が低下します。

*ブルーベリーやイチゴなどのベリー類やブドウ、リンゴを食べる人ほど、糖尿病のリスクが低い。

 

(今はなき帝国ホテルの「ラ・ブラセリー」にて)

 

栄養学的には、食物繊維やカリウム、ビタミンなど豊富な栄養素が多く含まれているから野菜や果物を多く摂取すべき、とのこと。

 

(銀座ギリシア料理「アポロ」にて)

▪️より控えるべき食材・料理

摂取すべきではない、というか摂取しすぎると有害なものとしては、日本人では「塩」であり「お酒」、そして哺乳動物の肉(赤肉)、飽和脂肪酸(動物性脂肪、ココナッツオイル・パーム油)、砂糖です。

⑴「」日本人が最も注意すべき調味料

これもよく言われることですが、エビデンスとしても、日本人の食生活は至って健康ではあるものの、唯一問題なのは塩分摂取量が多すぎること。

 

上で紹介した通り、塩分の取りすぎは、日本人死亡率ランキング第6位で、食品部門では堂々たる第位です。塩の過剰摂取は血圧を上げるとともに「慢性腎臓病」「心臓病」「脳卒中」のリスクが上がり、「骨粗しょう症」「胃がん」との関連性も指摘されています。

 

塩分摂取で特に要注意なのが加工食品。

 

先進国では過剰な塩の摂取の7080%以上が、料理の時に自分で入れる塩ではなく、サンドイッチやピザなどのすでに加工された食品からだと言われています。日本の場合は特にコンビニの惣菜が要注意。某大手コンビニのおにぎり1個食べると1.3gの塩分摂取となり、コンビニおにぎり二つ食べれば1日あたりの塩分gの半分以上を摂取することになってしまうのです。

 

したがって、私たちはできるだけ自炊することが塩分を抑えるのに有効だということ。

お酒:ドラッグの毒性としてはトップクラス

イスラーム圏以外では、ドラッグ扱いされていない唯一のドラッグがお酒(アルコール)でしょう。アルコールは、依存度では大麻よりはるかに高く(大麻8.9%、アルコール22.7%)、年間アルコール摂取が要因で死亡する人は年間300万人と、この数字はタバコ要因とほぼ同数。

 

本来であれば、アルコールは一部イスラーム圏同様、薬物として禁止すべきドラッグなんですが歴史的にも文化的にも生活習慣にどっぷり浸かったドラッグなので禁止できない、というのが現状(禁止しても実効性が低い)。

 

本書では少しのお酒ならOKとのことですが、より最新の研究では1滴でもお酒は飲まない方が良いという論文が複数発表されており、アルコールに関するエビデンスも今後変わる可能性が高そうに思います。

 

 

あと面白かったのは、飲むお酒の種類で、健康への影響が変わるというエビデンスはないということ。一般に日本酒やワインのような醸造酒よりも焼酎などの蒸留酒の方が体への負荷が小さい、と言われているように感じますが、種類によってリスクは変わる、という科学的根拠はないそうです。

 

ビールのプリン体問題も、日本人対象の研究では「高尿酸血症の発症率は、ビールを飲んでいたグループでも日本酒を飲んでいたグループでもほぼ同様で、摂取量が多い人ほど発症率が高い(本書249頁)とのこと。

哺乳動物の肉:大腸がんの主要因

牛・豚・羊・馬・山羊などの哺乳動物の肉は「赤肉」と呼ばれ、1日100g摂取するごとに大腸がんのリスクが17%増加すると言われています。

 

(地元のトンカツや「バンブー」にてヒレカツ)

 

さらにこれらを加工した加工肉(ハム・ソーセージなど)は1日50g摂取するごとに大腸がんのリスクが18%増加すると推定されています。

 

ちなみに日本では大腸がんは2018年時点で死亡数第1位、2019年で死亡数第2位のがんなので、より注意が必要ということか。

 

また赤肉と加工肉の摂取が多いほど、脳卒中・心筋梗塞などの動脈硬化による循環器疾患や糖尿病のリスクが高いことが認められているそう。

 

がんの国際的機関WCRFは、赤肉は多くても料理後の重さで1週間350500g以上食べないこと、また加工肉は食べるとしたらほんの少しだけにとどめておくべき、としています。

 

(滋賀県「松喜屋」にて近江牛のたたき)

 

さらに赤肉が厄介なのは、付随する脂=動物性脂肪も過剰摂取が有害だということ。動物性脂肪は「飽和脂肪酸」の一種で、過剰な摂取は多くの欧米の研究から不飽和脂肪酸(オリーブ油・ゴマ油等)と比較して血液中のLDLコレステロールを増やすことが知られ、そこから心疾患との関連があると言われます。

 

日本人対象の研究では、飽和脂肪酸を比較的多く摂取する人たちでは心筋梗塞のリスクが高く。少ない摂取のグループでは脳卒中のリスクが高いという結果が出ています(心疾患については欧米ほどではない)。

 

だったら「私たちは何の肉を食べればいいの」ということになりますが「白肉」と呼ばれる鳥類の肉(鶏や鴨など)や魚肉は、赤肉のようなリスクはないそうです。ちなみに著者は「魚」以外の肉は一切食べないそうです。

 

(地元の焼き鳥屋「鳥きよ」にて)

 

個人的にはハム・ソーセージ・ウインナーの類はできるだけ食べないようにしています。

 

(銀座「座屋」にて鰹のタタキ)

▪️摂取しても意味不明の食事・料理

ここでは、巷に溢れる「これを食べると良い」的情報の精度について詳しく紹介してくれています。私が特に面白かったのは「エビデンスの飛躍」。

⑴エビデンスの飛躍

例えば「牛乳を飲むと、骨粗しょう症になりにくい」という仮説がよく言われますが、これはエビデンスではありません。

 

確かに

①牛乳を飲むとカルシウム摂取量が増えるため骨の強度アップになる。

②骨の強度があると、骨粗しょう症にはなりにくい。

ところが、牛乳と骨折や骨粗しょう症のリスクとの関連を表す直接のエビデンスはありません。

 

つまり「牛乳を飲むと骨が強化される」「骨の強度が上がると骨粗しょう症にはなりにくくなる」のはそれぞれ個別のエビデンスですが「牛乳を飲んで骨粗しょう症になりにくくなる」という直接的なエビデンスがない限り、エビデンスにはならないということ。

 

この2段階のエビデンスは「エビデンスの飛躍」といって確かなエビデンスにはなりません。一見これでいいじゃないかと私も思ってしまったのですが科学的にはバツ。

 

この場合は「牛乳を飲むと骨粗鬆症が減った」という、牛乳と骨粗しょう症を直接つなぐエビデンスでないとエビデンスとはいえないのです。

 

実はこのような言説は巷に多くあって、例えば「豚しゃぶは疲労回復に効く」と紹介するテレビ番組があり、この場合は、

 

豚しゃぶを食べたら疲労回復につながった」という直接的なエビデンスがなければいけないのですが(実際にはこのようなエビデンスはない)、この番組では、

 

→豚しゃぶを食べる

→豚肉にはタンパク質やビタミンB1が含まれている(エビデンスあり)

→タンパク質やビタミンB1は疲労回復効果のあるアルブミンなどのいくつかの健康の指標に影響を与える(エビデンスあり)

 

とはいうものの「豚肉を食べると疲労回復につながった」という直接的なエビデンスがない限り、エビデンスとは言えないのです。

⑵ほとんどエビデンスがないという「サプリメント」

今や世界のサプリメント市場は、約1232億ドル(約12兆円)と巨大市場ですが、驚くことにサプリメントの健康や予防に関するエビデンスは一部を除きほとんどないのが現状。したがって基本的には栄養は通常の食事から摂ることが勧められています。

 

サプリメントのエビデンスは前回紹介したエビデンスピラミッドのうち、エビデンスには値しない「一部専門家の紹介」「一つの実験結果」「お金を出せば掲載される専門誌に掲載された論文」など、メタアナラシスとしてのエビデンスには到底及ばない仮説レベルのものがほとんど

 

例えば消費者庁が管理する「特定保険食品」や「栄養機能食品」も食品としての分類で、その有効性は仮説レベルがほとんど。

 

著者曰く

足りないものをサプリメントで補えばなんとかなるほど科学は単純ではない

本書265頁

⑶「オーガニック食品」有効なエビデンスが皆無

オーガニックとは、例えば日本では「農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された」農産物や畜産物、鉱産物加工食品」(有機JASマーク)とのこと。

 

問題なのは「オーガニック食品と普通の食品のどちらが良いのか」に関して、まだ長期にわたる質の高いエビデンスはない、ということ。つまりオーガニックが私たちの健康にいいのかどうか、は現時点では不明なのです。

 

なぜなのかというと、検証が難しいから。

 

一般にオーガニック志向の人は生活そのものが健康的な人が多く、オーガニックを食べていることだけで健康なのかどうか、の検証が困難。そして抗生物質や遺伝子組み換えなど、特定の商品が慢性的な害を与えるかどうか、薬のような臨床テストが倫理上難しく、動物実験の結果に頼るしかありません。

 

つまり有効かどうか、調べようがないのが現状。

 

ちなみに栄養価については、2012年の代表的な論文では、オーガニック食品の方が特に栄養価が優れているということはないと結論が導かれています。

 

私たち夫婦は、連れがアレルギー体質のため、毎日スーパーの野菜の倍高いオーガニック系の野菜(らでぃっしゅぼーや)を食べていますが、本当にこれが効果的なのかどうか、は不明だということです。

 

(同上「ぶり大根」)

▪️食生活における具体的改善方法

公衆衛生学者としての著者は、この項目が特に専門とのことで、具体的事例が多く紹介されています。

⑴住む場所は、野菜や果物を買いやすい場所を選ぶ

駅からの帰り道に手頃な値段で売っているスーパーがある、八百屋がある、など引越しする際の選択肢の中に野菜や果物が買いやすい場所かどうか、を検討項目に入れる。

⑵料理のメニューや盛り付けを工夫する

これは料理作る人が大変かもしれませんが、料理の種類が多いほど野菜を取りやすい、という法則があります。行動科学の理論上、野菜や果物を食べる量を増やしたいときは、ビュッフェのように料理の数が多いと野菜や果物の摂取量が増えるとのこと。

⑶家庭菜園をやってみる

これは特に子供に効果的だそうです。庭やプランターなどで野菜を自分で育てると、より積極的に野菜を食べようとする意志が働くというエビデンスがあります。

 

⑷できるだけ自炊する

繰り返しになりますが、結論的には自炊が一番いいですね。コンビニなどの惣菜も外食も一般的に味が濃く(=塩が多い)、動物性脂肪も多いと思われます。

 

個人的には、唯一外食で健康的なのは「高級和食」かもしれません。

 

でもしょっちゅう行ける場所でもないので、自炊がいいということです。どうしても肉や酒を摂取したい場合は「月に一度」とか「記念日」だとか、ある程度食べる日を決めておくのも手ではないかと思います。

 

 

復活させた車道楽ですが、よくよく考えた結果、以下の条件で新車・中古問わず探索し、結論的にはポルシェ718 Boxster GTS 4.0を予約。

 

(ポルシェH Pより)

 

復活させる車選択の条件は以下の通り。

①オープンであること

ユーノス・ロードスター保有時のあの真冬の常磐道でのオープン巡航が忘れられない体験だったのです。屋根があるかないかは大きくて、(体験した人は知っていると思いますが)オープンカーは、まったく別の乗り物と言っても過言ではありません。

②エンジンが自然吸気(NA)であること

アウディの4気筒ターボ保有したものの、やはり自然な吹け上がりの自然吸気が欲しい。できれば直列か水平対向エンジンがほしい。

③マニュアル車であること

マニュアルでないならレンタカーで十分かなと言うくらいマニュアル好み。もともとオートマのぬるぬるしたギアチェンジが嫌いだったのですが、大昔にVWがデュアルクラッチトランスミッションを採用して「これだったらオートマ車でもいいかな」と思ったのですが、実際試乗してみるとギアチェンジのぬるぬる感はなかったものの、やはりクラッチペダルがないと運転している実感がわかないのです。

 

これはもう心理的要因と言うべきもので理屈ではありません。

 

渋滞の時はマニュアル大変で「この時だけはオートマであれば」と思うものの。。。私の場合、車は移動手段ではなく運転の喜びを味わうためなので、その程度の不便は我慢。

④エンジンが後ろにあること

前回コメントした通り、これまでの車遍歴はすべてエンジンが前の車だったので、できればエンジンが後ろにある車。そうすると、ポルシェの他、ホンダS660、トヨタMR2などマニュアル車以上に車種が相当限られてしまいます。

 

 

ということで、今回選択肢に入れたのは以下、三つの車種とその試乗体験含めた感想です。

▪️選択した購入候補の車種

⑴ポルシェ981 ボクスター(中古)

現行型718からみると、981は先代のボクスターで、すべてエンジンは気筒の自然吸気だし、私の四つの条件(オープン、NAエンジン、マニュアル、MRかRR)にぴったりです。左右両ハンドルの位置も確認したかったので双方を在庫している某ポルシェショップ訪問。

 

 

友人から「ポルシェの右ハンドルは、ペダルレイアウト悪いよ」って聞いていた通り、相当にペダル位置が悪い。特にアクセルの位置が中に寄りすぎていて、ちょっと右足の居心地が悪いんですね。

 

逆に左ハンドルだとペダル位置が理想的で、自然な位置にある。そして外車特有のウインカーの位置は、右ハンドルだと特にマニュアルにおいてバランスが悪いのです。

【日本で左ハンドルを選択する理由】

外車の場合、左ハンドルがデフォルトなので、両手の運転操作のバランスがよい。特にマニュアル車の場合は、右手はシフトチェンジ、左手はウインカー。逆に右ハンドルの場合はこの操作をすべて左手で操作するという、アンバランスな運転になってしまう。

 

一方で左ハンドルは、乗り降りだとか、右折・右車線への車線変更はしにくいというデメリットあり。とはいえ、これは逆に左折・左車線への変更はしやすいということでもあり、結局外車は左ハンドル選択すべし、ということ。

さて実際に981運転してみると走行感だとかハンドルの感触だなどの操舵感とかは、いかにもスポーツカーでカッチリしていて素晴らしいんですが、本当に残念だったのは、エンジンがイマイチなこと。

 

エンジンの吹け上がりはそれなりでパワーもしっかりあるんですが(265ps)なんですが、音がこもりがちでスッキリ感がないのです。残念。この車はパス。

 

やはり、ほんの少しでもいいから乗ってみないと車はわからないです。

 

(価格も600ー700万円と理想的ではあったのですが。。。)

⑵BMW Z4 Mロードスター(中古)

実は、昨年個人カーシェアでお借りした、E46のM3の直6エンジンが素晴らしく良かったので、そのエンジン(S54型の3.2L直列6気筒エンジン)と同じエンジンを搭載するオープンカーBMWZ4 Mロードスターも候補。

 

エンジンはフロントレイアウトではあるものの、以前BMW130iに乗っていたので、BMW直6(N52型)の素晴らしさは十分に味わってていたのですが、特にこのS54は、世界最高峰の内燃機関ではないか、と思うほどの美しくも激しいエンジン。

 

実際に試乗させていただいたところ、その余りのエンジンの素晴らしさに「これしかないな」という気分に。M3に試乗した時の記憶通りで、音といいエンジンの回り方といい、なんともドラマチックなエンジンで、このエンジンを回すためにこの車が欲しい、という感じ。しかし、いかんせんトランクが狭すぎる!

 

それでも、あまりにも気に入りすぎて手付金1万円払って在庫キープ(ちなみに718に決めた後、キャンセルしたら返金してくれるかな、とかすかに希望して電話したら、やっぱり返金不可でした)。

 

(本当にトランクが狭くてあまりにもつらい)

⑶ポルシェ718ボクスターGTS 4.0(新車)

GTSは人気があって「注文してから納車まで最低1年はかかる」と言われている車種。したがって、実は中古よりも新車の方が高くなりがちだという希少な車。それだけリセールバリューも大きいということらしい。実際にネットで中古調べると新車と同じ価格かそれ以上の価格とのようで、相当に割高です。

 

実際に某ポルシェショップに直接伺って問い合わせしたところ「今注文しても納車は、はやくて1年後」と、噂通りの納期の遅さ。これでもだいぶはやくなったとの販売員さんの回答。特にGTSの6MT左ハンドルが圧倒的人気だそう。まさに自分が狙っている車種。

 

 

また、718ってオプションが無限大にあって、購入者が自身でオーダーメイドでカスタムする車。したがってオプション込みの車両価格は千差万別。

 

 

 

でも知り合いのポルシェオーナーによると、その辺りのオプション金額の違いも中古ではほぼ正当に評価されるらしいから仮に売却する場合でも問題ないとのこと。

 

このように、GTSは希少で高額な車種ということもあって自身の運転による試乗はできなかったのですが、停車した状態でのエンジン始動&ブリッピングや、助手席での短距離走行は試乗させていただきました。この結果、ちょっと他の車がまったく目に入らないくらいの最高の車。

 

ボディのしっかり感だとかインテリアの質感もいかにも高級ドイツ車。そしてなんといってもリットル6気筒水平対向エンジンの魅力。重厚なサウンドで吹け上がるドラマチックなエンジンで、BMW の直6とはまた違った凄みのあるエンジン。パワーそのものも圧倒的で高回転になるとまるで過給機が稼働したかのような感覚。

 

これなら1年待っても買うべき車だと確信。

 

したがって、まずはほとんど値落ちしないと言われるBMW Z4を中古で買っといて、直6エンジンを十分に堪能した上で、1年後にGTSに買い換える方向で方針を決めました。

 

 

次回は、その後、いろいろあってBMWは買わずに直接GTSを買うことになったのですが、この辺りの事情を紹介。

 

 

 

<概要>

公衆衛生の専門家による、最新(2023年2月時点)の健康のための科学的根拠(=エビデンス)の成果を網羅した健康大全。

 

<コメント>

最近、動画サイトPIVOTをよく視聴しています。そのなかで紹介されていた著書が非常に興味深かったので一気に通読。

 

 

昨年2023年時点での最新の科学的成果を網羅的に扱っていているので、今最も科学的に正しい健康関連の知見が得られる非常に有益な著作。

 

興味深い知見が多いので個別に展開。今回は「エビデンスとはそもそも何か」。

 

私含めて、YouTubeなどのSNSからの情報が主となりつつあるこの時代において「陰謀論」や「バズっている話題」「都市伝説」などが世の中を席巻した場合、「今、何が事実なのか?」が非常に問われているのではないかと思われます。

 

そのなかでも「科学」は最も信頼性のある「事実」ではないかと思いますが、具体的にエビデンスとは「科学的根拠」のことで、特に著者の場合は

一つひとつの研究の結果から出てきた情報をまとめたもの、つまり科学的な証拠の集合体のこと

本書39頁

ということで、なぜここまでいうかというと、各種科学の知見の信頼性には強弱があるから。

 

以下エビデンスのピラミッドより、信頼性の高いものから並べました。

⑴複数の研究の総合的なレビュー(メタアナラシス・系統的レビュー)

 ⑵の実験の結果をまとめ、分析したもの。→下図の①

 

⑵無作為に割り付けた研究・前後比較・準実験・検察研究

 それなりの研究対象が多く、対照実験や無作為のグループで比較するなどを経た研究結果。

 →下図の②・③

⑶事例やケース

 人間への実験等を経て査読をつき論文で検証されているものの、実験対象者が少ない研究結果。

 →下図の④

⑷専門家個人に意見・動物実験・試験管での研究

 一番質の低いエビデンスで、これをもってエビデンスとは言い難いもの。

 →下図の⑤

 

(本書33頁)

 

このなかで⑴=①の部分が、どうやら著者がいう「エビデンス」のようです。

 

一般にテレビショッピングなどの健康食品などで紹介されるエビデンスは、ほとんどが⑶⑷の事例で、本来のエビデンスとは言えないらしい。つまり信頼性が低い、ということ。

 

哲学者の竹田青嗣や西研は、誰もがそうとしか思えないもののことを「普遍的確信」と呼んでいますが、上の⑴メタアナラシスがこれに相当するのでは、と思います。

 

哲学の知見は、オープンな環境のもとで信念検証的な性格を持つ性格上、日々アップデートしていくべきものですが、この辺りは科学もまったく同じ。

 

ただ、科学のエビデンス「⑴メタアナラシス」までいくと、恒久的な定説になるのでしょうが、⑵以下のエビデンスについては、仮説レベルで日々アップデートされていくレベルの知見なのかもしれません。

 

なので、エビデンスでもさまざまなエビデンスがあり、果たしてそのエビデンスの精度は「メタアナラシス」に相当するのかどうか、私たちは注意が必要だということです。