接客者である前に人間である。

接客とは感情のある人間がするからこそ「親切心」や「真心」というものが接遇の中に入り、お客様のひと時を素敵な時間に出来るもの。


温かい心が温かい心を作る。

そう信じている。


が、人間だからこそ、「堪忍袋の緒」も持ち合わせ、怒りの感情も時には湧き出てしまうもの・・・


これは私が未熟で精進が足りないからだとも思うが・・・


それは、ある日のこと・・・

時々来店される60代のご夫人。

以前から「命令口調」の方で、きっと誰に対してもそうなのだろうなとは思っていた。

弊店のことは気に入ってくれているようだが、オーダーはいつもお連れ様と「同じでいい」。

それは良しとして、最後のコーヒー紅茶などを伺った時、「どうでもいい」と言われ、「え?」と聞き直す私に更に大きな声で

「どうでもいい!」と言い放つ始末。(別に怒っていらっしゃる訳ではない)


それでも人生の大先輩と思い、はいはいと流していたが、これまたある日・・・


予約の電話を下さった時のこと。

「お昼に2人ね」と言われ、「お時間はいかがしましょう?」と訊ねると「あら、最近は好きな時間に合わせてくれるの?」というので、「いえ、以前からご希望のお時間は伺っておりますが・・・」というと「じゃあ11時」と言われたので、「申し訳ございません。弊店の開店時間は・・・」というと・・・

「好きな時間って言ったじゃない!私は起きるのが早いのよっ!!」と怒鳴ってきた・・・

お店の開店時間内でのご希望のお時間ということくらい、小学生でも分かるでしょ!と心の中で思いながらも私の堪忍袋の細い緒も切れる寸前。。。

とりあえず、しのぎ、電話を切った。(小さい私は小さい抵抗で先に電話を切った!あ~小さい私)


もちろんそんな方。当日来店してもいつもの通り。何事もなかったかの様・・・


命令口調かと思えば「マダムのダンス、見てみたかったわ~」とか「マダムの選ぶワインがいいわ」とか・・・


今度は、「マイ箸」を出されたので、「あら、お手をお怪我なさったのですか?」と聞くと「別に」と・・・

しかし、その「別に」が私の堪忍袋の緒を糸状にまでもって行ってしまった。。。


「そうですか。お怪我じゃなくてよかったです。でも弊店のナイフフォークは汚れていませんので、どうぞ安心してお使い下さいませ。マイ箸を出されるのは使い捨ての割り箸をお出しのお店でどうぞ」と小さな抵抗かもしれないが、お伝えしたのだった。

「それから、私はあなたの召使ではございません。怒鳴られる筋合いもございません。お気に召さないならばどうぞお帰り下さい」

と喉のとこまで来ていたが、これは今はなんとか止める事が出来た。


もちろんこれは、私がこのお店のオーナー夫婦であり、責任も取れる立場だから出来る事で、雇われている方々には絶対にしないでほしい事案である。


ただ、このお客様から改めて気付かされた事がある。


サービスマンは決してお客様の召使いではない。

良かれと思い、楽しんで頂くために頭も身体も気も使い、日々訓練をしているのだ。

それは、素敵に楽しんで下さるお客様のため。。。

オーナーとは責任も取るが、そういう素敵なお客様が心地良くお楽しみ下さる店内を作っていくことも大きな仕事の一つ。お行儀の悪いお客には、「お気に召さないのであれば、どうぞお帰り下さい」と言えるポリシーと心の強さも必要。

それを忘れかけていた私に改めて思い出させてくれた。


なかなか人間の小さい私には「キレ」ないと出来ない技(^^;

でも大人なので、出来るだけスマートにエスコートしたい接客魂もある・・・


ちなみにそのお客様はガツンとした姿勢で言ったあとは、大人しくしてくれるようになったのだ。


この人とのこのタイミングでの出会いも神様からの何か私への「気付き」のメッセージだったように想える。

これはこれで感謝して、又明日から笑顔で頑張ろう・・・


サービスマンである前に人間である。。。


社会という人間対人間のコミュニケーションから成る場にいると、自分自身のコンディション、お客様のコンディション・・・もちろん毎日違うもの・・・人間だからしようがないし、そこがコミュニケーションの楽しい部分だと思う。


ただ御仕事上は、私はサービスマン。

弊店へお越しくださるお客様には、どのようなコンディションであれ、弊店シェフのお料理を食べ、ひと時店内の流れる空気の中、お寛ぎ頂き、お帰りになる時には、来た時よりも更に元気に笑顔でお帰り頂きたい!

ただひたすら私はそれをホールで考える。。。


あからさまはダメ。


サラッと、スマートにそんな環境をお作りし、「心をエスコート」することも考える。


まだまだな私だが、大切にしていることがある。


お客様から話しかけられた回答は、必ず『プラス思考』でお返しする。


例えば・・・

お客様「今日は雨でジトジトしてるわね~」だったら・・・

私「ショパンのような雨に似合う曲に変えてみましょう!」

な~んて感じで・・・


お客様「なかなか来れなくてごめんなさいね~」だったら・・・

私「ちょうど珍しいサラミが今日入ったんですよ~!是非召し上がって下さい!」

とか・・・


とにかくたくさんプラス思考言葉の引き出しにいれておく。

これは、日頃からのトレーニングが必要!

風の強い日、寒い日、暑い日、などなど・・・

自分自身が日々感じ、プラスの思考で自分に答えてあげる。


もちろん言い方もあるし、お客様のタイプも様々なので、これを毎回そっくり使っているわけではない。


しかし、この思考回路は、いつの間にか、自分自身にも言えるようになり、辛い事があっても「あの経験のお陰やわ~」と辛い出来事にも『お陰様』と感じられるように気が付けばなっていた。


人はプラス思考の人の周りに集まるもの。

きっとあなたも「この方素敵だな~」と感じる相手はそんな方ではないか?


今はそう実感している。

接客業ではない方にも是非実践してみてほしい・・・

世間には、たくさんの女性が美しくなる為の「コスメ」と呼ばれる商品が到る所で購入出来、品数も多く溢れていますね・・・

私のようにお化粧をしないと「誰?」となってしまう人間にはありがたい事ではございますが、若い方から手軽にお化粧をする事が出来る昨今、中学校の制服にアイシャドーやマスカラはどうかと・・・


でもやってみたいんですよね。

私も気持ちは分かります。


20歳過ぎても髪の毛を茶色に・・・不自然に染め、服装やお化粧をコテコテに・・・

そんな女性とすれ違うと『昔の自分』に会ったような気がします・・・


私も20代はバリバリと「ダンサー」という御仕事だったもので、どこか「普通に見られたくない」という意識があったのだと今は思います。

髪の毛も明るい茶髪だったし・・・多分普通にOLになっていたお友達からすると「派手な女」だったと思います。

アーティスト・・・というよりも「自由人」に見られたかったのかもしれない・・・


引退を考えている時、フランスへ・・・というお話も戴きましたが、「社会の中で生きてみたい」と世間知らずな自分を修行に出すつもりだった私はある会社に入社を決めました。

面接で「ちょっと待ってて」と言われたかと思うと「マナー研修の講師」の方が登場。いきなり「あなたマナーの研修講師という御仕事に興味はないですか?」と言われ、「違う世界に飛び込むんだー!」と意気込んでいた私は「あります!」と気が付けば言っていました。


そこでマナーという文化に出会い、もちろん猛特訓をマンツーマンで受けさせて頂き、デビュー。。。

最初の1ヶ月で5キロも痩せました・・・

その時は「あ~フランスに行ってたら良かったかな~」などと思った事もありますが、自分が一旦決めた道、一生懸命教えて下さる講師の先生の熱意もあり、達成できたのだと思います。


ふと気が付けば、言葉遣いにも幅が出来、シチュエーションに応じて対応する力も付き、どんな方にも緊張せずにお話が出来る自分になっていました。


「知っていれば知らないフリは出来るもの。知らなければ、そこまで。」

10の力を5で止める事は出来ても5の力しかなければ、10の力は出せない。それと同じです。


女性の美しさは外見も多少あるかもしれませんが、それだけじゃあない!!

年を重ねる度に内面からの美しさが溢れている方へ惹かれます。

どんなに外見が美人な方でも食べ方がクチャクチャと音を出して食べたり、足を組んで肘をついて食べていたり・・・

男性でもどんなにブランド物を身にまとっていても、周囲にお構いなしな態度をとるような人・・・

そんな光景程残念な事はありません。


マナーを身につける事はコスメを購入するよりもブランド品を買うよりもお手軽なこと。

買いに行かなくてもいいし、経費もかかりません。

もちろんきちんとスクールで専門の先生に教えて頂くには費用もかかりますが、『一生もの』ですから!

自分の想いひとつで見えてくる世界が変わるものだと思います。


本当の美人さんと男前さん。。。

それは内面から溢れる「優しさ」や「相手を想う心」「包容力」などを身につけられた『品格』を持ち合わせている方だと今の私は思います。

人生に無駄はないですね。

あの時、フランスへ行っていたら、私はどうなっていたことか・・・

ダンサーとしての実績や地位よりもきっと私にはこのことを身をもって感じる人間になる事が必要だったから、神様が方向転換をしてくれたのかな・・・

日々実感する私でした。