
内筒が若干深く入ってしまい、血管の後壁を傷つけた可能性があります。
十分注意しても、このように深く入ってしまうことを完全に避けることは難しいです。
さらにこの状態から内筒を抜くとこのようになります。

感覚としては、
内筒を抜く前に、逆流を確認していたが、少し深く入れたら逆流がなくなった。
そこの位置から内筒を抜いたら、逆流が出てきたので血管内に留置できたと判断した。
しかし実際は、後壁を貫いたことでできた穴からじわじわ出血が起こっていた。
体外への出血はないので発見が遅れた。
ということになります。
表在化動脈に限らず、出血・血腫形成のパターンとしては頻度の高い事故といえるでしょう。
では、どのように注意し対処するべきか。
私は、
穿刺で一番気をつけることは、この裏を突き抜けたかどうか、後壁を傷つけたかどうかだと思っています。
穿刺の際に、少しでも裏を傷つけた感触があったならば、その後に血管内に内筒が留置できたとしても、必ず何もなくても5分から10分以上は圧迫しています。留置に成功した針の上から圧迫します。
皮膚の刺入部と血管内への到達部、後壁の穴の部位には微妙なズレがあるので注意してください。
次回、具体的な圧迫について説明します。