止血の注意点 | 日々是シャント 〜群馬のシャント専門医のブログ〜

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透析用バスキュラーアクセス(いわゆるシャント)専門医が日々の透析からシャント、アクセスそして腎移植までの相談内容を分かりやすく?詳しく紹介していくブログです。

止血の基本。それは、

自分が針を動かして、どこの部分の血管を傷つけたのかしっかり把握することにつきます。

日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-圧迫

今回であれば、皮膚と血管前壁を傷つけたわけではないので、体表や血管前面の出血や腫脹は目立ちません。そのかわり、後面に穴が開いたわけですから、

血管後壁の穴の位置を体表からイメージして圧迫
するわけです。皮膚の針穴とは微妙にずれていますからね。
つまりこの図で言うと、

一番左の血管後壁の穴を圧迫します。もちろん、最初の血管を傷つけた直後からですよ。
裏があやしい、と少しでも感じたら、留置に成功しても押さえておくくらいの方が安全です。
軽く押さえておくくらいなら抑えながらでも透析はできます。

この図はいつも頭の中に入れておいてください。他にも応用がききます。
たとえば通常の出血の場合であれば、皮膚から出血していたといっても、基本的には血管前壁であることを忘れないでくださいね。
この場合は血管前壁の穴と皮膚の穴の両方を押さえることになります。


他にも、このように浅く刺したときとか、
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-差しが甘い
$日々是シャント  ~群馬のシャント専門医のブログ~-そこで抜くな
よく想像してみてください。


止血は本当に奥が深いです。穿刺より難しいと思っています。

逆に穿刺が上手な人、というのは、先程の図のように、自分の針先が血管のどの辺に今位置しているか、を想像する事のできる人だと思っています。
手を動かすより頭を動かした方が穿刺はうまくなりますよ。

大切なことは、怪しいと感じたら針を抜く、しっかり抑えて止血するという勇気を持つことですよね。

見えない血管の状態を想像すること、これを忘れないでくださいね。