皆さんは「平行内積」と言うものを

知っているだろうか?


「内積なら聞いたことあるけど・・・」

というあなた!


わたしたちがよく使っている内積は、

「内積=0だと直交」ですよね。


だから、「直交内積」です。



直交があるなら平行も・・・

というわけで、内積の平行版、

「内積=0なら平行」というのが「平行内積」です。



定義

2つのベクトル=(a,b),=(c,d)に対して、

の平行内積とは、


   =ad-bcクマノミ


で定められる量である。


   クマノミふつうの内積はでした。

     平行内積では「・」の代わりに「★」を使ってみましょう。


     それはいいとして、

     ad-bcってどこかでみたような?

     そうです。行列式です。



これを内積といっていいのか?

あるいは、なぜ内積と言うのか?

その理由としては、


 (1) ()★

 (2) (α)★=α(

 (3) ★は、2つのベクトルから実数への写像である


といった内積と同じ性質があるためである。

しかし、交換法則は成り立たない。


 (4) =-


をひっくり返すと、マイナスが付いてしまう

マイナスが付かなければ、正真正銘の交換法則だが、

マイナスが付くので、“交換法則もどき”といったところ。




まあ、抽象的な話はこの辺にして、

内積=0のときホントに平行になるのか見ていこう。


 =0 すなわち ad-bc=0


参考書等でよく勉強している人は、これが

ベクトルが平行であるための条件であることを

知っているだろう。


しかし、高校時代の筆者も含め、

「そんなことは覚えてないよ」という人のために、

ちょっと説明しておく。


もし、c≠0、d≠0ならば、上の式は、


   a/c=b/d (=kとおく)


すると、x=kyとなり、x//y(xとyは平行)。

c=0やd=0の場合も平行か零ベクトルであることが分かる。

(零ベクトルが出てくると、平行とはいえないが、

通常の内積で、直交のときも零ベクトルは出てくるので気にしない。)


したがって、


 =0 ⇔ は平行 または 少なくとも一方が零ベクトル


という特徴づけができる。

これが平行内積という所以である。




また、面白いことに、

平行内積には、直交内積に対して

まさに双対的ともいうべき公式が存在する。

要するに、次の公式を見てもらえば、

「直交内積と平行内積はペア概念だ」と思われるでしょう~


直交内積に


  =||||cosθ


という公式があるように、

平行内積には、


  =||||sinθ


という公式が存在する。(すごい!)

直交はcos、平行はsinというわけか。



平行内積を使って書いてあると、

未知のものという気がするが、

実は、この公式も、

参考書等をよく勉強している人にはお馴染みである。


=(a,b),=(c,d)とすれば、

2つのベクトルではさまれた三角形の面積Sは


  S=1/2・|ad-bc|

  S=1/2・||||sinθ


と表せた。ここからSを消去すれば

上の平行内積の公式そのものが出てくる。



上の式(三角形の面積は行列式の半分)は、

下に比べてマイナーではないかと思うので

一応以下に証明(説明)する。

この式は、昔の過程では当たり前の式だったみたいだが

(昔も昔、まだ幾何学が高校で大事にされていた頃。戦前?)、

筆者はあまり知らなかった。

聞いたことはあったかもしれないが、

覚えるのは嫌いだったので、倦厭した。



<証明(説明)>

たとえば、下図のような位置に

=(a,b)と=(c,d)があるとき、





ad-bcは水色の部分の面積になる。

(でっかい長方形adから、

小さい長方形bc(白く抜かれている所)を引いた。)


水色の半分が、平行四辺形の半分に等しいことを

示そう。



水色を半分にした。

等積変形により、



よって、示された。


が他の位置関係にあるときは、

どうも、同じように、とはいかない。

(たとえば、c<aのとき。)


しかし、省略する。




こうして、

平行内積は市民権を得た。




 ペンギン「平行内積」という語は、ここだけのものである。

  本には書いていないし、そんなことを言う人もいないだろう。

  しかし、以上の話から、「平行内積」と呼ぶのも尤もだと、

  納得いただけたのではないだろうか。


  この平行内積は、世間の語でいうと、

  2つのベクトルを並べてできる行列の行列式であり、

  2つのベクトルにそれぞれz成分を付け足した

  2つの空間ベクトルの外積のz成分である。

   (a,b,p)×(c,d,q)=(bq-pd,pc-aq,ad-bc)







自然数nの素因数の積をf(n)で表す。

ただし、f(1)=1とする。


たとえば、

   f(8)=2、f(12)=6


8の素因数は2、12の素因数は2と3だからね。



このfを確か“オイラー関数”といったはず。。




問題

m、nを自然数、dをm、nの最大公約数とする。

このとき、以下の等式が成り立つことを示せ。

   f(d)f(mn)=f(m)f(n)



誤答例

p_i、q_j、r_kを素数、

a_i、b_j、c_kを自然数、

i=1,...,s、j=1,...,t、k=1,...,uを番号として、

   m=p_1^a_1・・・p_s^a_s・q_1^b_1・・・q_t^b_t

   n=p_1^a_1・・・p_s^a_s・r_1^c_1・・・r_u^c_u

と表せる。

(d=p_1^a_1・・・p_s^a_sってことです)

すると、

  f(d)f(mn)=p_1・・・p_s・p_1・・・p_s・q_1・・・q_t・r_1・・・r_u

        (=Πp_i・Πp_i・Πq_j・Πr_k)

  f(m)f(n)=p_1・・・p_s・q_1・・・q_t・p_1・・・p_s・r_1・・・r_u

        (=Πp_i・Πq_j・Πp_i・Πr_k)

よって、成り立つ。□




これは、おかしい。

たとえば、

m=8、n=12とすると、

   m=2^3、n=2^2・3、d=2^2

p、q、rは、

   p_1=2、q_1=2、r=3

上の証明に従うなら、

   f(d)f(mn)=2・2・2・3

   f(m)f(n)=2・2・2・3

となるが、

よく考えると、

   f(m)=f(8)=2、f(n)=f(12)=6

だから、

   f(m)f(n)=2・2・3

のはずである。


上の証明で、

   f(m)f(n)=・・・

の式は誤りである。

p_iとq_jの中に同じ素数がありうること

(m=8、n=12とすれば、p_1=q_1=2)

を失念している。


同様の理由で、上の証明で

   f(d)f(mn)=・・・

の式も誤りである。



解答例

まず次のことに注意する。

(1)mがnで割り切れるときf(mn)=f(m)

(2)mとnが互いに素であるときf(mn)=f(m)f(n)


m=dm’と書く。

dとm’の最大公約数をvとすると

m’=vm”であり、dとm”は互いに素。


n=dn’と書く。

dとn’の最大公約数をwとすると

n’=vn”であり、dとn”は互いに素。


また、

dはmとnの最大公約数だから、m’とn’は互いに素。

よって、

それぞれm’、n’の約数である、m”とn”も互いに素。


  f(d)f(mn)

 =f(d)f(dm’dn’)

 =f(d)f(dm’n’) (∵dはdで割り切れる)

 =f(d)f(dvm”wn”)

 =f(d)f(dm”n”) (∵vとwはdの約数)

 =f(d)f(dm”)f(n”)

  (∵n”はd、m”とそれぞれ互いに素だからn”はdm”と互いに素)
 =f(dm”)f(dn”) (∵dとn”は互いに素)

 =f(dvm”)f(dwn”) (∵v、wはdの約数)

 =f(m)f(n)  □


上の図は、V字で最大公約数を、

曲線矢印で最大公約数を取り去った残りを

表しています。(残り物を吐き出すイメージ

約数とか互いに素とか、頭の中だけで考えてると

ややこしいので、図で書くと多少わかりやすいかな?



解答例では、素因数を明示しない形で

答案を書きましたが、

誤答例のように素因数を使って

書くこともできます。


上の誤答例は添え字がいっぱいで

「読む気がしない」という人のために、

誤答例を、素因数を使わずに書いてみましょう。


誤答例(その2)

 m=dm’

 n=dn’

と表せる。すると、

 f(d)f(mn)=f(d)f(d)f(m’)f(n’)

 f(m)f(n)=f(d)f(m’)f(d)f(n’)

よって、成り立つ。□



素因数を書いているか書いてないかではなく、


 dとm’(あるいはdとn’)が互い素とは限らない


というところがポイントです。

高校ではあまりでてきませんが、


という関係を満たすp、qを扱うことが

しばしばあります。


たとえば、

  p=2、q=2

はこの関係を満たしています。


高校で出て来そうな感じに言うと、

   pとqは調和平均が1

ということになります。


「調和平均てなんだ?」と思った方も

おられるのではないでしょうか。

実は、筆者もよく知りません。


昔の記憶を辿ると、

教科書の隅にちょっと載ってて、

先生が「興味のある人は考えて見てください」

と言ったので、

家に帰って読んで見たものの、

よくわからなかった覚えがあります。


しかし、今では(昔から?)

歴とした高校数学の一員のようです。



で、

このp、qとは、要するにどういう数なのか

ハッキリさせたいと思います。



ただし、

調和平均がドウノコウノということではなく、

大小関係や増減、要するにグラフを

考えたいと思います。

さっきも言ったように、

筆者は勉強不足で、調和平均はよく知りません。

Hardy Littlewood Polyaを読めば

いろいろ書いてるっぽいですが、

恐ろしい本だという噂なので、読んでません。



しかし、

グラフなら、

高校レベルです。

問題

点(x、y)が次の関係を満たすとき、

点(x、y)の軌跡を図示せよ。





以下、解答です。







<解>

両辺にxyを掛けると

   y+x=xy

x、yを移項して両辺に1を加えると

   xy-x-y+1=1

左辺を因数分解すると

   (x-1)(y-1)=1 (整数問題の解法!)

これは、

   xy=1

が表す図形をx軸方向に1、y軸方向に1だけ

平行移動したものである。

xy=1とは、y=1/xのことだから、



となる。


あと、注意ですが、

x、yはもともと分母にあったので

   (x、y)≠(0,0)

です。よって、原点は白抜きになります。□



それと、

この問題はこれでいいのですが、

普通は、p、qはともに正のときを考えるので、

   p>1,q>1

です(さもなくば逆数を足したら1を超える!)。

また、場合によっては、

   p=1のとき、q=∞

   q=1のとき、p=∞

と約束することもあります。

まあ、この無限大はどういう意味で使ってるか

ハッキリさせないと??なので、

参考程度に思っといて下さい。



そういうわけで、

上の関係を満たすp、qは

反比例の関係にあることがわかりました。

(ちょっとずれているから(平行移動してるから)

本当は反比例とはいわないけど、

イメージはそんな感じ。)


案外身近な関係だったわけです。