自然数nの素因数の積をf(n)で表す。

ただし、f(1)=1とする。


たとえば、

   f(8)=2、f(12)=6


8の素因数は2、12の素因数は2と3だからね。



このfを確か“オイラー関数”といったはず。。




問題

m、nを自然数、dをm、nの最大公約数とする。

このとき、以下の等式が成り立つことを示せ。

   f(d)f(mn)=f(m)f(n)



誤答例

p_i、q_j、r_kを素数、

a_i、b_j、c_kを自然数、

i=1,...,s、j=1,...,t、k=1,...,uを番号として、

   m=p_1^a_1・・・p_s^a_s・q_1^b_1・・・q_t^b_t

   n=p_1^a_1・・・p_s^a_s・r_1^c_1・・・r_u^c_u

と表せる。

(d=p_1^a_1・・・p_s^a_sってことです)

すると、

  f(d)f(mn)=p_1・・・p_s・p_1・・・p_s・q_1・・・q_t・r_1・・・r_u

        (=Πp_i・Πp_i・Πq_j・Πr_k)

  f(m)f(n)=p_1・・・p_s・q_1・・・q_t・p_1・・・p_s・r_1・・・r_u

        (=Πp_i・Πq_j・Πp_i・Πr_k)

よって、成り立つ。□




これは、おかしい。

たとえば、

m=8、n=12とすると、

   m=2^3、n=2^2・3、d=2^2

p、q、rは、

   p_1=2、q_1=2、r=3

上の証明に従うなら、

   f(d)f(mn)=2・2・2・3

   f(m)f(n)=2・2・2・3

となるが、

よく考えると、

   f(m)=f(8)=2、f(n)=f(12)=6

だから、

   f(m)f(n)=2・2・3

のはずである。


上の証明で、

   f(m)f(n)=・・・

の式は誤りである。

p_iとq_jの中に同じ素数がありうること

(m=8、n=12とすれば、p_1=q_1=2)

を失念している。


同様の理由で、上の証明で

   f(d)f(mn)=・・・

の式も誤りである。



解答例

まず次のことに注意する。

(1)mがnで割り切れるときf(mn)=f(m)

(2)mとnが互いに素であるときf(mn)=f(m)f(n)


m=dm’と書く。

dとm’の最大公約数をvとすると

m’=vm”であり、dとm”は互いに素。


n=dn’と書く。

dとn’の最大公約数をwとすると

n’=vn”であり、dとn”は互いに素。


また、

dはmとnの最大公約数だから、m’とn’は互いに素。

よって、

それぞれm’、n’の約数である、m”とn”も互いに素。


  f(d)f(mn)

 =f(d)f(dm’dn’)

 =f(d)f(dm’n’) (∵dはdで割り切れる)

 =f(d)f(dvm”wn”)

 =f(d)f(dm”n”) (∵vとwはdの約数)

 =f(d)f(dm”)f(n”)

  (∵n”はd、m”とそれぞれ互いに素だからn”はdm”と互いに素)
 =f(dm”)f(dn”) (∵dとn”は互いに素)

 =f(dvm”)f(dwn”) (∵v、wはdの約数)

 =f(m)f(n)  □


上の図は、V字で最大公約数を、

曲線矢印で最大公約数を取り去った残りを

表しています。(残り物を吐き出すイメージ

約数とか互いに素とか、頭の中だけで考えてると

ややこしいので、図で書くと多少わかりやすいかな?



解答例では、素因数を明示しない形で

答案を書きましたが、

誤答例のように素因数を使って

書くこともできます。


上の誤答例は添え字がいっぱいで

「読む気がしない」という人のために、

誤答例を、素因数を使わずに書いてみましょう。


誤答例(その2)

 m=dm’

 n=dn’

と表せる。すると、

 f(d)f(mn)=f(d)f(d)f(m’)f(n’)

 f(m)f(n)=f(d)f(m’)f(d)f(n’)

よって、成り立つ。□



素因数を書いているか書いてないかではなく、


 dとm’(あるいはdとn’)が互い素とは限らない


というところがポイントです。