条件付き確率に関する、次の問題を考える。

問題
区別できない2つの箱A、Bがある。
箱Aには赤玉1個、白玉3個が入っている。
箱Bには赤玉3個、白玉2個が入っている。

ある箱から玉を1つ取り出す場合を考える。
赤玉を取り出した場合、選んだ箱がAである確率
を求めよ。


今回は、この問題の
正答、誤答、また、問題文をちょっと変えた場合の解答
を検討してみる。

この問題は、筆者が落とし穴に落ちた問題である。
自分がやられた問題を玩具にして遊ぶのは
数学の理解向上のために大事である。


<筆者の解答(誤答)>
求める確率は、
赤玉を取り出したという条件の下で、箱Aから選んでいる確率
(条件付き確率)だから、
赤玉を取り出すという事象をR(redのR)、
箱Aから取り出すという確率をAとすると、
求める確率は、である。


よりを計算すればよい。

箱は区別できないから、すべての玉をひとまとめにして考えると、
赤玉は4個、白玉は5個、合計9個。

赤玉を取り出す確率は

赤玉を取り出しかつ箱Aから取り出す確率は、

よって、求める確率は、



これは、大間違い。

解答の中には、条件付き確率とふつうの確率がでてくる。
答え合わせで、正しい答えが出ていないと気づいてから、
筆者はまず、「条件付きにしなくてもいいところで条件付きにしたり、
条件付きにしないといけないところで、普通の確率を計算したり
しているのではないか」と、疑った。

確率は、
(求めたい事象の場合の数)÷(考えられるすべての場合の数)
考えれば間違いないと思っていたが、それではダメなのか?
と心配だったが、結局「条件付き」「条件なし」の区別は間違っていなかった。

間違っていたのは、箱の扱いだった。

「2つの箱は区別できない」と書いてあったので、
玉をいっしょくたに考えればいい、という気になっていたが、
この問題の試行をよく考えると、
玉を取り出す以前に「箱を選ぶ」という行為が存在する。

そして、この「箱を選ぶ」という行為があるせいで、
箱によって、玉の持つ確率(玉が取り出される確率)に違いが出る。
箱Aの玉は、それぞれの確率で取り出されるが、
箱Bの玉は、それぞれの確率で取り出される。
2つの箱に入っている玉の数が異なるから(分母が異なるから)、
確率が違うのである。

このことを考慮に入れて、
「赤玉を取り出す確率」を考えてみる。

赤玉を取り出すという行為は、
 ①箱を選ぶ → ②その箱から赤玉を取り出す
からなる。
2つの箱は区別できないので、どちらの箱を選ぶ確率も
Aを選んだ場合と、Bを選んだ場合の確率を足してやればよい。
よって、


次に、赤玉かつ箱Aである確率は、

(さっき計算したで、箱Bから取り出す場合を除いたものになっている。)

したがって、求める確率は、

となる。


<検討1>
条件付き確率は、上の解答に使った、

という形もあるが、

のように、確率を経由せず直接計算することもできる。
これを使ったらどうなるだろうか?
(解答の見た目としては、条件付き確率の公式を使わず直接解いた印象になる?)

まずn(R)だが、これは「赤玉を取り出す場合の数」だから、
赤玉は全部で4個より、n(R)=4...
これは大間違い!
この記事の最初で挙げた、<筆者の解答(誤答)>と同じ間違いである。
箱によって、玉の持つ確率は異なるのだった。
だから、「赤玉を1個取り出す」という事象は、
箱が違えば、同様に確からしくない。

結局、
この問題で、「ある玉一個を取り出す」という事象は
どうように確からしくないので、
これを根元事象として、から確率を計算することはできない。
この問題は、

の形を使わないと解けない問題なのである。


どうしても、場合の数から確率を計算したい、という変な人のために、
「どうように確からしい」根元事象をムリヤリ作る、
という方法を検討してみたい。

自分はそこまで変人でないという人は、ここは飛ばして、
<検討2>に行くか、今回はここでお別れしよう。サヨウナラ。


~根元事象をムリヤリ作る~
箱Aの玉は4個、箱Bの玉は5個であった。
それぞれの箱の玉の数を、4と5の最小公倍数20にしてしまおう。

箱A・・・赤玉5個、白玉15個
箱B・・・赤玉12個、白玉8個

こうしてやれば、
箱Aから赤玉を取り出す確率は、もとの設定のときと変わらず、1/4
箱Bから赤玉の確率も、変わらず、1/5
にしておきながら、
ある箱から玉を一個取り出すという事象は、どうように確からしい。
確率でいえば、いずれも1/40である。

アイデアは良さそうだが、ここにきて心配なことがある。
玉が分割されたせいで、本来はない、「箱Aから赤玉2個」などの
事象ができてしまった。
これは、もとの設定でいえば、「箱Aから赤玉2/5個」である。
このような本来起こり得ない事象まで含まれてしまっているので、
いろいろ注意しないと正しい答えを得られないんじゃないだろうか?

まあ、とりあえず、計算して見ると、
n(R)=5+12=17
n(A∩R)=5
よって、


一応、同じ答えが出た。
もとの設定をX、この玉を分割した設定をYとすると、
なんか記号の濫用かもしれないけど、X⊂Yという関係になっている。
今やったことは、Xの問題をYの下で解くということであり、
これは大丈夫そうである。
しかし、当然のことながら、逆の、Yの問題をXで解くには、
さっき心配していたことが表面化して、いろいろ注意が必要になる。



<検討2>
条件付き確率のどちらの形を使うかは、以上で終わって、
今度は、問題文の「区別できない」という表現に注目して見よう。

「区別できない」とは、
箱の見た目が全く同じで、中身も見えないということだろう。
中身が見えたら、入ってる玉が違うから区別できていしまう。
現実的には、たとえば、チョコボールの箱が2つあって、
中に赤とか白のチョコボールが入っていて、
それを振って、1個取り出す場合を考えればいい。

赤はイチゴ味で、白はホワイトチョコレート味である。
ただし、箱は、2つともプレーンのチョコレートの箱で、傷など
区別できる印はないものとする。

では、
もし、2つの箱が「区別できる」としたら、どうなるのだろうか?

箱が区別できるとき、玉を取り出す人が、
1.どちらの箱になにが入っているか知っている場合
2.知らない場合
の2つの場合が考えられる。

まず1の場合を考えよう。
ところが、箱の中身がわかっていると、
箱を選ぶときに、取り出す人の意思が関わってくる。
したがって、どちらの箱を選ぶかという確率(つまりP(A))は
取り出す人次第ということになる。
もし問題文に、「1/3の確率で箱Aを選ぶ」などと書いてあったら
この状況なのだろう。

「できるだけ赤玉を引きやすくするには、どうすればいいでしょう」
のような問題なら、中身がわかっていることは意味があるが、
今の問題の設定では、「箱Bを選ぶ」のは当たり前で、面白くない。



次に、2の場合。箱は区別できるが、中身を知らない場合。
これは、一回しか取り出さないなら、
基本的には、区別できないのと同じである。

現実には、これも取り出す人の意思が関与していて
箱の見た目によって、選びやすさが変わるのかもしれないが、
数学ではそういうことは考えない。

ところで、「区別できるが、中身を知らない」という設定では、
何回も取り出す場合は、面白い問題になるかもしれない。

たとえば、確率の問題じゃないけど、

 区別できる2つの箱A、Bがある。 
 Aには赤1、白3が、Bには赤3、白2が入っているとする。
 玉を取り出す人は、どちらの箱がAでどちらがBかは知らないが、
 どちらか一方に赤1、白3が、他方に赤3、白2が入っている
 ことは知っている。
 どちらの箱がAであるかわかるのにかかる取り出し回数の
 最大値と最小値を求めよ。
 ただし、取り出した玉は戻さないとする。

とか。

ちょっと考えてみると楽しいかも。

ちなみに、答えは、

最小値2回(同じ箱から2回赤が出た場合)
最大値7回(2つの箱をイ、ロとして、
  “イ赤、ロ赤、イ白、ロ白、イ白、ロ白、イ白”など)

だと思います。


この問題を見ていて思いつきましたが、

 区別できる2つの箱A、Bに
 A(赤3、白0)、B(赤2、白2)の玉が入っている。
 どちらの箱がAかは知らないが、
 一方の箱に(赤3、白0)、他方に(赤2、白2)が
 入っていることは知っている人が、
 できるだけ赤玉を出すように箱を選んで玉を取り出すとき、
 2回目に赤玉を取り出す確率を求めよ。
 ただし、玉は1回につき1個取り出し、出した玉は戻さないとする。
 

とか。(ちょっとムリヤリ作った感が・・・でも、現実にはありそう)

よかったら考えてみて下さい。




では、そろそろ答えの方に・・・

1回目に白が出れば、どっちがAかわかるんだけど、
1回目に赤でも、出やすさは変わるかも?

(解答)

1回目でどちらが箱Aがわかるのは、
1回目に箱Bを選んで白玉が出る場合だけである。

i)1回目でどちらが箱Aかわかった場合

 1回目で箱Bを選ぶ確率が1/2(どちらが箱Bかわからないから)
 その上で、白が出る確率が2/4
 よって、1回目でB白の確率は1/2×2/4=1/4 ・・・①

 2回目はAを選ぶ。
 2回目に赤が出る確率は1

 したがって、この場合に2回目赤の確率は、1/4×1=1/4

ii)1回目でどちらが箱Aかわからなかった場合

 1回目に赤が出ていることを踏まえて、2回目に赤を出すには、
 同じ箱を選ぶのと、違う箱を選ぶのと、どちらがよいか考える。

  同じ箱を選ぶ場合:
  (A赤、A赤)(B赤、B赤)の2通りが考えられる。
  1回目も2回目も赤がでる確率は、
  1/2×3/3×2/2+1/2×2/4×1/3=1/2+1/12=7/12

  違う箱を選ぶ場合:
  (A赤、B赤)(B赤、A赤)の2通りで、
  1/2×3/3×2/4+1/2×2/4×3/3=1/4+1/4=6/12

 よって、同じ箱を選んだほうが赤玉が出やすいので、
 同じ箱を選ぶ。

 したがって、この場合の2回目赤の確率は、7/12

以上i)ii)より、2回目に赤が出る確率は、
1/4+7/12=10/12=5/6 □


ここまで読んで下さった方、もしいらっしゃったら、
ありがとうございます。

最初の話からだいぶ趣の異なる話になってしまったが、
よくわからない問題は、いろいろ条件を変えたりして
比較検討することが大切である。
脱線して気づくこともあるでしょう。
確率で訳わかんなくなったら、

“定義”に戻りましょう。


確率の定義ってなんだったか?





です。


「ある事柄が起こることが期待される程度を表す数値」

ではありません。

確率は、飽くまで、
「すべての場合の数」のうちの「問題となっている事象の場合の数」の割合
のことです。
日本語が先にあるのではなくて、この分数がすべてです。



迷ったら、この分数からなにが感じられるか考えよう!





条件付き確率でも同じです。



条件付き確率の持つ意味をいろいろ勉強するのも大事ですが、
迷ったら、この分数に帰りましょう。
条件付き確率は、この分数が表すものでしかないのです。



ところで、
条件付き確率は、参考書では



で定義されているのではないでしょうか。

場合の数で表し直して約分すれば、同じですが、
確率の分数として定義しているのは、場合の数を使えない場合も
考慮しているからだと思われます。

たとえば、「工業製品の不良品の確率」の問題などで、
製品の個数は不明で、確率が5%と与えられているものがあります。
ここでの確率は場合の数を使っていないので、
こういう確率の扱いに対応するためには、
条件付き確率を、確率の分数で定義するのが収まりがいいのでしょう。

しかし、そうすると、この記事で書いている、
確率の定義は、場合の数を使っているから、
工業製品の問題に対応していないことなります。

しかし、多くの問題では、場合の数を使って計算するので、
たいてい、あの定義でいいのです。(なんかいい加減やな。)
音楽を聴き持って、作業していることが
多いのですが、
フォークを聴いていて、それから、それが終わって、
次に入っているクラシックになりました。

フォークの最後の曲も、クラシックの最初の曲も、
同じような曲調で、「生きていると辛いことがある」的な
なんとなく寂しい曲でした。

いいつながり方じゃないか、と思っていたのですが、
気になったことがありました。

前から、歌謡曲とクラシックの間に感じていたことなのですが、
クラシックは、それらと並べられると、
とても弱い。

出力が強度に欠けるというか、遠くから聞こえてくるような、
とくにかく、クラシックに変わった瞬間に
肩身の狭い思いをします。

単純に音量の問題もあるでしょうが、
今日は、クラシックにしらじらしさを感じました。
クラシックには、人間味に欠けると事があるんじゃないだろうか。。


しかし、
しばらく聴いていいると、
そんな感じはなくなりました。
やはりクラシックも人間が作ったものだと思いました。

どの分野にも、それを聴くためのモードというものが
あるのでしょう。

フォークだって、ロックの後に聴けば、居心地が悪いかも。


「モード」にはこれからも考えさせられそうです。



で、

先程、他の人のブログを見ていて、
ノアの箱舟の映画が面白かった、と書いてあるのを
読んだんです。

最近は、ペルセウス・・・じゃなくて、
プロメテウスの・・・
いや、ヘラクレスの映画が公開中だったか、公開前だとかで、
宣伝していました。

ペルセウスは、古いコマ撮りの映画があり、技術に感心しますが、
今回のヘラクレスは、CGを駆使しているようです。

と、ノアの箱舟と聞いて、ヘラクレスを想像してしまいましたが、
ノアの箱舟に関しても、最近読んだ本に出てきたので、
「あれまー」と思っていました。

ボルヘスの『幻獣辞典』(柳瀬尚紀 訳、スズキコージ 絵、晶文社)を
図書館で発見して、借りてきたところ、
ノアの箱舟の話も載っていたのです。

絵本コーナーに置いてあったのですが、
絵はほとんどありません。

幸いにも、ノアの箱舟のところには、絵があります。

箱舟、箱舟といっていますが、
もちろん、箱舟が幻獣なのではなくて、
毛むくじゃら獣という怪物のページに箱舟の話が出てくるのです。

この怪物は、箱舟に乗せてもらえなかったんですが、
なぜか洪水を生き残り、乗せてもらえなかった腹いせか、
悪の限りを尽くします。(尽くしてないかもしれないけど、まあねえ)

ノアや、箱舟に乗せてもらった人(動物)からすれば、
困りますよね。

見捨てた(振り分けた?)やつが生きてたなんて。

結局、この怪物は、
恋人を食われた男によって、急所のしっぽを切られて
死んでしまいます。

もともとろくでもないやつだから、
箱舟に乗せてもらえなかったんでしょうけど、
ある側面から見れば、ひどい話です。

男とその恋人を、乗せず、怪物の方を乗せていたらどうでしょう?

男は恋人を、怪物によってではなく、神の洪水によって
なくすことになります。ただし、男も死にます。
怪物は生き残ります。
が、どうせ悪い奴には違いないので、誰か英雄が出てきて斃します。


どちらがましか、良く分からなくなってきましたが、
とにかく、
ノアとその他箱舟に乗せてもらった人たちが、
生きていた怪物を見て、罪悪感を覚えたという話なら、
興味深い話だと思います。

しかし、実際は、
「なんで生きてるんや、いなくなればよかったのに」と
みんな思って、ノアもそう思ったような気がします。
勝手に、想像してますが、
ノアってどんな人だったのでしょうか、
ノアの箱舟の話を読んでみないといけませんネ。

神様は、なぜ、毛むくじゃらを生かしたのでしょう?
「なぜか生き残った」というのは、人間の感想で、
神は全知全能なんですから、ミスったなんてことはありえない。
なんか意味があったんでしょう。気になる。。


毛むくじゃらページには、スズキコージの描いた
毛むくじゃらの絵があります。
なかなかかわいい動物ですが、
よく見ると、少女をさらっていくところです。
少女の手が毛のなかに埋もれているのが、絵心でしょうか。

水木しげるの『水木しげるの世界幻獣事典』(朝日新聞社)にも
毛むくじゃらは載っています。
こちらは、爬虫類性を前面に出していて、絵もリアルで、
おせじにもかわいいとは言えません。

「爬虫類だったの?」と思われたかもしれませんが、
一応そういう要素ももっていると、伝えられています。
スズキコージの毛むくじゃら獣も、しっぽと手は怖いですよ。