中線定理
三角形ABCにおいて、辺BCの中点をMとする。このとき、

が成り立つ。


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直角三角形ならピタゴラスの定理(三平方の定理)がある。
しかし、三角形ABMは直角三角形ではないから、

なんて式は成り立たない。

右の三角形ACMでも、

はもちろん成り立たない。

ところが、上の2つの式を辺々足し合わせた

は成り立つ。

Mが辺BCの中点であることから、BM=CMであることに注意して、右辺を整理すると

これが中線定理である。

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証明


∠AMB=θとする。
三角形ABMに余弦定理を用いると、


三角形AMCに余弦定理を用いると、∠AMC=180°-θであるから、

CM=BMおよびcos(180°-θ)=-cosθより、


①+②より

よって証明できたているが、式としてよりきれいな形にはCM=BMを使って、


(証明おわり)
次の問題と解答を見てみてください。

問題

を計算せよ。

解答例



この解答は間違っていると思いますか。

この解答の「3行目、4行目は数学的に間違っているから書いてはならない」という人がいるそうです。

3行目、4行目というのは、limがはずれて、x=2を代入したペンギン場面です。


また別の人は「教科書には確かに、3行目、4行目にあたる式が書いていない。微妙な問題である」と言っていました。

手元の(筆者が高校のとき使っていた)教科書を見てみると、「関数の極限」で初めて“分母=0”が登場するところでは、確かに途中式(3行目、4行目にあたる式)を書かず、limの式のあとにはすぐ答えが書かれています。

しかし、よく見ると、もう少し先の



のような問題では、



という解答例が載っています。

したがって、教科書にも途中式は書いてあります。


3行目、4行目のような途中式を書くことが数学的に間違っているというのはおかしい
以下、おかしいと思う根拠を述べます。


【 等号「=」の性質 】


を認めない人はいないでしょう。

今、仮に

であり、かつ

であるとしてみましょう。

簡単のため



とおくと、上の主張は
 かつ 
と書けます。

ところが、明らかに、

なので、等号の性質(1)より
となります。
これとに等号の性質(2)を使うと、

となります。

こうして、

と矛盾する結果が出ました。
これは、
を認める限り、「等号の性質」が成り立たないことを意味します。
(「等号の性質」を仮定して、A≠Cを使いながら論証を進めると矛盾。〔背理法〕)フグ


「途中式を書くことが数学的に間違っている」という主張は、巡り巡って、等式の性質(対称律と推移律の少なくとも一方)が間違っているという結論を導いてしまうのです。


「途中式を書くことは“教育的な配慮”から避けるべきである」という主張なら、それは教育の専門家が言うなら正しいのだと思いますが、「数学的に間違っている」という主張は全く受け入れられないものです。

また、たとえ教育的配慮であったとしても、「間違い」などと言いきってしまうのは、よく考える生徒にとっては混乱の原因になるのではないでしょうか。

上で見たように、「等号の性質」と相いれないわけですから、そうして教えられた生徒が(極限に伴う)等号に不安や疑念をもたないか心配です。



ペンギン
もしかすると、「x=2を代入」という考え方が嫌われているのかもしれません。
しかし、代入しないならばどうやって極限を求めるのでしょうか。
この問題は、
「x=2で定義されない関数の極限」を、分母を払って、「x=2で連続な関数の極限」に帰着することで、極限を求めているのではないでしょうか。x=2で連続なら代入して差し支えないはずです。


フグ
「途中式を書くのは間違い」だとするとおかしなことが起こる、と言うために背理法を使っていますが、実際はもっと簡単な話です。

  「等号の性質」よりA=C

で終わりです。A=Cが示されたということは自動的に「A≠Cは偽」です。
「sinとは何か?」いわれれば、とりあえず、

  単位円周上の点のy座標

ということになると思う。しかし、このような“定義”ではなくて、もう少し人間味のある「意味」を考えてみるのは楽しい。

sinの和訳は正弦である。「正」はとりあえず置くとして、sinとは弦と何か関係があるらしい。“弦”とは、直線から円が切り取る線分のことである。つまり、



の青い線分のようなものである。昔の人はこの図形を見て竪琴を連想したのかもしれない。円形の枠に弦を張って楽器にしているイメージかしら。

sinと弦がどのように関連しているかを見るために、まず、弦の代わりに“円周”に着目する。

円周の長さを出す公式は、小学校以来お馴染みの

  円周=直径×π

である。「直径に掛けると円周になるもの」を“円周率”というのである。

では、「直径に掛けると弦になるもの」、言ってみれば“弦率”に当たるものはないだろうか?
実は、それがsin(正弦)である。

実際、弦の片端から直径を引き、三角形を作ると、



となり、
       弦
  sinθ=―――
       直径
すなわち

  弦=直径×sinθ

が成り立つ。

sinは“弦率”であることがわかった。ただし、πが定数であるのに対して、sinの値はθによって変化してしまう。たとえ弦率と言ったとしてもsinは定数ではない。1つの円に対して円周は1つしかないが、弦はθによっていろいろな長さになるから仕方ない。