忠臣蔵義士新党の都知事選 | 歴史ニュース総合案内

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 小池百合子都知事が3選された7月7日の東京都知事選では、珍奇な政党および個人が多数立候補した。その中の一つが忠臣蔵義士新党の小野寺紘毅候補だ。政見放送で「討ち入りじゃ」と叫んでも、東京で赤穂浪士の義士行列を主催してきた。

 NPO東京臨海地域開発研究所理事長の小野寺候補は満州国からの引き上げ組。マンション開発事業で成功した資金を元手に、小野寺十内秀和義士の子孫として高輪の泉岳寺で12月14日に行われる討ち入り義士行列を1989年から指導。創設して学生を参加させてきた財界二世学院は閉鎖されたが、2023年からは義士行列を切腹の日の2月4日にも開いている。大使館の敷地を購入するなど、ミャンマーとの繋がりも深い。

 そんな小野寺候補は東日本大震災を靖国神社の前で味わい、原発が並ぶ日本の光景に震撼。小松左京『日本沈没』のような事態が起きた時に備え、東アジアや南アジアに避難地をつくるべきと唱え、危機意識を国民に訴えるべく立候補した。首都東京の防災と、地下シェルターの建設を含む防衛安保の確立を訴えた。武将系候補とも呼ばれた。

 都知事選で小野寺候補が最終的に得た得票は759票で34位。なんとネオ幕府を訴える極右系のアキノリ将軍未満候補のすぐ下だった。このネオ幕府アキノリ党首は伝説の政見放送をした外山恒一の弟子で、放送で師匠の演説を棒読みしていたが、そんな候補に負けてしまった。なお、「現役の織田信長」を自称した元自衛官の澤繁実候補は1232票を獲得した。

 

 2位にもなれなかった蓮舫候補を共産党が熱烈に支援していたが、明らかにそのせいで3位に終わっても共産党にとっては左翼陣営での党勢を強められたから良かったらしい。それは兎も角、有罪判決から復活した田母神俊雄候補が4位なだけでなく、7位、9位、14位にみえるように乱立した独立候補の大半が右翼思想の持ち主なのをみると、個人型のポピュリズムは右に流れるようだ。都議補選の結果と合わせると、保守系非自民路線を採ってきた都民ファーストの会が粘った。