佐渡金山に文化遺産への情報照会 | 歴史ニュース総合案内

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 ユネスコのイコモスは6月7日、新潟県などが文化遺産登録を目指す「佐渡島の金山」について登録内定より一段下の情報照会を勧告した。ユネスコが7月21日からニューデリーのバーラト・マンダパムで開く世界遺産委員会での登録実現に向けて、格上げしての本登録が目指されている。

 書類不備だとはねつけられた2022年の教訓を踏まえ、登録物件を西三川砂金山と相川鶴子砂金山(あいかわつるし)に絞り、隣国世論の反発をかわすため近代期の物件の多い浮遊選鉱場のある北沢地区を削除。島根県の石見銀山が登録に際して世界に流通した「ソーマ銀」の国際性を打ち出したのに対して、佐渡金山で培われた「手工業による金生産システムの最高到達点」を売りとした。他国の鉱山遺産物件で17世紀以降に機械化が進んだ中、それを取り入れず手工業を維持しても、高品位の金を採掘し、採掘から精錬までこなしていたところに顕著で普遍的な価値(OUV)があると訴える。世界遺の10条件のうち、時の3、科技の4、歴史的事件の6での登録を目指す。相川金山の山肌が露天掘りの名残で2つに削れた「道遊の割戸」が、今後は佐渡金山の象徴になりそうだ。

 

 文化庁のPR文書では、山の神の怒りを鎮めるための「やわらぎ」神事や人為による大水で鉱床を洗い流す「大流し」法に言及されている。佐渡金山はルーマニアのローマ期鉱山「ロシア・モンタナ」からの系譜で、同時代に栄えたボリビアのポトシ銀山やブラジルのオウロ・プレトとは異なり、徳川幕府の鎖国政策で手工業の生産システムが発達したという。既存の文化遺産では日光東照宮の陽明門に金が使われている。