東京上野の国立東京博物館は4月22日、所蔵する国宝「挂甲の武人」が白や赤などに彩色されていたと発表した。秋からの特別展「はにわ」で目玉として展示される。
この国宝唯一の人物埴輪は群馬県太田市の飯塚町で出土した。博物館は2017~19年の解体修理でX線を照射し、6世紀につくられて色が剥げる前は白、灰、赤の3色で当初塗り分けられていたのを確認。白色が主体の挂甲(鎧)と灰色の線、赤い顔の復元埴輪をトリアド工房がつくり、みずら髪の博物館学芸員が10月16日から12月8日までの埴輪特別展(はにわ展)の発表記者会見で披露した。仏像や神像と同じく、いまの姿の埴輪も往時の彩色が剥げ落ちたものだが、衝角付冑の東国の武者を模して白銀の鎧武者のような色で彩色されていたのに気付くのは、普段の姿からは想像しがたい。
はにわ展ではおよそ120件の埴輪を6部構成で展示。埼玉県熊谷市の野原古墳で出土した「踊る人々」の埴輪を2022年の修理後に初公開し、国宝だけで古墳時代を概説し、副葬品をみた後の4章で米シアトル美術館、国立歴史民俗博物館、奈良県天理市の天理大学附属天理参考館、群馬県伊勢崎市の相川考古館が所蔵する「挂甲の武人」と同じ工房がつくった埴輪を纏めて展示して目玉にする。
はにわ展は2025年1月21日から5月11日まで九州国立博物館に巡回する。