史跡公園化された青谷上寺地遺跡 | 歴史ニュース総合案内

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 鳥取市の青谷上寺地遺跡が史跡公園化され、3月24日に開館した。弥生時代の遺跡を巡り、「青谷上寺朗」のような弥生人コンテストのような振興を図る。

 青谷駅前にあった小ぶりな展示館を駅南の遺跡所在地で「青谷かみじち史跡公園」(ヤヨイーネ)として新規に整備。広くなったガイダンス棟で、交易船のモニュメントを象徴に、「弥生の美術館」「地下の弥生美術館」として1353点ある重要文化財指定の出土品を所蔵し、体験学習機能を強化した。野外では高床式倉庫や便益施設(トイレ)のほか、湿地の一部を「弥生の湿地ひろば」とした。展示ケースの化学物質濃度が高かったとの理由で、開館は半年遅れた。米子市の妻木晩田遺跡と並んで、県は「とっとり弥生の王国」を名乗っている。画仙紙などの因州和紙の産地である青谷の郷土館和紙工房は統合しなかった。

 

 日本海に面する高台にある青谷上寺地遺跡は、大陸からの交易船がやってくる港湾集落だった。公園近くを通る山陰自動車道を建設するための発掘調査から史跡の存在が判明した。

 発掘された人骨をDNA検査して、青谷弥生人の青谷上寺朗が現れた。話題を呼んだ2022年のそっくりさんグランプリを経て、この3月には2人目の青谷弥生人が披露された。もとになった人骨は頭蓋骨からみて女性とみられていたが、DNA分析すると10代前半の男と分かり、上寺朗の妻のはずが弟としてガイダンス棟に並ぶこととなった。開館記念展「青谷弥生人――その実像をさぐる」は9月23日まで。