中国初の慰安婦訴訟を準備 | 歴史ニュース総合案内

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 中国で旧日本軍の慰安婦にされた中国人の遺族が、4月23日までに日本政府の賠償を求めて中国の裁判所(法院)に提訴した。法院が訴えを受理すれば、中華人民共和国で初の慰安婦訴訟となる。

 1人当たり200万人民元の補償金と謝罪を求めて山西省の高級人民法院に提訴したのは、全員物故した慰安婦18名の遺族たち。元慰安婦らは1990年代、日本政府に賠償を求めて提訴していたが、敗訴していた。しかし、韓国で新たな補償を求める判決が出たのを受け、中国の裁判所も同じような判決を出すかもしれないと、健訟と呼ばれる訴訟社会の中国で提訴に踏み切った。

 山西省では万愛花張先兎「大娘」らが日本で提訴していたが、事実認定を受けるも2007年に時効などの理由により最高裁で敗訴が確定した。原告団で最後の生き残りだった張は2015年に故郷の孟県で亡くなった。

 

 中国政府は書くまでもなく歴史を政治利用しており、日中戦争での日本軍の蛮行を延々と述べ立てているが、慰安婦問題では韓国のように積極的に関与してはこなかった。日本人民も軍国主義の被害者だったとの認識から、戦時下の被害に関する個人請求権は、1972年の日中共同声明で放棄されたことになっている(第5の合意)。国交正常化(復交)後も中国政府は基本的にこの線を維持している。