ヒッタイト帝国の地方都市の粘土板 | 歴史ニュース総合案内

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 アナトリアのヒッタイト関連の遺跡でヒッタイト語以外の言語による楔形文字の粘土板がこのほど出土した。東京の中近東文化センターのアナトリア考古学研究所(JIAA)の発掘隊が、雷神の名が入った粘土板を発掘した。

 アンカラから南東に60kmほど離れた都市遺跡であるビュクリュカレ遺跡で2023年5月に、JIAAは宮殿遺構の城壁外側の堆積土から粘土板(長さ9cm)を発掘。JIAAによる10年近くの発掘調査で最も保存状態がよい粘土板の70行近くの楔形文字には、冒頭で都ハットゥシャなどの4街が災禍に遭っているとして、ヒッタイト領の東方ミタンニで使われるフリ語(フルリ語)で最高神テショブに祈祷している。ヒッタイト帝国勢力圏の西部に位置するビュクリュカレが宗教儀式を開けるほどの規模だったことを示している。別言語で祈祷しているのから判るように、ヒッタイト王国は衰退していた。

 

 鉄器をもたらしたヒッタイトの都ハットゥシャではビュユックカレという大城塞から楔形文字入りの粘土板が2万点以上見つかっているが、件のビュクリュカレ遺跡は別のものである。トルコ最長のクズルウルマック河が流れている。果たしてテショブ神はギリシアの雷神ゼウスと呼べるのか?