歴史的なデンマーク王の生前退位 | 歴史ニュース総合案内

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 デンマーク王国で女王マルグレーテ2世が1月14日に生前退位し、長男のフレデリック10世に譲位した。北欧の王国で平和的に君主が退位したのは、デーン人の頃の約900年振りと報じられている。

 グリュクスボー家(グリュックスブルク家)のマルグレーテ女王は年末にクリスチャンボー城で健康を理由に隠退を表明し、在位52年目に83歳で退位した。長らく英国のエリザベス2世女王(共にヴィクトリア女王の玄孫)の次に在位期間が長い女王だった。デンマークでの中途譲位は1146年にエリク3世ラム(非著名)が修道院に入った時以来という。退位声明はメット・フレデリクセン首相の預かり知らぬところで急になされた。

 

 クヌート大王はじめイングランドへも進出していたデンマークは、歴史的にはスカンジナビア半島を長く支配してきた北欧の大国である。その一部だったスウェーデンに17世紀ごろ覇権国の地位を渡した。オレンボー家を引き継いだグリュクスボー家は1863年にプロイセンへシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州を譲り、現在の領土に落ち着いた時以来の王家で、初代はクリスティアン9世。マルグレーテは中世にカルマル同盟を成立させて大国に育てた女大君以来の名前だった。