アウグストゥスの別荘跡を発掘か | 歴史ニュース総合案内

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 ローマ帝国初代皇帝のオクタウィアヌス(アウグストゥス)がヴェスヴィオ火山の近くに建てた別荘の可能性がある遺構がこのほど発掘された。東京大学の青柳正規教授が2000年代から発掘作業に当たっているソンマ・ヴェスヴィアーナ市の遺跡だ。

 アウグストゥスが逝去した地との文献があるこの遺跡は、ポンペイを79年に崩壊させた火山の北側にある。ローマ期の遺構が1930年代に出土して以来、その規模から歴史家タキトゥスの記述を基にアウグスティヌスの別荘との説が唱えられてきた。

 

 東京大学の発掘チームは2002年から調査を開始。3段構造の建物跡だけでなく大理石のディオニュソスやペプロフォロス像などを発見する成果を挙げたが、火山灰が降下した後の地層からのものだった。ナポリの北の地で亡くなったと記録されても、アウグストゥスが亡くなったのは紀元14年なので、1世紀か前1世紀のものでなければ、アウグストゥスの遺構と呼べない。

 2023年の発掘調査では、長らくの発掘地点とは別の建造物跡を調査。建造物跡の内部から火山灰の層位(高さ数10cm)が見つかり、ヴェスヴィオ火山の噴火で埋もれた建物と判明した。しかし、アウグストゥスのものだったことを示す遺物はまだ見つかっておらず、別荘の可能性がある段階だ。