ケツアルコアトル竜は滑空しない | 歴史ニュース総合案内

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 名古屋大学や東京大学の研究グループは巨大翼竜のケツアルコアトルスがほとんど滑空していなかったと結論し、成果を5月5日に米学術誌「PNASネクサス」に発表した。航空力学のモデルで翼竜の骨格を分析すると、翼竜の飛翔能力が極めて低かったことが判明した。

 名古屋大学大学院の後藤佑介研究員らはフランスのシゼ生物学研究センターとも共同でケツアルコアトルスやプテラノドンといった翼竜の滑空能力(ソアリング)を比較。旋回半径と降下速度の関係性を推測し、アステカ神話の巨鳥に由来するケツアルコアトルスが上昇気流によるサーマルソアリングも、海の風速勾配を用いたダイナミック・ソアリングも苦手で、ほとんど陸地で暮らしていた姿を見出した。既存の推定では、羽毛のないケツアルコアトルスなどの翼竜は羽ばたけなくとも、上昇気流を使って飛行していたと考えられてきた。

 滑空方式を巡って論争があるプテラノドンの場合は海上に棲息しているのにサーマルソアリングの方が得意だったと結論。絶滅巨鳥のアルゲンタヴィスと海鳥ペラゴルニス・サンデルシについても考察され、前者は従来通りサーマルソアリングの方が得意と証明されたが、後者ではダイナミック・ソアリングの方が得意だったという主流説が否定された。

 滑空は羽ばたきよりもずっと大型鳥類の基本的な飛行法であり、コンドルは99%の飛行が滑空である。