大陸プレートが衝突するチリのアタカマ砂漠で約3800年前にマグニチュード9.5の未知の大地震が起きていた痕跡が確認され、関連論文が4月8日までに米誌サイエンス・アドヴァンシズに掲載された。痕跡の長さは1000kmにもなり、一帯を1000年近く無人の地にしたという。
チリ大学の研究チームは、ナスカプレートと南米プレートがぶつかるチリ北部を横断調査。600kmぶん沿岸堆積物を集めて放射性炭素で年代測定し、約3800年前にプレートが隆起する津波地震が発生していたことを突き止めた。堆積物の下からは、当時の人々がつくった石造建物や、津波の引き潮で倒壊した建物を確認した。その後、沿岸部で1000年近く人家の出土事例が途絶えている。
研究に加わった豪ニューサウスウェールズ大学のジェームズ・ゴフは、ニュージーランドのチャタム諸島で同時期の岩石が津波により内陸へ打ち上げられていると指摘。今日でも警報されるように、チリの津波が太平洋を越えて海の反対側まで届く驚異を説いた。
この辺りでは近代の1877年にM8.8のイキケ地震が、1922年にはM8.5のアタカマ地震が発生。しかし、太古の地震ではこれよりも古い時期に2つの震源域を同時に揺らす規模だったという。