英国家庭の清朝の壺 | 歴史ニュース総合案内

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 英国の一家庭の台所に飾られていた花瓶が、清の乾隆帝(在1735~95)ゆかりのものだったことが判明し、5月18日にオークションで180万ドルにて落札された。外科医が1980年代に購入した花瓶が思わぬ高級品だったことになる。

 高さ約60cmの花瓶は青磁に金銀装飾が施されたもの。雲鶴や蝙蝠といった長寿の象徴が描かれており、乾隆帝の治世に景徳鎮の唐英(1682~1756)が考案した金銀エナメル装飾(七宝)の複雑な技法が用いられている。使われている琺瑯画法から見て、紫禁城で飾られていた天球を表現する高級品が、清末の衰亡で海外に流出したと推定されている。そして、蒐集趣味のある英国人の外科医の手に渡ったが、花瓶を継承した息子ともども来歴不明のアンティーク品と看做してきた。ドレウィッツ社のアジア美術担当者が持ち主との交友で価値を見出した。

 花瓶がアロー戦争や義和団事変の際に掠奪されたとの懸念もあるが、どのような経緯で英国に流れたかは全く不明である。