凄まじい音
僕の眠りが浅かったのでうろ覚えなのかも知れ
ないが、その直前にお客さんかどうかは分から
ないが、男性と店の人が言い争いの末に、その
男性がお店を出て行ったような記憶があるんだ。
そして何だか分からないまま店内では女性たちが
母国語でワイワイと騒ぎ始めた。
寝ている僕にはお構いなしに何回も部屋に入って
来ては窓から下を覗きこんでまたワイワイと騒い
でいる。
僕はベッドの中で、
『お客さんとトラブルがあったのかな』
『金返せ』
の類かなと思って事態の推移を見守っていた。
そして暫くすると全ての部屋の明かりを消して女性
たちは息を潜めて隠れているような雰囲気だった。
それから間もなくして
鉄製の入り口の扉を物凄い勢いで叩く音が響き出す。
バンバンバン! バンバンバン! バンバンバン!
何度も何度もだ。
あまりにも激しい扉の叩き方に尋常なことではないと
分かったが、扉の外からの声は聞こえない。
僕の所まで距離はあるのだが、声がせずに扉を強く
叩く音だけ響くのが不気味だった。