大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手が出場するオールスターゲームのホームラン競争が12日、日本時間の13日に行われ、大谷選手は第1シードから初優勝を目指します。
ホームラン競争は、オールスターゲームの前日に行われるイベントで、大リーグ屈指の強打者8人が、トーナメント形式で制限時間内に何本ホームランを打てるかを競います。
日本選手で初めて出場する大谷選手は、前半戦で両リーグを通じトップの33本のホームランを打ち、第1シードとなっていて、1回戦ではナショナルズの若手スラッガー、ソト選手と対戦します。
ホームラン競争では、出場する選手が自由にピッチャーやキャッチャーを指名することができ、家族を指名する選手もいます。
大谷選手はピッチャー役にエンジェルスのブルペンキャッチャー、ジェイソン・ブラウンさん、キャッチャー役に通訳の水原一平さんをそれぞれ指名していて、息のあったプレーでホームラン量産につなげたいところです。
また、ことしの会場となっているコロラド州デンバーの球場は、標高が高いため打球が飛びやすく、今シーズン自己最長の143メートルのホームランを打っている大谷選手に特大の1打が出るかも注目されます。
ホームラン競争は日本時間の13日行われ、NHKは午前9時5分から総合テレビで中継し、NHKプラスでも同時配信します。
大リーグのホームラン競争は、1985年に始まったイベントでオールスターゲームの前日に行われ、過去の優勝者にはバリー・ボンズさんや、ケン・グリフィーさんなど、大リーグ屈指の強打者たちが名を連ねています。
昨シーズンは新型コロナウイルスの影響でオールスターゲームが開催されなかったため、ホームラン競争も2シーズンぶりの開催となります。
8人の選手が1対1のトーナメント方式で、持ち時間の間にどれだけ多くのホームランを打てるかを競いますが、例年、疲労などを考慮して辞退する選手も珍しくなく、ことしも大谷選手に次ぐホームラン28本を打っているブルージェイズのゲレーロJr.選手や、パドレスのタティースJr.選手などが辞退しています。
そのため、ことしはルールが変更され、これまで4分だった持ち時間が1回戦と準決勝は3分に、決勝は2分に短縮されたうえで、各選手には持ち時間終了後に30秒のボーナスタイムが与えられることになりました。
また、飛距離が144.7メートル以上のホームランを打てばボーナスタイムがさらに30秒増え、ボーナスタイムの間はカラフルな特別球が使用されます。
選手の疲労を考慮して、後攻の選手が先攻の選手の本数を上回った場合は、その時点で終了となり、選手は競技中に45秒の休憩を取ることもできます。
同じ本数で並んだ場合は、延長戦として60秒間のタイブレークが行われます。
優勝賞金は、おととしのホームラン競争から、それまでの8倍となり、日本円でおよそ1億1000万円となっています。
ことしのホームラン競争で、大谷選手の日本選手初優勝なるかとともに注目されるのが、ホームランの飛距離です。
理由は、その舞台にあります。
オールスターゲームが行われるコロラド州デンバーの「クアーズフィールド」は、ナショナルリーグのロッキーズの本拠地で1995年にオープンし、広さは両翼がおよそ106メートル、センターが126メートルです。
最大の特徴は標高およそ1600メートルの高地にあることで、気圧が低く空気抵抗が抑えられるため打球の飛距離が伸び、大リーグの中でも特にバッターに有利な球場として知られています。
ロッキーズによりますと、海面と同じ標高にある球場と比べると、飛距離が9%伸びるということです。
このため、この球場で使われるボールは飛距離が抑えられるよう、湿度をおよそ50%に加湿した状態で保管していますが、ホームラン競争ではこうした保管はせず、乾いた状態のボールを使うことになっていて、公式戦よりさらにボールが飛びやすい状況が作られています。
大谷選手は、まだこの球場でホームランを打ったことはありませんが、大リーグ1年目の2018年5月に試合前のバッティング練習でライトの3階席に届く、推定およそ150メートルの特大の打球を放っていて、ホームラン競争ではその本数とともにどこまで飛ばすのかにも注目が集まります。
大リーグ屈指の強打者がそろうホームラン競争で、大谷選手が1回戦で対戦するのはナショナルズの若きスラッガー、22歳のソト選手です。
おととしホームラン34本を打ち、短縮シーズンだった去年は、47試合に出場してホームランは大谷選手より6本多い13本、打率3割5分1厘をマークしてナショナルリーグの首位打者となった実力者です。
今シーズンは、ここまでホームラン11本にとどまっているため第8シードとなっていますが、決してあなどれない相手です。
大谷選手が1回戦に勝てば、準決勝ではおととしのホームラン競争で優勝したメッツのアロンゾ選手とロイヤルズの強打のキャッチャー、ペレス選手の勝者と対戦します。
このうち26歳のアロンゾ選手は、おととしホームラン53本を打ってホームラン王と新人王を獲得したスラッガーです。
ことしの出場者の中でただ1人、ホームラン競争の優勝を経験していて、ことしはオールスターゲームには出場しませんが、ホームラン競争には「自分のタイトルを守りたい」と参加を決め、連覇を目指します。
大谷選手が決勝まで進んだ場合に対戦が楽しみなのは、今シーズン24本のホームランを打っているレンジャーズのギャロ選手です。
今回、大谷選手に次ぐ第2シードとなっています。
27歳のギャロ選手は大リーグ通算144本のホームランを打っていて、2017年と2018年には2年連続でシーズン40本を達成しています。
通算打率は2割1分3厘と低く、典型的な「当たればホームラン」というパワーの持ち主で、シングルヒットの通算100本よりも先に通算100ホームランを達成するという珍しい記録を持っています。
ここ15試合でホームラン11本と好調な状態でホームラン競争を迎え、大谷選手のライバルとして注目を集めています。
大谷選手と反対側の山には、このほかにも、クアーズフィールドを知り尽くした地元、ロッキーズのストーリー選手、今シーズン、結腸がんから復帰したオリオールズのマンシーニ選手、今シーズン23本のホームランを打っているアスレティックスのオルソン選手と、各チームの主軸が顔をそろえています。