国外転出時課税制度-納税猶予を受けた場合の納税 | 中小企業の税金と財務に強くなるブログ

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皆さんこんばんは。

実は本日、誕生日を迎えました

これからも頑張って行きたいと思いますので、

応援の程、どうか宜しくお願いいたします


前回に引き続き、今回は納税猶予を受けた場合の国外転出時課税制度の納税

についてご紹介いたします。


国外転出時課税制度は、原則として海外に居住地を移した場合には、

その転出時に有する株式等(対象資産といいます)の含み益に対し、

即時に課税と納税をしなければなりません。

 しかし納税管理人を定め、かつ担保を提供することで、申告期限が3/15に

なることと、国外転出課税の納税が猶予されます。


 ここまでは以前のブログでも紹介しましたが、納税猶予を受けることで

さらに以下のメリットを受けることが出来ます。

※納税猶予を受けた場合の、納税上のメリット
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1.移住後5年経過前に対象資産を譲渡した場合・・・
       その譲渡に関する外国所得税額控除を受けることが出来る。
2.移住後5年以内に帰国し、日本国内に居住をした場合・・・
       帰国時に有している対象資産に関する所得税が免除される。
3.納税猶予期間が終了した場合・・・
       終了時に有している対象資産が値下がりしている場合、その
       値下がり部分に対応する所得税が免除される。

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簡単に說明します。

1ですが、もし対象資産を譲渡した場合、その移住した外国にて申告を

行うことになります。その際に納税した外国所得税と、日本の所得税と

二重に課税される事となります(これを二重課税と言います)。

だって納税猶予とはいえ、日本の所得税をいずれ納税しなければなりませんからね。

 納税猶予を受けていれば、この二重課税部分に相当する所得税について

外国所得税額相当額を控除
し、日本の所得税を減らすことが出来ます。


次に2です。

もし納税猶予期間中に、対象資産をそのまま保有して帰国した場合には、

国外転出時課税の全てがなかったことになります。
これは分かりやすい


最後に3です。

納税猶予期間は原則5年、海外出張等の特別な理由がある場合には10年と

なっていますが、この猶予期間の間にも株価等は当然変動します。

もし対象資産を保有し続けた場合、この期間に値下がりしてしまった値下がり部分にも

課税されてしまう結果となります。

この値下がり部分について所得税が免除されます。


 納税猶予を受けられると、様々な優遇がありますが、いずれも

納税猶予を受けていなければ、適用されません。

 国外転出時課税制度の適用を受けてしまう場合には、

必ず納税猶予の手続きをすることをお勧めします。


 また、もし納税猶予を受けている方がお亡くなりになった場合には

その相続人が納税猶予を引き継ぐこととなります。

そしてその相続人の居住地が国外である場合には、引き続き

納税猶予を受けることが出来ます。
しかし、その相続人についての

納税管理人を置かなければなりません。

 また、相続人が国内の居住者であれば、直ちに免税の手続きを取ることが出来ます。


 いかがでしょうか。


 ここで賢い方は、海外にいる親族に株式等をあげちゃおうと考えるかもしれません。
(ヤブから棒ですみません


え、何でって? 

 何故なら、その贈与を受ける親族(ここでは【受贈者】といいます)

相続税の制限納税義務者に該当する場合には、日本の贈与税が

課税されない
からです。

 さらにもしその親族が贈与税の無い国に住んでいれば、相続税・贈与税が

全く課税されずに済んでしまうからなんです。


 では、もしこの対象資産を国外に居住している親族に贈与した場合はどうなるでしょうか。


もちろん、課税庁はそのことも十分理解してます。

 次回は2つめの国外転出時課税制度、

【非居住者に贈与をした場合の所得税の課税の特例】

を紹介いたします。


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ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました!