国外転出時課税制度-申告手続き | 中小企業の税金と財務に強くなるブログ

中小企業の税金と財務に強くなるブログ

 中小企業が持続的に成長・繁栄して行く上で、財務と税金は必要不可欠な情報であり、また、効果的な対策が出来なければ、会社の存続にもかかわる、非常に重要な情報でもあります。このブログでは、そんな中小企業様に少しでもお役に立てる情報を提供していきます。

皆さんこんばんは。

ゴールデンウイークはいかがでしたでしょうか。

自分は郡山の【正月屋】さんで、初めて郡山ラーメンを食べました。

なかなか行けます ラーメンはあっさり醤油に限りますね。


前回のブログでは、国外転出課税制度の概要を紹介しました。

海外へ移住するだけで有価証券等の含み益に課税されてしまうという制度です。

なおこの制度は、平成27年7月1日に施行されます。

今回はこの国外転出課税制度の手続を紹介します。


 まずこの制度に該当することとなった場合、申告までの3つの期限が重要になります。

※3つの期限
~~~~~~~~
1.評価の日
2.申告期限
3.納付期限
~~~~~~~~

 この制度の要件に該当することとなった場合、その手続については

大きく分けて2つのパターンがあります。それは納税管理人を選任するかどうかです。

納税管理人とは、国税通則法第117条に定められています。納税者が国内に

住所及び居所を有しない事となる場合に、その納税者に変わって以下の事務を

行うことが出来る者を納税管理人といいます。

※納税管理人の業務
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
1.税務署等からの書類の受理
2.申告書の提出の代行
3.納税者の納税の代行及び還付金の受領
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
(申告書の作成は税理士法に抵触するため、税理士でない納税管理人は出来ません)


 納税管理人を定めない場合には、その出国の日までに申告と納税を

済ませなければならず、かつ納税猶予の制度も受けることが出来ません。

(納税猶予については後述します)

納税管理人を定めないと、納税者に一番不利な扱いとなります。


 もし納税管理人を定めた場合、納税期限と確定申告期限が、通常の確定申告と

同じ期限となります。また、担保を提供することで、納税の猶予を受けることが出来ます。

ですので、納税管理人をを置き、かつ担保を提供すれば、とりあえず納税は

回避することが出来ます。


 手続は次のように整理できます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■納税管理人  ありの場合     なしの場合
1.評価の日   国外転出の日   国外転出の日より3ヶ月前の日
2.申告期限   翌年3月15日    国外転出の日
3.納付期限     (※)       国外転出の日
 ※担保提供あり・・・納税猶予
   担保提供なし・・・翌年3月15日

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  
 またここでは紹介しませんが、納税猶予を受けることで、納税に関する

優遇を受けることが出来ます。もし、納税猶予しないで納税してしまうと

受けられない特例もあります。

 ですので、この規定に該当することとなった場合には、

納税管理人の選定と担保の提供により、納税猶予を受ける事を検討しましょう。



 納税管理人は税理士以外の個人や法人でも構いません。

納税の事務を行う場合、もし納税が出来なかったとしても納税管理人が立て替え払い

をする必要はありませんので、どうかご安心を。でも、税理士以外の者が

選定された場合、税務申告は出来ませんので、十分注意してくださいね


 さて、納税猶予となった場合には、いつ納税しなければいけないのでしょうか。

また、納税後に実際に有価証券等を売却した場合に、外国にて所得税が

課税されたときは、日本と外国から二重に税金を取られてしまいますよね。


 上記のような場合には救済措置が設けられています。 次回は、納税猶予と

納税について説明を致します。
 

(お願い) 励みになりますので人気ブログランキングへをクリックしていただけると幸いです。
人気ブログランキングのページへ行きますと当ブログにポイントが付きます。

「千葉県で頑張る税理士、阿部尚武税理士事務所」

ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました!