幾つかの重要技術(菊池嘉晃研究-6) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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在日朝鮮人帰国運動で日本から幾つかの重要技術が北朝鮮へ移転した。移転した事は実証的に論じられる。だが、問題は北朝鮮だったのか?北朝鮮だけであったのか?疑問が残る。そのカギを解くのが木村光彦教授の一連のロシア語文献の調査研究である。ソ連時代に世界科学者連盟という国際共産主義運動の科学技術蒐集組織が存在した。

世界科学者連盟の名称を、『北朝鮮帰国事業の研究』という膨大な著作から探すのは大変である。旧ソ連圏の先進資本主義諸国から遅れた部門、化学技術の分野での遅れは深刻であった。軍需を支える基礎生産部門での遅れは軍事技術へ深刻な影響を与えていた。

朝鮮戦争は、その技術格差を明らかにする。

それをどの様な形で導入するか?日本もその標的の一つとなる。北朝鮮の情報機関がKGBの下請けをさせられていたとは、救う会の創設者である佐藤勝巳初代会長の証言だが、KGBが帰国運動に動いた形跡は木村光彦教授の労作から読み取れるのだが、菊池嘉晃君はそこへ手を入れていないようだ。