『鴨緑江』特別号(朝鮮研究-166) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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新緑会が1996年に刊行している。新緑会とは平北・新義州地区居留民の集まり、引揚者の組織であった。その新緑会会員の在住40年の記録が特別号となって刊行されていた。

この記録の重要性は定州在住だった人の記録も収集されているからだ。例の人、文鮮明のルーツを調べて行くに欠かせない資料となってもいる。

特にこの資料が重要性を帯びてくるのは、旧ソ連軍の悪逆非道、暴挙さが記録されている事だ。在日の文学にたずさわっている金石範・金時鐘のある意味で民族的良心を問う資料ともなっている。本当に38度線以南の人々は良かった。ソ連軍の侵攻を受けなかった幸せを感じるべきだろう。何で今でも38度線以南の米軍の占領政策を非難し、38度線以北に進駐したソ連軍の悪逆非道さを糾弾しないのだろう。

極東コミンフォルムの指令のもと、武装蜂起しないときに米軍に武力鎮圧が行われたのであろうか。この『鴨緑江』特別号には、朝鮮の青年の抗議行動へトラックの上から機関銃を発射してバタバタと殺戮したことが記録されている。

金石範は済州島の武装蜂起を描くだけでなく、武器も持たない青年が拳を振り上げただけで機関銃で殺戮されていった新義州義挙も小説にして貰いたい。

発行責任者は林健一さんだ。