『北朝鮮の延命戦争』(朝鮮研究-167) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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1998年にネスコが刊行し、文藝春秋が発売している。NK会編である。花房征夫が「改革、開放はない」と述べている。実に的確な予測であった。金正恩体制に改革・開放の”期待”はできない。

「まえがき」にて、玉城素師が「ある国家の意志によって”人さらい”が頻繁に行われ、さらわれた人々がまだその国に生きているらしいことに、われわれは戦慄している」と、小泉訪朝の4年前にも関わらず書いている。

玉城素師には国際共産主義運動の一環で日共の幹部として活躍した体験を基礎に、今一歩踏み込んで発言というか、人さらいという拉致行為を分析して貰いたかった。

それは社会主義国家というものは、一般的に拉致行為を行うものです、と分析した言葉を残しておいて貰いたかった。

2024年の『世界』誌1月号での蓮池薫氏の自伝的寄稿で、79年代の拉致行為が北朝鮮単独では無いらしい、との指摘が出始めている現状を見る時、玉城素師には踏み込んで発言して置いて貰いたかったのだが。確か、玉城素師存命中にそれを裏付ける記事が『AERA』誌に掲載されていた。小北清人記者の筆だと言われている。

佐藤勝巳は70年代の拉致行為が、延命に繋がっていると述べていなかっただろうか?