坪江汕二(朝鮮研究-119) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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今、金石範のフィクションの分析を始めた。作家であり、その作品はフェイクとは言い難いが、金石範の描写でフェイクだと指摘して行きたいのは数字である。確か、死者8万人とあったりすると驚いてしまう。そんなに殺す、殺されたのですか?と問いたい。

それで当時の状況を日本人で一番観察し、記録に残した坪江汕二の作品を書庫から引っ張りだしている。

その理由は『統一日報』紙に、金石範を論じ始めたからである。『解放10年』など韓国史読解に欠かせない。そこで理解されてくるのは金石範は、韓国の当時の記録など余り無い、と甘く見て小説を書いている事だ。そこが松本清張と通じる。コミンフォルムを善とする前提での著作活動である。

文藝春秋は松本清張作品が間違っていると認め謝罪し、絶版にしている作品もある。絶版前に購入して良かった。原田大六さんから松本清張作品の創作、歴史と言いながらもフィクションが多いとの指摘を直に耳にしているお陰である。糸島の原田大六さんは余りの過ちの多さに出版社へ抗議した処、「フィクションです」という返事が返ってきたそうだ。

要は金石範の作品から済州島4.3事件を見ると間違う、という事である。『火山島』は、見事なフィクションなのです。