金鐘在(在日-201) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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金鐘在は1900年、釜山府絶影島に生まれる。1916年、16歳にして渡日する。釜山の桟橋で9円24銭だして東京行きの切符を手に入れている。

午前10時に下関発の東京行きに乗車し、麻布の学生労働会へ行く。その後、新聞配達に従事している。麻布区内の新聞配達に従事するのだが、この時、洪思翔中尉の知遇を得ている。新聞配達から人力車の車夫を務め、1919年には呂運亨が吉野作造博士と会談している場に出向いている。呂運亨と会って以後、特高と知り合いになり、1923年の関東大震災時の事が記録されている。

金鐘在は新聞配達、人力車の車夫をしながら正則中学に通う苦学生であった。朝鮮人苦学生として青春を東京で過ごし、関東大震災に遭遇する。朝鮮人を傷つける自警団を特高が蹴散らせたことも語っている。

関東大震災時に朝鮮人の生命を守ったのは警察官であった。このことを証明する金鐘在の自伝は一読に値する。