男達は、風の手を切ったのだ。



2つに分かれた風の手は、細かな風となって拡散し、キュールもどきは消えていた。


風の手を切った男達は、片方はひどく滑稽は姿だった。


小人のように小さく、羽が生えていた。


もう片方の男は、少年と同じ姿形で、背は高く、体つきもがっしりしているところから見て、少年より年上のようだった。


そして二人の男達に共通していることは、戦闘服と鋭利な剣を持っていた。


ただ漠然としている少年を、二人の男は振り向いた。
少年は恐ろしさを感じながらも、ああ…。これが所謂絶体絶命って言うんだろなー…。などとぼんやり考えていた。


これが所謂現実逃避である。


「どうした。お前ももうそう永くないんだぜ?命乞いでもしてみたらどうだ。もしくは戦ってみるか?」


と、キュールもどきは鋭く嘲笑った。


なおも黙っている少年にキュールもどきは言った。


「こないならこっちから先に行かせてもらうぞ。」


静かに言い放つと、キュールもどきはふっと息を吹いた。


すると、それが忽ち突風になり、まるで手のようになって少年の首を絞めようとした。


少年は思わず目を瞑った。



―と、風の手が止まった。


恐る恐る目を開けると、風の手は、小刻みに震えていた。


見ると、剣を持った男が2人いた。
キュールもどきの姿は一変していた。


姿形は何者にも似ていなかった。

敢えて言うならば、狼だが、似ているとも言えず、大きさも各段と違った。


キュールもどきは、歯と、爪が各段と鋭く、どちらも少年の手くらいあった。


キュールもどきは恐ろしい牙を剥き出しにして話した。


「舐めた真似をしてくれた物だ。私はこの程度じゃ死なないんだよ!!」


少年は今度こそ真っ青になった。


「…何故…」


少年の呟きに、キュールもどきは鼻で笑って答えた。


「言ったろう。愚者なぞ私には只の虫螻なのだ。」


キュールもどきの言ったことは本当だった。


キュールもどきが一声唸ると、愚者は叫び声をあげる暇なく暗黒に呑まれこの世を去った。