アメリカで中絶巡り何が起きている?連邦最高裁の判断とは?

 

アメリカで女性の権利として広く認められてきた、人工妊娠中絶。

ところが、2022年、性的暴行を受けて妊娠したオハイオ州の10歳の女の子が、中絶をするため、隣の州まで移動せざるを得ませんでした。

望まない妊娠をした女の子がなぜ、隣の州まで移動しなければ、中絶をすることができなかったのか?

 

女の子に何があったの?

アメリカ中西部オハイオ州で、2022年5月、10歳になる女の子が性的暴行を受けました。

女の子は、その後6月に妊娠していることが発覚。すでに妊娠6週を過ぎていたとみられ、暮らしているオハイオ州から、隣のインディアナ州まで移動して、中絶しました。

そして7月に入って、27歳の男が、女の子に性的暴行を加えた疑いで逮捕されました。

 

なぜ、隣の州で中絶したの?

女の子が中絶をしたとされるのは、6月30日。

その直前の2022年6月24日に、アメリカの連邦最高裁判所が「中絶は憲法で認められた女性の権利だ」とする49年前の判断を覆したからです。

オハイオ州では、2019年に「胎児の心拍が確認できる妊娠6週以降、母体に命の危険がある場合を除いて中絶を禁止する」という法律が成立していましたが、裁判所によって一時的に差し止められていました。

しかし、連邦最高裁が新しい判断を出したことで、この法律が効力を持つことになったのです。

これによって、オハイオ州では、妊娠6週以降の中絶が、原則、禁止されることになりました。性的暴行や近親相かんなどによる妊娠でも、中絶はできないとされています。

このため、女の子は妊娠6週を過ぎての中絶がまだ禁止されていない隣のインディアナ州に移動して中絶することになりました。

中絶を巡る49年前の判断とは?

アメリカでは人工妊娠中絶を巡って1973年、連邦最高裁が「中絶は憲法で認められた女性の権利」だとする判断を示しました。

きっかけとなったのは、南部テキサス州の妊婦が起こした訴訟で、「母体の生命を保護するために必要な場合を除いて、人工妊娠中絶を禁止する」とした州の法律は女性の権利を侵害し、違憲だとして訴えたことでした。

裁判は、原告の妊婦を仮の名前で「ジェーン・ロー」と呼んだことから、相手の州検事の名前と合わせて「ロー対ウェイド」裁判と呼ばれています。

 

最終的に連邦最高裁は「胎児が子宮の外で生きられるようになるまでなら中絶は認められる」として、中絶を原則として禁止したテキサス州の法律を違憲とし、妊娠後期に入る前までの中絶を認める判断をしました。

根拠としたのは、プライバシー権を憲法上の権利として認めた合衆国憲法の修正第14条です。

憲法では、中絶について明文化されていないものの、連邦最高裁は女性が中絶するかどうかを決めるのは、個人的な問題を自分の意思で決定するというプライバシー権に含まれると判断しました。

これが判例となり、以後およそ50年にわたって、中絶は憲法で認められた女性の権利だとされてきました。

しかし、近年、特に中絶に反対する共和党の支持者が多いとされる地域で、女性がみずからの体に関わることを自分で決められる権利よりも、宿った命こそが大切だとして、人工妊娠中絶を厳しく規制する法律が相次いで成立していました。

連邦最高裁の新しい判断でどんな影響が出るの?

連邦最高裁の多数派の判事たち(※)が示した新たな判断の一文には次のような文言があります。

「憲法は中絶する権利を与えていない。49年前の判断は覆される。中絶を規制する権限は市民の手に取り戻されることになる」

これは、中絶を規制するかどうかは、憲法上の問題ではなく、それぞれの州の判断に委ねられるということを意味しています。

このため、女の子が住んでいたオハイオ州では、連邦最高裁の新しい判断が出るのとほぼ同時に、中絶を原則禁止する法律が発効しました。

 

こうした動きは広がっていて、アメリカで性と生殖に関する健康と権利を研究するNPO「Guttmacher Institute」の調査によりますと、8月1日の時点で、中絶を原則禁止したのが9州。

中絶を厳しく規制する方向の州は、全米の半数以上に上るとみられています。実際に、中絶が原則禁止されたミシシッピ州では、州内で唯一、中絶を行う病院が、今回の新しい判断に合わせて閉鎖されました。

これによって、州内に住む女性は、他の州に行かないと中絶することができなくなりました。

アメリカの団体の調査では、連邦最高裁が新しい判断を出してからの1か月間で、43の病院が中絶を行うのをやめたり、病院自体を閉鎖したりしているということです。

アメリカの連邦最高裁判所
アメリカの連邦最高裁の判断は、9人の判事の多数決で決まる。この際に大きく影響するのが、保守派とリベラル派の判事の構成比。現在の顔ぶれは、保守派6人、リベラル派3人となっている。中絶に関しては、保守派が反対、リベラル派が擁護の立場。

中絶を行えなくなるとどうなるの?

州内に中絶を行える病院がなくなった場合や、オハイオ州の女の子のように、州の法律が認める妊娠の週数を超えてしまった場合には、中絶が禁止されていない他の州に移動して中絶せざるを得ない場合があります。

ただ、アメリカの国土は広いので、中絶ができる病院まで10時間以上運転したり、飛行機に乗ったりしないといけないケースもあり、身体的、経済的な負担が今まで以上に大きくなっています。

こうした中、需要が増しているのが中絶薬です。

 

支援団体などによりますと、連邦最高裁の新しい判断のあと、中絶薬の需要が急増しているということです。

アメリカは、日本と違って中絶薬での中絶が認められていて、もともと、中絶件数の約半数は、中絶薬による中絶が占めていました。(Guttmacher Institute調べ)

一方で、中絶が原則禁止された州にいる女性に中絶薬を郵送することは罪に問われる可能性もあるとして、そうした州には送っていない団体もあります。

このため、住んでいる場所によっては、病院へのアクセスも、中絶薬へのアクセスも絶たれている女性もいるとみられます。

アメリカ国内の受け止めは?

アメリカの世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」が2022年6月に発表した調査の結果は次のとおりでした。

中絶に関して「すべての場合で合法とすべき」と「ほとんどの場合で合法とすべき」と答えた人の割合はあわせて61%。

「すべての場合で違法とすべき」「ほとんどの場合で違法とすべき」と答えた人の割合はあわせて37%でした。

この調査は、1995年から行われていて、中絶を「合法とすべき」だと考える人の割合が、「違法とすべき」だと考える人の割合を一貫して上回っているということです。

 

一方で、中絶はアメリカの世論を二分する問題で、連邦最高裁の新しい判断を受けて、各地では中絶擁護派と反対派(※)の双方がデモを行っています。

デモの現場を取材するたび、「中絶は女性の権利だ」「自分の体のことは自分で決められるべき」という中絶擁護派と、「命は受精の瞬間から命」「中絶は殺人」という中絶反対派が、激しく言い争う場面を目の当たりにします。

さらに、中絶を行う病院の前では、病院に来る車を中絶反対派が妨害したり、病院に入ろうとする女性に対して中絶を諦めさせようと説得したりしています。

 

一方で、中絶反対派の中でも、今回の連邦最高裁の判断を受けて、すべての中絶を禁止にするのではなく、性的暴行などの場合には、例外として認めるべきではないかといった声も上がっています。

アメリカにおける人工妊娠中絶
長きにわたり、国を二分してきた問題。中絶擁護派は「プロ・チョイス(選択できることが大事)」、中絶反対派は「プロ・ライフ(胎児の命こそが大事)」と呼ばれ、激しく対立している。(「プロ」とは、賛成の意味)
「プロ・チョイス」に賛同するのは民主党支持者、「プロ・ライフ」は共和党支持者が多いとされ、11月の中間選挙では争点の1つとして浮上している。

取材後記

今回の取材を通して印象に残っているのは、ミシシッピ州で中絶を行っていた病院の医師の言葉です。

シェリル・ハムリン医師

「州内で中絶できる病院がなくなり、今後、最も苦しむのは、金銭的にも物理的にも州外に移動することが難しい貧しい女性たちです。中絶はなくなりません。なくなるのは、『安全な中絶へのアクセス』だけです。本当に助けを必要とする人を助けることができないのは、医師としてもどかしいです」

この医師が話すように、中絶が禁止されると、近くに中絶できる病院がなくなり、母体の命が危険にさらされるケースも出てくる恐れもあり、安全な中絶へのアクセスが失われることを意味します。

 

 

えっ、嘘でしょ、アメリカで起きてる中絶論争について。   医師 布施信彦

 

 

大変なことが起きている、先進国の米国で。

「妊娠6週以降の中絶が、原則、禁止されることになった」(半数の州でだが)

おっと、何かの間違えでしょうか。日本人からすると、理解にできないのではないでしょうか。

妊娠6週です。毎月定期的、正確に月経がくる女性は気づくことができるかもしれませんが、現代では、生理不順の女性も多く、生理が遅れることもよくあり、さほど気にせずに通過してしまうでしょう。

 

しかし「6週以降の中絶はダメです」とは

中絶するのに病院を決めたり準備を一週間するならば、5週以内に気付け、とういうことですが、ほぼ不可能です。

決断しきれない、特に若い年代の女性は、むしろ誰にも伝えられなくて、すぐ通過してしまう時間です。

 

ちなみに日本はというと、「妊娠22週以降の中絶は禁止」です。

 

なんだこの違いは。6週と22週て、4ヶ月も違う。

なんだなんだ、どーなってるんだ。

 

 

期間の結論から考えると理解しやすいです。

日本の22週はとことん期間を引っ張った結果、ここより後に出すと母体が危険ですというライン。

米国の6週は、絶対に中絶が出来ないライン。

 

22週は理論的に危険な期間なので、中絶の決断はそれより早く、だが、十分考えて判断する時間がある。(女性の体を中心に考えられている)

 

 

Why?なぜ、米国はそんなにまでして中絶させたくないの?

 

いくつかの理由があります。

①  体の中に宿った命をすでに一つの生命と捉えて、母体もお腹の生命も『対等』の立場だという考え。

これは米国は男女平等も含め、一旦平等、対等と決めたらそのようにしないと気が済まない。

②  キリスト教では古くから中絶を認めているわけではない。

しかし、そんなに敬虔なキリスト教徒もそんなに今はいませんが。

③  これが一番政治的に大きい要素。

共和党が中絶反対をキャンペーンに入れている。

共和党は、民主党が新しいアメリカだとしたら、古きアメリカ。

「国家の強さはその人口である」と言うことで、戦争の時代において、人口が多いと、その生産力、消費力、戦力として重要な要素でした。

つまり、共和党としても、人口を減らしたくない。

えっ、米国の人口増えてるじゃない?と言いますが、白人の人口は相対的に減り続けています。

統計的に見て、将来、米国の人口の70%はヒスパニック系(メキシコや南米)になります。

この時選挙したら、大統領は当然、ヒスパニック系です。

 

 

共和党のキャンペーンに、生命の対等の理屈がついて、国民が踊らされているような感じです。

 

 

母体が強い意識を持って妊娠したものでない以上、この負担を女性に背負わせることはできません。

 

 

 

一時的な盛り上がりを見せていますが、最終的には通らないと考えています。

                       布施信彦 医師

 

生物の歴史は一言で言うと、『環境変化への適応の歴史』といえます。                   布施信彦 医師

 

 

 

新型コロナウイルスに対するワクチンは当初難しいと考えられていた。

RNAウイルスであるコロナウイルスは、常に遺伝子転移(ミューテーション)を起こし続ける。つまり姿をどんどん変えて行くからで、仮にその時の姿に合わせてワクチンを製造しても、出来上がる頃には、すでにウイルスは違う姿になってしまっていて、効力がなくなると考えられていたからです。

この理屈は今も変わらないのですが、幸運だったのは、ウイルスがその性質をどんどん変えたが、全体として、『まだ、そこそこ似ていた』ということです。

このため、このパンデミックの間、最初に作ったワクチンが有効な効果を示し続けたのです。

もちろんミューテーションがもっと早く、(十分早かったが)、時間をかけて転移が進んでしまえば、ワクチンをその時々で、作り替えないと当然効かなくなります。

 

生物の歴史は一言で言うと『環境変化への適応の歴史』と言えます。

 

人類の歴史上、感染拡大つまりパンデミックが時折存在した。もちろんその度に適応するわけですが、環境の変化にはある程度の連続性がある。少しづつ

変化するのです。このため、人間を含めたすべての生物は少しずつ適応できる。

数年前のウイルスと今年のウイルスは違ったとしても、似ている。

だから、症状もそこまでひどくならない。なぜか。すでにある程度、以前のウイルスに適応してきたからです。

 

だが、今回のウイルスは違った。以前からあった「コロナウイルス」だが、姿が違う。

違和感のある現象です。

しかし、それも含めて、人類は「適応できた」ことになります。    布施信彦 医師

 

 

ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏ら コロナワクチン開発貢献

2023年10月3日 0時26分 

ことしのノーベル生理学・医学賞の受賞者に新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発で大きな貢献をしたハンガリー出身で、アメリカの大学の研究者カタリン・カリコ氏ら2人が選ばれました。

スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞の選考委員会は日本時間の午後7時前に記者会見し、ことしのノーベル生理学・医学賞に、新型コロナウイルスの「mRNAワクチン」の開発で大きな貢献をした
▽ハンガリー出身で、アメリカのペンシルベニア大学の研究者、カタリン・カリコ氏と
▽同じくペンシルベニア大学のドリュー・ワイスマン氏の2人を選んだと発表しました。

カリコ氏らは人工的に合成した遺伝物質のメッセンジャーRNA=mRNAをワクチンとして使うための基礎となる方法を開発しました。mRNAにはたんぱく質を作るための設計図にあたる情報が含まれています。

これを人工的に設計し、狙ったたんぱく質が作られるようにして体内で機能するようにすればワクチンとして使うことができると期待されていましたが、mRNAは、ヒトに投与すると体内で炎症が引き起こされるため、医薬品に使うのは難しいのが課題でした。

カリコ氏らはmRNAを構成する物質を別の物質に置き換えることで炎症反応が抑えられることを発見し、2005年に発表しました。

さらに、置き換えられたmRNAを使うと目的とするたんぱく質が劇的に効率よく作られることを発見し、医薬品として扱う上での大きな壁を取り除きました。この技術をもとに製薬会社がワクチンの開発に乗り出し、新型コロナのパンデミックでは記録的な速さでワクチンの開発に成功しました。この技術の柔軟性はほかの感染症のワクチンの開発にも道を開き、今後、がんの治療などへの応用が期待されています。

 

受賞が決まったカタリン・カリコ氏は、ノーベル財団との電話インタビューで「私は電話がかかってきたときに寝ていて、受賞が決まったという連絡は夫が受けました。誰かが冗談を言っているのかと思いました」と話していました。

また、これまでの研究の道のりを振り返り、「10年ほど前、ペンシルベニア大学から追い出されましたが、夫が私を支えてくれました。私の母は2018年に亡くなりましたが、『あなたがとるかもしれない』とノーベル賞の発表をいつも確認していました。母は『あなたは一生懸命頑張っている』と言ってくれていました。家族は私を信じてくれていて、娘たちも私が懸命に働く姿を見てくれていました」と述べ、周りの支えがあったことを話していました。

そのうえで「私は女性として、母として、同僚の女性の科学者たちに対し『家庭を持つことと科学者でいることのどちらかを選ぶ必要はない』と伝えています。子どもはあなたをみて、見習います。あなたが子どもの模範になることが重要なのです」と女性の科学者たちを激励しました。

また「多くの若い人たちは、友人や同僚がどんどん昇進していくのを見て、あきらめてしまいます。しかし、自分をあわれに思っている時間はありません。次に自分に何ができるのかを探すのにエネルギーや時間を費やすべきなのです」と、科学者たちを鼓舞することばを述べました。

 

ノーベル賞の選考委員会は授賞理由について「2人の発見は、2020年初頭に始まったパンデミックで新型コロナウイルスに対して効果的なmRNAワクチンの開発に不可欠だった」としています。

その上で「mRNAが免疫システムにどう相互に作用するかについて私たちの理解を根本から変えた画期的な発見を通じて、2人は、現代における人類の健康に対する最大の脅威の1つだったパンデミックで前例のないスピードのワクチン開発に貢献した」と評価しています。

また、授賞が決まったことを伝えた際のカリコ氏とワイスマン氏の様子について「2人はとても喜んでいた」と明らかにしました。

このうちカリコ氏は「とても感激した」と話したということです。

ワイスマン氏には選考委員会が公式発表する数分前に連絡が取れたということで「彼は感激していて、非常に感謝していた」と述べました。

記者会見では、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの安全性についての質問も出されました。

これに対してノーベル賞の選考委員会は「mRNAワクチンの接種は始まってまだまもないが、すでにのべ130億人が接種を受けている。副反応も限定的で大きな懸念とは考えていない。有害事象として特に若い男性で心筋炎が出ることがあるが、ほとんどの場合は軽度で、特に長期的な影響なく解消するということだ。コロナに感染する方が長期的な健康への影響がある」と述べました。

また、ワクチンに反対する動きがあるなかで、科学界や医療界はどう対応し、どう説明すべきか問われたのに対しては「このワクチンがどのように機能するのか、引き続き仕組みを説明していく必要がある。新型コロナの場合、mRNAワクチンの開発が大きなニーズを受けて、加速したのは事実だが、臨床試験が短い期間で行われたからといって安全性の確認が省略されたわけではない。臨床試験がどのように行われたのかや、数十年に及ぶ基礎研究が行われてきたことについて伝えていくべきだと思う。ノーベル賞の受賞によってこうした事実に光が当たることを願う」と説明しました。

 

カリコ氏とワイスマン氏が所属するペンシルベニア大学は、授賞発表の直後にSNSにコメントを投稿し「2人を誇りに思う。画期的な発見は世界的なパンデミックという難題を克服しただけでなく、今後、数十年にわたり他の多くの病気の治療と予防に大きな影響を与えるだろう」と祝福しました。

SNSには事前に撮影されたとみられる2人のインタビュー動画も投稿されていて、カリコ氏は「母が、『毎年10月にはあなたがノーベル賞をとるのではないかと思ってラジオを聞いているの。ずっと努力しているから』と言うので、わたしは『たくさんの科学者が大変な努力を続けているのよ』と説明したものです」と笑顔で語っています。

ワイスマン氏は「ノーベル賞は科学者にとって最も重要な賞で、大変な名誉です。私たち2人が力を合わせなければ、この研究は達成しえなかったと思います。これがとても重要なことだと思います」と話しています。

 

 

ドリュー・ワイスマン氏はアメリカ東部マサチューセッツ州生まれです。1987年にボストン大学で免疫学と微生物学の博士号を取得したあと、アメリカのNIH=国立衛生研究所に所属し、感染症研究の第一人者、アンソニー・ファウチ博士のもとでHIV=ヒト免疫不全ウイルスの研究を行いました。

その後、1997年からペンシルベニア大学に移り、ワクチンや免疫関連の研究を続けていたころにカリコ氏と出会い、2005年、ワクチン開発に道をひらく研究成果を共同で発表しました。

所属するペンシルベニア大学によりますとワイスマン氏は現在、次のコロナウイルスの流行に備えたワクチンの開発のほか、同僚とともにmRNAの技術を使ったがんの治療薬の開発にも取り組んでいるということです。

 

受賞が決まったドリュー・ワイスマン氏は、ノーベル財団との電話インタビューで、受賞が決まったという連絡はカリコ氏から受けたことを明らかにし、「本当かどうかわかりませんでした。誰かが僕らをからかっているんじゃないかと思ったんです」と当初の心境を説明しました。

そのうえで、受賞が決まったことについては「生涯の夢であり、ノーベル賞は仕事に対する究極の評価で、すばらしい経験です。ノーベル賞の受賞はいつも夢でしたが、実現するとは想像していませんでした」と喜びをあらわにしました。

また「私たちが一緒に研究していた20年間は、mRNAワクチンがなんであるかを知っている人も気にしている人もいませんでしたが、私たち2人は机を並べて一緒に研究し、新しいデータについて話したり議論したりしていました。2人とも睡眠障害があるので、午前3時から5時くらいになると、新しいアイデアをメールで送り合っていました」と述べて、当時のエピソードを紹介し、カリコ氏と取り組んできた研究生活を振り返っていました。

 

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長はカリコ氏とワイスマン氏の受賞が発表されると自身のSNSに「本当におめでとう」と投稿して祝福しました。

そのうえで「彼らの発見が新型コロナウイルスのmRNAワクチンの開発を可能にした。彼らの科学への貢献が人命を救った」として、2人の功績をたたえました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本初の体外受精児から40年経て  布施信彦 医師

 

 仙台市の病院で1983年10月14日朝、1人の女の子が産声を上げた。その小さな拳をぎゅっと握った姿が「新時代」の見出しとともに報じられてから40年になる▼日本で初めて体外受精によって生まれた赤ちゃんだ。夫婦から精子と卵子を採取し、受精させた後に子宮に戻す。驚異的な生殖医療の技術は不妊に悩むカップルにとってまさに福音だったろう▼もちろん波乱もあった。メディアが「試験管ベビー」なる言葉を使ったため、まるで実験室で子どもを作るかのような誤解や偏見を招いたのだ。すわ神の領域を侵す所業か、と大論争が起き、当時の世論調査では約8割が批判的だったという▼数年後、同じ医師の下で長女を産んだ大槻浩子さん(70)の手記がある。教職の傍ら8年も手を尽くした末の妊娠。喜びいっぱいなのに、奇異の目で見られないかとおびえてしまう―▼「50、100と出産例が増えて当たり前の治療法になってほしい」。大槻さんの願いは現実となり、これまでに国内84万人超が体外受精で命を授かった。最新の統計では生まれてきた子の11・6人に1人の割合だ▼生殖技術の進歩は著しく、受精卵を子宮に戻す前に染色体異常を調べる検査なども普及した。どのように使いこなすか。どんな出産も歓迎できる社会になるには。“不惑”を迎えた今も考えることは多い。

 

布施信彦 医師

さて、この30年の凍結受精卵が正常に発育したニュースであるが、

理論的に、おそらく適正な環境下で凍結保存された受精卵は100年、200年経っても正常に発育する可能性が十分ある。

 映画ジュラシックパークのストーリーのように恐竜の遺伝子が(この場合受精卵ではないが)1億年の時を経て再生することは理論的にはありうる。

 

ここで現実的に考えることは、「卵子の凍結保存をしておくべきか」である。

多様な考え方があるので結論はない。

ただ、もし将来のどこかで必ず子供が欲しいのであれば、卵子の凍結保存をした方が良いと言える。

 

私の予想では、あと100年も経たないうちに、卵子の凍結保存が「常識」になっていると思う。

 

少し言葉を足しておくと、「受精卵」と「卵子」は異なり、卵子はまだ将来のパートナーである「精子」と結合していないもので、解凍後に将来の精子を結合させることになる。卵子凍結は将来のために凍結して準備している状態。

一方で、「受精卵」はすでに合体していて、それを凍結している。

 

今回のニュースは、よく読むとわかりますが、他人の受精卵を30年間凍結して、現代の人の子宮に戻したものです。

 

 

凍結保存に関して、理解しておかなくてはいけない事実は、凍結保存後の生存率に関して「受精卵」より「卵子」は下がってしまうことです。

簡単に言うと、「受精卵」は「卵子」より強いと言うこと。この理由はいくつかの要素が考えられるが、

私は、受精した直後にたかが1日でも一気に成長し、生き残った元卵子だからだと考えている。

これはまた別の機会に話します。

 

 

 話を戻すと、現実的に女性が卵子凍結を全員できるかですが、できなくはないかもしれません。

現在、各々の体外受精の産科クリニックでは、卵子や受精卵の1年間の凍結保存代金は3万円程度

大きな凍結保存センターを作れば、コストは一気に下がります。

保存期間は平均10年だとして30万です。

これに採卵コスト(30万として)がかかりますが、多くの人が採卵をするようになれば10万程度でできるようになるかもしれない。

 

 それはそれとして。

一番重要な知識を理解しておかないといけないことがある。

 

「健康な卵子の製造能力」についてである。

みんなが計算に基づいて、1➕1=2と思っていることは実は0.3➕0.3=0.6だと言うことです。

 

 人の体は生まれてから常に時間と共に老化しています。

「昔シミなんてなかったのに増えてきた」これは皮膚の再生能力が落ちたため。

「昔10代の時にカラオケで上手く歌えたのに、20代になったら新しい歌の音程が合わない」これは音の知覚能力の低下のため。

「最近遠くがぼやけてきた」視力の低下。

 

体の卵子の製造能力に衰えが出てきます。

卵子は卵子なのですが、20歳だと全てが正常に作れるが、年齢を重ねると正常に作れないことが多くなってきます。

 

これは、、、。見えない、小さすぎて。わからない。

ただ、何かが違う。だから不妊症になってゆくのです。

本人が悪いとかの問題ではありません

よくそのように1人思っている人がたくさんいますが(ほぼ全員そう思ってしまっています)

同じ方が10代だったら子供は10人でもできたでしょう。

 

 

また次のコラムで一緒に考えましょう。

 

                              布施信彦 医師

 

 

 

 

 

 約30年間、凍結保存されていた胚(はい)(受精卵)を移植された米国の女性が10月31日、双子の元気な赤ちゃんを産んだ。いわば「30歳」の赤ちゃん。全米受精卵提供センター(NEDC)によると、これまで最も長く凍結された受精卵から誕生したとみられるという。米CNNが報じた。

 赤ちゃんの両親はオレゴン州ポートランド郊外に住むリッジウェイ夫妻で、すでに1~8歳の4人の子どもがいる。父親は「赤ちゃんは一番小さな子どもですが、ある意味、一番年上の子どもです」とCNNのインタビューに答えた。双子はリディアとティモシーと名付けられたという。

 CNNによると、今回の受精卵は、NEDCからリッジウェイ夫妻に提供された。別の夫婦が体外受精した受精卵を1992年4月22日に凍結し、2007年まで不妊治療の研究所に保管していたが、「他の夫婦に使ってもらおう」とNEDCに寄贈した。約30年間、マイナス200度近い液体窒素のタンクの中で保管されていたという。

 これまで、凍結された受精卵から誕生したケースで最長だったのは27年間だったという。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

不妊治療の保険適用拡大 体外受精・年齢・回数が焦点

海外と日本、ひいては、韓国、中国も類似しているが、子供の数に関する常識が違う。日本では子供が1人が普通になってきているが、海外、こと米国では3人ぐらいが常識と思う人もいる。メキシコからの移民に至っては5人、6人という人もいる。
ただし、その母親は、最初の子を20歳前後で産んでいる。
つまり、その年の頃あたりで出産する感覚の準備ができている。
日本の女性がその感覚の準備ができるの早くて33歳、遅い場合37歳ぐらいではないかと思う。
この年齢で感覚の準備ができたとしても、パートナーはまだ見つかっていないこともある。
35歳と38歳では妊娠・出産の可能性は残念ながら大きく異なってくるの現実だ。
この数年間に、大きなストレスにさらされることになる。
急がなきゃいけないと。
もし子供を確実に欲しいと考える場合には、ある程度計画的な準備が必要である。
 本当に子供がいた方が幸せなのかどうかも含めながら、「決断」しておく必要がありそうです。
 欧米の場合、出産は適齢期にしたのち、離婚でシングルマザー(ファーザー)になる。あるいは再婚(これは日本と異なり子供がいても再婚は十分可能な文化)という人たちも非常に多い。
より選択肢が多くなる。ただし、社会における男女の給与差はそこまで大きくない。
1人でも支えられる背景がある。

                                                 布施信彦 医師

 

 

 

 

 

 

社会保険

2020年9月21日 21:30 (2020年9月22日 4:14更新) [会員限定記事]

厚生労働省は菅義偉首相の指示を受け、不妊治療に保険を適用する検討に入った

厚生労働省は不妊治療に公的保険を適用するため、具体策の検討に入った。菅義偉首相が少子化対策の一環として指示した。今は高額な体外受精の保険診療は認められていない。保険を適用する治療法、年齢、治療回数が主な検討課題となる。

既に保険を適用しているものもある。男性の精管閉塞や女性の子宮奇形などで手術や薬物療法で治療する。患者の自己負担は3割で済む。

原因が分からない「機能性不妊」は保険の適用外だ。体外受精や体外受精のうち精子を卵子に注入する「顕微授精」といった高度な生殖医療が採用され、費用は50万円を超えることもある。体外受精は不妊そのものを治す治療とは言えず、これまで適用外としてきた。田村憲久厚労相は「色々な治療法があり、有効性や安全性の確認もしないといけない。実現には一定期間かかる」と話す。

女性の年齢が高くなるほど妊娠に至る可能性は低くなるうえ、健康への影響などリスクは上昇する傾向がある。どの治療に保険を適用するかや年齢制限、上限回数といった線引きについて議論が必要になる。

保険適用の可否は中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会で判断する。2022年度の改定で盛り込むのが最速になる見通しだ。

それまでの間は現行の補助金を増額して対応する。体外受精や顕微授精は本来なら全額自己負担になるが、初回は最大30万円、2回目以降は15万円を助成している。

夫婦の所得が年730万円未満が補助の対象となる。治療開始時で女性が40歳未満なら通算6回、40~43歳未満なら3回までと年齢や回数に制限もある。17年度は約14万件の利用があった。

補助事業の総額は年300億円程度になる。厚労省は21年度予算案の概算要求に補助金の増額を盛り込む方針だ。その後、政府内で引き上げ幅や所得制限を緩めることなどを議論する。

海外は不妊治療への支援が手厚い。条件はあるものの、税方式で医療を提供する英国の国民医療制度「NHS」では体外受精にかかる医療費の自己負担はゼロだ。フランスも社会保険でカバーされ自己負担はない。

イスラエルの出生率は18年で3を上回るなど際立って高い。無料で体外受精の治療を受けることができるほか、卵子の凍結保存も条件を満たせば公的保険が適用される。


 

レゾナック、米シリコンバレーに研究開発拠点 半導体材料など

ロイター編集

2023年11月22日午後 2:37 GMT+93日前更新

半導体材料を手掛けるレゾナック・ホールディングス(旧昭和電工)は22日、米カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージングと材料の研究開発拠点を開設すると発表した。半導体チップの資料写真、2022年2月撮影(2023年 ロイター/Florence Lo)

[東京 22日 ロイター] - 半導体材料を手掛けるレゾナック・ホールディングス(4004.T)(旧昭和電工)は22日、米カリフォルニア州のシリコンバレーに半導体のパッケージングと材料の研究開発拠点を開設すると発表した。グーグル(GOOGL.O)やアップル(AAPL.O)など、最終顧客の近くに拠点を構えることで先端材料の開発スピードを速めたい考え。

今後、クリーンルームや製造装置を導入し、25年度から実際の運用を開始する予定だ。シリコンバレーにはインテル(INTC.O)やエヌビディア(NVDA.O)など半導体メーカーが集まり、AI(人工知能)を支える最先端の半導体技術が集積。AI向け半導体の開発を自社で始めたグーグルやアップルの拠点もあり、顧客が求める半導体材料など、トレンドをリアルタイムで捉え、開発に生かす。

現在、新川崎の開発拠点に半導体の製造ラインを設置。そこで試作した製品を使って、直接顧客と具体的な会話ができる施設となっている。

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レゾナックは、半導体製造のプロセスの中で半導体のパッケージングを行う「後工程」向け材料に強みを持つ。エッチングガスや感光性フィルムなど半導体の製造プロセスで必要とされる幅広い材料を手掛けている。

半導体の微細化が限界に近づきつつある中、複数チップを縦に積層するなどのパッケージング技術の革新に注目が集まる。真岡朋光・最高戦略責任者(CSO)は「材料も高度なものが必要になる」と話している。

植物由来代替肉から細胞培養肉へ 米国に見る「代替肉」の最前線

代替肉はフードテックの主要分野のひとつだが、なかでも近年急速に研究開発が進んでいるのが「細胞培養肉」だ。100以上のフードテック企業が集積するシリコンバレー発の細胞培養肉メーカー、Orbillion Bioは高級培養肉の開発で世界的な注目を集めている。

Orbillion Bioは事業開発、バイオプロセス、バイオ医薬品分野の専門家3名で創業。
中央がパトリシア・バブナーCEO

注目を集める細胞培養肉

代替肉(フェイクミート)は、従来の動物由来の肉を植物由来や細胞培養などの技術を用いて再現した食品で、人工肉とも言われる。大豆などの豆類や大麦、きのこなどの植物性の素材を使用して作られる「植物由来代替肉」と、動物の生体細胞を採取、培養して肉の組織を再現する「細胞培養肉」の大きく2タイプが存在する。植物由来代替肉はすでにスーパー等で広く販売されているが、細胞培養肉は一部の国を除きまだ研究開発段階である。

代替肉が注目されている背景には、環境への負荷削減や動物福祉など複数の理由がある。世界の温室効果ガス排出量のうち農業由来のものが10~12%を占めるが、FAO(国際連合食糧農業機関)によれば農業排出の約65%は家畜生産に起因するもので、代替肉はこれらの負荷を軽減する効果が期待される。また、畜産業における動物の飼育・屠畜に伴う問題の解消にもつながるとされる。

代替肉の研究開発は世界中で進められているが、先頭を走るのはやはりアメリカだ。東京都が開催した「City-Tech.Tokyo2023」では、細胞培養肉スタートアップとして注目を集めるOrbillion Bio(オービリオンバイオ)の創業者CEOであるパトリシア・バブナー博士と、UCバークレーカルフォルニア校でフードテック起業家育成プログラム「Alternative Meats Lab」の責任者を務めるリカルド・サン=マーティン教授が登壇。アメリカの代替肉産業の現状と展望について語った。

2019年設立でシリコンバレーに本社を置くオービリオンは、和牛などの高級細胞培養肉を開発するスタートアップであり、世界最大規模の培養肉企業になることを目標に掲げている。培養肉は家畜から採取した細胞を特性化し、バイオリアクターで培養、組織構造化することで完成するが、同社は、高密度細胞培養とそのスケールアップ技術に強みを持ち、培養肉の生産コストを従来の98%削減する生産工程の開発を目指している。

「私達の技術ならばあらゆる種類の肉を培養できますが、まずは、畜産動物の中でも最も温室効果ガス排出量の多い牛肉からスタートしました。オービリオンが培養肉の生産に必要とする水の量は従来の牛肉生産より75%少なく、必要な土地面積は95%、温室効果ガス排出量は92%減少させることが可能です。培養しているのは最高の牛肉、つまり日本の和牛です。最初の製品はひき肉で、ハンバーガーはもちろん、色々な食品に利用できます」と、バブナーCEOは語る。

「細胞培養肉は肉の代替品ではなく、肉そのものです。私達の狙いは従来の牛肉と同じ味、同じ栄養価、同じ歯ざわりを実現することで、ほぼ達成段階にあります」

Orbillion Bioは和牛や子羊などの高級培養肉にフォーカスしている

植物由来代替肉の
「停滞」から学ぶべきこと

アメリカでこれまで代替肉市場を牽引してきたのは植物由来代替肉だった。その代表格がBeyond Meat やImpo ssible Foodsといった企業である。

しかし、2020年まで右肩上がりで成長してきたアメリカの植物由来代替肉の市場は、現在では停滞状態にある。2021年の市場規模は前年から0%成長の14億ドル。Beyond Meatの株価は、2019年5月の上場時につけた135ドルから、現在では17ドルまで落ち込んでいる。

なぜこのようなことが起きてしまったのか。サン=マーティン教授は言う。「起業家やVCは、多くの人が今の食生活を改め、植物由来代替肉に変更するという“神話”を、詳細な調査や研究もせずに信じ込んでいました。しかし、大きすぎる期待に反して、実際の市場規模は小さかったのです。米国農務省が国民1万人を対象に行った調査によれば、85%の人が『自分の食生活はヘルシーだ』と答えました。60%のアメリカ人が肥満であるのにも関わらずに。食生活がヘルシーだと信じ込んでいる人が、それをわざわざ変えることはないでしょう」

図 フードテック分野の投資状況

出典:AgFunder「2023 AgFunder AgriFoodTech Investment Report」
「2023 Asia-Pacifi c AgriFoodTech Investment Report」

 

こうした状況を反映してか、アメリカのフードテックへの投資額は減少傾向にある。バブナーCEOは「私達の資金調達は非常に上手くいっています」と前置きした上で、「全体的には減速、あるいは正常化しつつあると言えます。過去3~4年のフードテックへの投資熱は本当に例外的でした。コロナ禍の影響で、多くの人が外出できず、食品購入サービスなどのフードテックの需要が拡大したからです」と述べる。

では、細胞培養肉が植物由来代替肉と同じ道を辿らないためには、どのような視点が必要なのか。

「大切なのは、消費者が何を求めているのか、そのニーズを深く理解するということです。植物性代替肉では技術にばかり目が行ってしまい、人間的な要素、すなわちなぜ食べ物を食べるのか、どうやって食べ物を選ぶのかまで考慮されませんでした」とサン=マーティン教授は指摘する。世界の食料危機を救う、環境負荷が低い、動物の福祉を向上できるという従来のセールストークを超えた発想が求められているのだ。

 

8月4日7時52分配信 サンケイスポーツ

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100804-00000029-sanspo-socc.view-000
日本の不動のボランチ・遠藤に、セリエAの3クラブが三つどもえの争奪戦開始(写真:サンケイスポーツ)


 J1G大阪の日本代表MF遠藤保仁(30)がセリエA・ジェノア、ブレシャ、ボローニャから獲得候補としてリストアップされていることが3日、わかった。南アW杯ではデンマーク戦でFK弾を決めるなど、16強進出に貢献した男に、イタリアの3クラブが三つどもえの争奪戦を展開する可能性が出てきた。

【写真で見る】 W杯後もJリーグで活躍する遠藤保仁
http://www.sanspo.com/soccer/photos/100718/sca1007182006023-p1.htm

 日本が誇る不動のボランチに、イタリアから熱視線が注がれる。セリエAのジェノア、ブレシャ、ボローニャが遠藤の獲得に乗り出していることが判明した。

 まず、サンケイスポーツ取材に「確かに検討している」とクラブ幹部が認めたのがジェノアだ。かつてFW三浦知良(現横浜FC)が日本人初のセリエA選手として所属。スクデット(リーグ優勝)9度の名門は、70年以上も国内タイトルから遠ざかっており、近年はイタリア代表FWトニ、ポルトガル代表MFベローゾを獲得するなど積極補強。遠藤もその補強策のひとりとしてリストアップされた。

 大手玩具メーカーを経営するプレツィオージ会長は、任天堂など日本とのつながりも深く、商業面の効果にも期待しているという。

 関係者によると、元イタリア代表FWバッジョ氏が在籍したことでも知られるブレシャも獲得に動き出したことが分かった。FW森本、MF松井の獲得に動くなど日本人獲得に積極的で、ボランチのコマ不足という実情もある。さらに、3日付伊紙ガゼッタ・デロ・スポルト(電子版)は、元日本代表MF中田英寿氏が所属し、DF長友の獲得にも動いていたボローニャも調査を開始したと報じた。

 遠藤とG大阪との長期契約による移籍金がネックになるが、ジェノア関係者が近日中に来日して交渉を開始するとの情報もある。G大阪側の対応次第では一気に進展する可能性がある。

ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト8月 4日(水) 15時42分配信 / 海外 - 海外総合

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太陽嵐が地球に到達、オーロラ出現か太陽嵐が地球に到達、オーロラ出現か
ノルウェー上空を彩るオーロラ(2008年撮影)。
(Photograph by Roy Samuelsen My Shot)
 8月3日の深夜から4日の未明(北米現地時間、以下日時は同様)にかけて、波打つオーロラによる素晴らしい天空ショーを広い地域で観測できる可能性があるという。

 8月1日、NASAの太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)に搭載されたカメラが太陽の表面で起こった爆発を捉えた。この爆発により、荷電ガスであるプラズマが直接地球に向けて大量に放出されるコロナ質量放出という現象が起きた。

 このような電離したガスの雲が地球の大気圏に到達するには数日かかるため、今回の爆発で発生した荷電粒子のバーストは8月3日の夜に地球に到達し、特に色鮮やかなオーロラを出現させる可能性がある。

 オーロラは太陽から放出された荷電粒子と地球の磁場との相互作用によって発生する。荷電粒子は地球の北極と南極に向かって伸びる磁力線に沿って地球に降りていき、大気中の窒素原子や酸素原子と衝突する。その際、荷電粒子によって大気中の原子のエネルギー量が増大し、このエネルギーが放出されて光となり、緑や赤などの色にきらめく光のカーテンが出現する。

 北半球ではオーロラはアラスカ、カナダ、スカンジナビア半島の北極地方など高緯度地域で主に観測される。しかし今回のような爆発で発生する磁気嵐のために、観測できる範囲が通常よりも緯度の低い地域まで拡大することがある。加えて、今回は磁気嵐によってオーロラが波打つ現象も期待できるという。

 ただし、地球に向かう太陽嵐が必ずオーロラを発生させるとは限らない。太陽観測衛星の数が限られている現状では、コロナ質量放出が地球の大気に及ぼす影響を正確に予測するのは難しい。

 ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのレオン・ゴラブ氏は、今回北の空にオーロラが出現する確率は約50%だと述べる。オーロラを観測したければ、「夜おそく、できれば真夜中頃に暗い場所で北の空を見上げるといい」と同氏は助言する。

 今回の太陽嵐は、太陽活動が異例の長期間に渡った停滞期を終えて活発化し始めたことを示す兆候の1つでもあるという。太陽活動は約11年周期で活発化と停滞を繰り返す。前回の極大期は2001年に終わり、その後長い停滞期に入った。最近になって黒点の数が急増しているのに加え、8月1日に表面爆発が発生したことで、太陽が再び目を覚ましたと考えられている。オーロラファンには良いニュースだが、人工衛星や宇宙飛行士、地上で稼動している一部の電子機器・設備への悪影響も懸念される。

 エネルギーの強い太陽嵐が発生すると、通信システムやナビゲーションシステムが混乱したり、電力供給網が送電不能になったり、宇宙で活動を行う宇宙飛行士が危険な放射線を浴びたりする恐れがある。

 今回の太陽嵐は比較的弱いため悪影響が広範囲に及ぶ可能性は低いが、次回以降の太陽嵐では大きな影響が出ることもあるだろうとゴラブ氏は話す。「(SDOなどの)観測装置を宇宙に配備する大きな目的の1つは、ハリケーンの予報と同じように、地球に影響が及びそうな現象の発生を前もって認識できるようにすることだ」。

Brian Handwerk for National Geographic News