さて、この30年の凍結受精卵が正常に発育したニュースであるが、
理論的に、おそらく適正な環境下で凍結保存された受精卵は100年、200年経っても正常に発育する可能性が十分ある。
映画ジュラシックパークのストーリーのように恐竜の遺伝子が(この場合受精卵ではないが)1億年の時を経て再生することは理論的にはありうる。
ここで現実的に考えることは、「卵子の凍結保存をしておくべきか」である。
多様な考え方があるので結論はない。
ただ、もし将来のどこかで必ず子供が欲しいのであれば、卵子の凍結保存をした方が良いと言える。
私の予想では、あと100年も経たないうちに、卵子の凍結保存が「常識」になっていると思う。
少し言葉を足しておくと、「受精卵」と「卵子」は異なり、卵子はまだ将来のパートナーである「精子」と結合していないもので、解凍後に将来の精子を結合させることになる。卵子凍結は将来のために凍結して準備している状態。
一方で、「受精卵」はすでに合体していて、それを凍結している。
今回のニュースは、よく読むとわかりますが、他人の受精卵を30年間凍結して、現代の人の子宮に戻したものです。
凍結保存に関して、理解しておかなくてはいけない事実は、凍結保存後の生存率に関して「受精卵」より「卵子」は下がってしまうことです。
簡単に言うと、「受精卵」は「卵子」より強いと言うこと。この理由はいくつかの要素が考えられるが、
私は、受精した直後にたかが1日でも一気に成長し、生き残った元卵子だからだと考えている。
これはまた別の機会に話します。
話を戻すと、現実的に女性が卵子凍結を全員できるかですが、できなくはないかもしれません。
現在、各々の体外受精の産科クリニックでは、卵子や受精卵の1年間の凍結保存代金は3万円程度
大きな凍結保存センターを作れば、コストは一気に下がります。
保存期間は平均10年だとして30万です。
これに採卵コスト(30万として)がかかりますが、多くの人が採卵をするようになれば10万程度でできるようになるかもしれない。
それはそれとして。
一番重要な知識を理解しておかないといけないことがある。
「健康な卵子の製造能力」についてである。
みんなが計算に基づいて、1➕1=2と思っていることは実は0.3➕0.3=0.6だと言うことです。
人の体は生まれてから常に時間と共に老化しています。
「昔シミなんてなかったのに増えてきた」これは皮膚の再生能力が落ちたため。
「昔10代の時にカラオケで上手く歌えたのに、20代になったら新しい歌の音程が合わない」これは音の知覚能力の低下のため。
「最近遠くがぼやけてきた」視力の低下。
体の卵子の製造能力に衰えが出てきます。
卵子は卵子なのですが、20歳だと全てが正常に作れるが、年齢を重ねると正常に作れないことが多くなってきます。
これは、、、。見えない、小さすぎて。わからない。
ただ、何かが違う。だから不妊症になってゆくのです。
本人が悪いとかの問題ではありません
よくそのように1人思っている人がたくさんいますが(ほぼ全員そう思ってしまっています)
同じ方が10代だったら子供は10人でもできたでしょう。
また次のコラムで一緒に考えましょう。
布施信彦 医師
約30年間、凍結保存されていた胚(はい)(受精卵)を移植された米国の女性が10月31日、双子の元気な赤ちゃんを産んだ。いわば「30歳」の赤ちゃん。全米受精卵提供センター(NEDC)によると、これまで最も長く凍結された受精卵から誕生したとみられるという。米CNNが報じた。
赤ちゃんの両親はオレゴン州ポートランド郊外に住むリッジウェイ夫妻で、すでに1~8歳の4人の子どもがいる。父親は「赤ちゃんは一番小さな子どもですが、ある意味、一番年上の子どもです」とCNNのインタビューに答えた。双子はリディアとティモシーと名付けられたという。
CNNによると、今回の受精卵は、NEDCからリッジウェイ夫妻に提供された。別の夫婦が体外受精した受精卵を1992年4月22日に凍結し、2007年まで不妊治療の研究所に保管していたが、「他の夫婦に使ってもらおう」とNEDCに寄贈した。約30年間、マイナス200度近い液体窒素のタンクの中で保管されていたという。
これまで、凍結された受精卵から誕生したケースで最長だったのは27年間だったという。