藤原竜也
北村有起哉
大鷹明良
松田洋治
朴勝哲
熊谷真実
内田慈
吉田鋼太郎
紀伊国屋サザンシアター 17列下手
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やばい。有起哉さんが好きすぎる自分に気づきました。もともと長細い人とか(ex.エヴァン・ライサチェクさん←スケーター)、目が細い人とか(ex.井上芳雄くん←ミュージカル役者、関戸くん←スタジオライフ)に弱いんですが、有起哉さんはそれに加えて、うさんくさいところが素敵すぎる。舞台の上にいると、次にいったいどんな面白いことをするか一瞬も見逃せない気持ちになって、有起哉さんばっかり観ちゃうよ…(私の中で生瀬さんと同じカテゴリです)。
座っているときに足が全然椅子に納まりきらずに180度近く足開いてるところとか、人一倍無駄に声がでかいところとか、やたら身振り手振りが大きいところとか(こまつ座の芝居って、新劇系の役者さんがほとんどなのでナチュラルな演技の人が多いのに!)、どうしよう、どれもこれも好きだー!!
私、いつもこまつ座はかなりストイックに観劇して、沢山泣いて、井上ひさしのメッセージを真摯に受け止めて、あれやこれや(無駄に)悩むのが常なのに、今回は有起哉さんのおかげで、やたらテンション高くなっちゃったよ(笑)
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とはいえ、ちゃんと芝居のメッセージも受け取ってきました。
今回は幕末から明治維新にかけて生きた狂言作家二世河竹新七、すなわちのちの黙阿彌の評伝劇。でも、新七のことを中心に描いていくのではなく、新七の周りの個性的で愉快な仲間とのやり取りを通じて、幕末期、明治期に生きる人々の姿を描いて行くという趣向。
最初の出会いから二十数年を追って行くんだけど、舞台はずっと蕎麦屋の中。お互い河に身を投げようとしたことが縁で知り合った新七と五郎蔵。捨て子のおせんちゃんを育てるために、蕎麦屋に居合わせた5人で株仲間を設立してみたりと、ちょっと人情ばなし風なところも。だけど、時代はだんだん移り変わっていく。仲間たちはそれぞれ成功し、一緒に銀行を設立することになる。一方で日本の狂言・歌舞伎にこだわる新七。そんな新七に、五郎蔵が「西洋のオペラを描いてくれ、銀行預金者の景品にするから」依頼する。新七は「オペラを書けといったって、それを心から望んでいる聴衆はどこにいるのですか?西洋のものがいいと、言われたままを信じ込んで、上っ面だけなぞったところで意味があるのですか?」と強い口調で反論する。
今回もまた、井上ひさしの思いはシンプルで分かりやすい。別に日本文化が絶対だと言いたいわけではない。これまでのものにきちんと向き合わずに、お上の指針をそのまま飲み込み、新しい価値が絶対だと受け入れてしまう。与えられた価値観のまま、自分の頭で考えようとせず、感じようとせず、形をなぞるだけ。そのあり方対し、それでいいの?そのままでは問題がないの?と、問題提起しているのだと思った。
それは、ひょっとしたら文化の継承という点だけでなく、歴史の認識という問題でも同じことなのかも(私が東京裁判三部作を観た直後だから、感じるのかもしれないけど)。そして、別に幕末から明治維新の時代だからというわけではなく、現代も同じ問題をはらんでいるように思う。「過去をいつまでも軽んじていると、やがて未来から軽んじられることになるだろう」という、東京裁判三部作に添えられた井上ひさしの言葉を思い出す。きっとこれは、井上ひさしの作品全般を貫く共通の思いなんだろうけど。
今回の作品では、黙阿彌の半生をなぞりながら、文化の継承という点にフォーカスしたメッセージがこめられている。場面場面で繰り返される、歌舞伎の見得や日本語台詞たち。また、五郎蔵の江戸前べらんめぇ口調も、とっても素敵。「ご恩おくり」という、美しい言葉。作品の中に、こうして美しい日本語をちりばめて、活き活きと語らせることで、日本語と日本文化への井上ひさしの敬愛の念を感じた。
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新七に吉田鋼太郎さん、五郎蔵に藤原竜也くん。鋼太郎さんは私はおとこくさーい印象だったんだけど、今回は草食系。違和感ないです。お上手!!
藤原くんは頑張っていたと思うけど、なんだかちょっと座りが悪くって。調べてみたら、この役、初演は角野卓造さんが演じていたのね。で、あー、なるほど、と。井上ひさしは当て書する人なので、五郎蔵は角野さん色が強いんだろうな。娘大好きというパパっぷりや、すぐ調子にのるけどどうにも憎めない愛嬌とか、歯切れよくきっぷよく啖呵きる姿とか、角野さんの五郎蔵がすぐ目に浮かぶもの…。確かに、これは藤原くんにとって、なかなか難しい挑戦だ。頑張れ~。(端的にいうと、藤原くんは色男すぎて、下町のおっさん風味が足らんと思うのです…)
有起哉さんは前述のとおり、なんかもう、好きすぎて冷静な判断などくだせませぬ。
あとは熊谷さんが上手かった!おとらばあちゃんとおみつの2役なんだけど、とくにおとらばあちゃんを怪演(快演?)しておりました。前日にキムラ緑子さんの芝居を観て、なんて上手いんだーとびっくらしたところだったんですが、熊谷さんの上手さにもびっくらですよ。東京裁判三部作って、上手い役者さんばっかりだったのねー。