第39回全日本珠算技能競技大会 By 森 拓磨 | はやしそろばん総合学園 大会観戦・参戦記

はやしそろばん総合学園 大会観戦・参戦記

はやし学園観戦記をリニューアル!!
大会の様子等が余すことなく綴られています。

 お久しぶりです!皆様、お元気でしたか?

 コロナ禍という状況の中大会も次々と中止を余儀無くされ、「参戦・観戦記」を執筆するきっかけすら与えられなかった約1年半ではありましたが…。

 ようやく最近筆を走らせるチャンスが再び巡ってきました!!

 ということで、約2年ぶりの「観戦記」掲載となります!是非読了いただけますよう、よろしくお願いいたします。

 

 昨年2月に「全国計算競技大会」が開催されてから約1年、以降会場開催された全国大会はほとんどありませんでした。今年度に入って有志の団体が「打倒コロナ!」と言わんばかりの熱意を抱き、感染対策万全の中開催される大会が徐々に増えてきましたが、大半は未だオンライン開催。しかし、オンラインにはオンラインなりの熱い戦いが繰り広げられていることも事実。今回執筆させていただく「第39回全日本珠算技能競技大会(以下、学連大会)」も例外ではありませんでした。

 

 去る9月19日日曜日、2年ぶりに学連大会が開催されました。各都道府県支部単位で会場が指定され、そこからZoomを介しての一斉開催となります。ここ宮城県の会場は当学園本部教室。私にとってはホームタウンでありますが、大会会場となれば話は別。その日1日だけは「全国大会の会場」へと変貌を遂げ、それ相応の雰囲気を醸し出しています。仙台、古川の選手も集結し、開会20分前には全選手集合となりました。各支部でも会場の準備が整ったとの事で、予定時刻を若干早めての開会となりました。

 

 個性あふれるオープニングムービーに魅了され、続く大会会長挨拶、各界からのメッセージムービー(東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の橋本聖子様からも…。)に、会場にいた誰しも気が引き締まったことでしょう。

 その流れで、全出場選手を代表しての選手宣誓。今年は当学園・林諒が務めました。数日前のリハーサルでは大丈夫か…と心配になる部分も見受けられましたが、本番では立派にこなし、無事役目を果たしてくれました。

 開会式も終わり、気合いが入ったところでいよいよ競技開始です。

 

☆団体・個人総合競技

 春に行われた予選会を見事勝ち抜いた強者揃いのこの大会。また当学園にとっては、選手生活への登竜門として位置づけている大会でもあります。レベルの高い問題に、特に小学生選手はどこまで喰らいついていけるか、ここでの頑張りが実力アップの大きな足掛かりとなることは間違い無い事でしょう。陰ながら応援しつつ、私自身もこの大会に随分お世話になったなーと当時の記憶を回顧していました。

 他の大会では珍しく、暗算種目からのスタートです。乗暗算は4桁×4桁までと、暗算種目の割にハイレベルな桁数設定となっています。続く珠算種目。こちらも乗算は6桁×6桁までというこれまた高い難易度。見取算もすべて15口という難易度から、この問題を克服するのには決して一筋縄ではいかないのです。委員の先生方はバックヤードで採点作業をしている中私はお手伝いできないので、ひたすら祈るのみ。全競技時間21分が、とてつもなく長い時間に思えました。

 見学という気楽な立場上、合間にバックヤードへまわり、得点状況をチラチラと確認しに行く事も。後輩たちの戦績に一喜一憂し、ついつい声がこぼれてしまうことも…。成功するも失敗するも大会。まさかの高得点を取る子もいれば、ケアレスミスをして涙をのむ子もいました。何事も経験ですね。これだから競技会への参加は、絶対に外せない「教材」なのです。

 早く後輩たちに点数を伝えてあげたい…!という気持ちを抑えつつ、各支部にて点数集計を行い、大会本部へデータを送信。これらの作業時間を含めた小休憩を挟みます。また、総合競技のみは大会中に成績が発表されるので、それまでのお楽しみとなります。

 

☆読上暗算競技

 読上種目については、難易度の高い問題から10題連続で読まれ、合計ポイント数にて競います。1番目:10ポイント~10番目:1ポイントと割り振られていきます。今大会の注目すべき点は、当学園の最年長選手でもある藤井智貴が3連覇を成し遂げられるかどうか。当学園随一の桁幅を持ったこの男に期待を寄せつつ、他の選手の健闘も祈り、バックヤードへと戻ります。

 壁一枚隔てた競技会場からひしひしと伝わる熱気。しかも当日の気温は30度近くあり、選手たちの体力を奪って行くのではないかという心配もありましたが、それを吹き飛ばすほどの気合いに満ち溢れたオーラを皆身にまとっています。逞しくなった後ろ姿に嬉しさを感じた瞬間でもありました。

 全問題が読み上げられ、早々に交換採点。各々点数を算出し、後はオンライン上の競技委員の指示を待つのみ。全支部画面表示をオフにした状態で始まり、上位得点獲得該当者がいる支部の画面をその都度オンにすることによって、優勝者のみその場で発表するという形式となっています。

 1部は残念ながら宮城県勢から優勝者は出ず。優勝は大阪府・川村嘉輝選手でした。続いて注目の2部。固唾をのみながら画面へと視線を移します。まずは55ポイントから。画面表示なし。続いて40ポイント以上。画面上に「宮城県」のみ表示されました。数秒経っても他支部の画面が映ることは無く、危なげなく優勝が決定。当学園・藤井智貴、見事3連覇を達成できました。おめでとう!

 

☆個人総合競技(優勝決定戦)

 予定変更により、先に行われた個人総合競技の優勝決定戦が行われることに。1部は上位の同点者はおらず、そのまま優勝が決定した模様。2部では史上最多7名の満点獲得者による決定戦が行われるとのアナウンスが入りました。宮城県からは林諒、吉田成希、林春貴、松川りか、亀山太陽の5名が見事900点満点を獲得。その他三重県より2名が優勝決定戦へ駒を進めました。

 暗算種目・珠算種目を一括にて行い、全問回答を終えた時点で挙手をします。優先順位として得点、同点の場合は挙手順位(タイム)にて等位を決定していきます。ここまで来たら自分の実力を信じるのみ。ひたすらスピード重視でいくのか、はたまた確実な満点獲得を重視するのか。作戦は各々に一任する事になりますが、総じて言えることは、日頃の練習の成果を発揮し悔いの無いよう全力で挑んで欲しい、という事でしょう。あとは宮城県勢から優勝者が出ることを祈るのみ。みんな、頑張れ!

 「用意、はじめ!」の号令と共に、勢いよく問題用紙をめくり、そこからは目にもとまらぬ速さで回答していきます。1番挙手は三重県の選手。間髪入れず、松川りかが挙手。本当に1、2秒程度の差でした。続いて林諒、林春貴、亀山太陽と手が上がります。2名の未挙手を残して制限時間いっぱいとなり、「やめ!」の号令がかかります。あとは未採点答案を大会本部へ写真にてデータ送付し、結果を待つのみ。ソワソワしながら次の競技の準備に入ります。

 

☆読上算競技

 聞き取り命のこの種目。ましてや宮城県に関しては大会場では無く、普段使っている教室を会場としているので、バイクやトラック等の騒音が障害となり、聞き取りに多大な影響をもたらすのでは…という懸念材料がありました。そこは運に任せるしかありません。

 事前に「この桁の問題は何秒程度で読まれます」といった一覧をもとに練習をしていたのですが、中々のハイスピードぶりに若干苦戦を強いられていました。しかし、先生方からの特訓を無駄にする事は出来ません。またしてもバックヤードに戻り、選手たちが弾く玉の音と読み手の声に耳を傾けながら、健闘を祈るのみです。

 交換採点が終わり、読上暗算競技と同じ流れで結果発表。1部においては、宮城県・土屋そろばん教室の川邉菜々子選手が見事優勝しました。2部においては健闘虚しく、宮城県勢から優勝者は出ませんでした。優勝は千葉県・深谷柚衣選手でした。

 

 ここで全競技が終了。小休憩を挟み、表彰へと移ります(詳細な成績は、当学園ホームページよりご覧ください)。

 団体総合競技。1部、惜しくも宮城県は準優勝。優勝は三重県でした。また来年に向けてリベンジですね。2部においては見事満点優勝をつかみ取ることが出来ました!

 個人総合競技。1部、読上暗算に続き、大阪府・川村嘉輝選手が優勝されました。2部、先に行われた優勝決定戦をもとに勝敗が決した訳ですが、残念ながら宮城県勢から優勝者は出ず。準優勝に林諒が輝きました。優勝は三重県・杵川日向雅選手でした。

 読上種目の成績は後日発表という事で、全日程が終了。出場された全国の選手・役員の皆様、大変お疲れ様でした!

 

 さて、私自身2013年大会以来、学連大会から遠ざかっていた訳ですが、8年ぶりに観戦することによって、小さい時にこの大会に思いっきりしごかれた思い出が蘇ってきました笑。難易度の高さも去る事ながら、他大会では珍しく予選を突破した選手しか本選への出場権を掴めない、というシビアな部分も相まっていたからでしょう。しかし、逆にこの大会の出場経験が、選手としての意識づくりに大きく影響したものであると感じています。見取算への苦手意識を植え付けられたのもこの大会。しかし、それを改善しようと意識改革させてくれたのもこの大会。本選出場への切符を手にしたいと、小学生なりに「必死に練習する」事の意味を教えてくれたのもこの大会。他にもたくさんあるかと思いますが、枚挙にいとまがありません。それだけ私にとって、学連大会にはお世話になり、成長への道しるべを作っていただいた大会なのです。

 冒頭でも述べましたが、当学園にとって選手生活への登竜門的存在である学連大会。この大会への出場をきっかけに、更なる実力・精神面での向上を目指して、後輩たちには努力していってほしいものです。

 

 久方ぶりの「観戦記」執筆という事で、蛇足も少々ありましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。いち早く新型コロナウイルスが収束することを願いつつ、元気な姿で全国の皆様方と再びお会いできる日が来ることを心より楽しみにしています。それでは!