家の中に沢山の書物が残っていた。押し入れの中に結婚式の引き出物が古い新聞紙に包まれている。年代を見ると昭和である。
大家族だったので、布団が出てくる。この布団は問題。町内の分別ゴミで捨てられない。さらに大捜査をすると火鉢、蓄音機、こたつ、などなど。特に祖父が集めた陶器、磁器、茶道具、
祖母が残した着物。これを処分する時に初めて分かった。衣類は買う時は高いが、捨てるときは無価値。ゴミ扱いとなる。人形の処分に困った。この延長線にあるのは箪笥の処分。泣いて
桐ダンスを壊して捨てた。誰も要らないと。置くスペースがない。入れる着物がない。桐たんすは嫁入り道具の必需品。高価で有るが、一生ものでなく代々使えるもの。今は違う。
家族写真が出て来た。写真アルバムには知らない人が沢山写っている。結婚式の写真は親戚が写っているので確保したが、裏に撮影年月日、名前、撮影場所がないものは結局捨てた。
明治中頃の写真が多く出て来た。名前が書いてあるものあるがほとんどない・祖父化、高祖父の友人と思う。当時の写真は名刺代わりで交換していた。処分は保留。
BZ名刺も山ほど残っていた。多分万単位かも。いろいろな人に出会った。顔を思い出せない人の名刺もあれば、懐かしいと思う名刺もある。
年賀状も出てくる。普段ご無沙汰している人が生存証明の主張している。今はメール年賀状。ラインなどのSNSで簡単にすましている。捨てられない。思い出を捨てる自己嫌悪に捉われる。
断捨離をする意志を固く、アルバイトを頼んだ。知人でないと困る(?)ので、力仕事も出来る若手に1日5千円で掃除を含めて実施。断捨離戦争である。
何が戦争かと言うと、「今」必要なのか? この問いに使わないよと返事したらごみ袋に入れられた。着物類はパッチワークの趣味の人。劇団で昭和を題材にしているところ。大事に活用して
貰えるところを探した。残したいが、ただ空間を占有している。占有する意味はあるが、きちんとメンテを出来れば納得がいくが。無造作にしまい込んでいる。幸せな二人が移っているお皿。
結婚式の引き出物。どんどん捨てて行く。障子・ふすまを外して家の中はさっぱりした。家が丸坊主になった。でもすがすがしさを感じた。残したものはファイルにきちんと整理して保管。
上手く行ったのは、アルバイトと近くに外人がいて珍しそうにいろいろなものを持って行った。
「蚊帳」である。「蚊帳を張って寝る」家族はもういない。この酷暑に蚊も元気がないだろう。
断捨離は思いを断ち切るのでなく、大切なものを思い起こせる。10年後にも使えるものは捨てないが、「今」必要がないものを捨てたところに断捨離戦争の勝利を生む。
想いでは捨てるのでなく、思い出すもの。忘れたまま保管している、先祖の残したいものこの処理は調査を行い、内容に所縁のある公的機関に寄贈した。
公的機関に寄贈する場合は分散しない方が良いとの指摘がある。時間はかかるが1点1点調査して、記録に残したうえ、所縁の博物館に寄贈した。博物館は「ゴミ」は受けない。
ビックリしたのはぼろぼろの掛け軸。文字のみ。断捨離直前、薄い「虎の印」が見えた。もしかしたら後北条の文書かも。慎重に博物館に接触。何と180年振りに見つかった本物。
博物館は奥の奥の保管庫にて管理する、後世に伝えると確約。家は火事になったら掛け軸も焼失。時間を断ってしまう。
断捨離舌が記録を残す必要あり。今から準備している。
de 非宇宙人