夢 | 人間でいたい

人間でいたい

愛と平和



うたた寝で見る夢の色は、
灰色だと相場が決まっている。

夢の中で見る夢では、空を歩いていた。
嬉しかった。晴れ晴れとした気分になった。
だって苦しくても、空を歩く夢を見れば幸せだって思えるもの。天地が緩やかに翻るような心地よさ。

でもそれは、夢だった。
私が眠っていた部屋の外は曇っていた。
目を覚ますと、身体は動かない。
空を歩く様子を思い描いたって、
身体はべっとり、地べたの上。
血液は巡っているし呼吸をする胸は膨らみ、出会った人のことは覚えている、そして思った。
独りなんだ、と。

聴きたい音楽、観たい映画、読みたい本、思い浮かばない時に、無機質な灰色の部屋を眺めていたいと思った。その灰色の部屋の中にいたい。

私が涙を流す時、
言葉を話せない赤ちゃんが泣くのときっと同じで、時が経てば、歳を重ねれば、分かるようになれば、ブログを書くことも日記を書くこともやらなくていいのかもしれない。
それはね、大丈夫だよと心から思えることが増えたらもう少し時間がなくても良いと思えるのかもしれない。

電車の揺れで体がぶつかってしまった人が、頭で会釈をした。
誰にも触れられず冷たくなった体は何処へいくのだろう、とふと思った。
私は生きていきたいのに、そのための時間がほしいのに、そのための時間というのは規則的に訪れたりはしてくれないのだ。ただ一方通行のような時間は、時代という流れと同じ解釈で、そうでないことを許しはしない。
このまま外へ流れず留まった時間は、例え流れでることがあったとしても会釈すらしてもらえないだろう。よくあること。君にとっては、事象だもの。仕方がないもの。天気のようなものだよね。

あとどれくらいの時間が時間で、
あとどれくらいの時間が事象になるのでしょうか。真っ黒な画面のテレビがある。私も、規則的に時が経てば動かなくなってしまう電化製品だったらいいのに。