会長が来た。
やっぱりいつ会っても1番最初に見る姿はピリッとする。
だが。
「会長!今日は家出じゃないんですね!(笑)」
「当たり前だ(笑)」
ナンバー2とのやり取りが空気を変える。
会長の側近も晴れやかな顔をしてて。
「先月はお騒がせしました。」
「どぉ?会長代行は。」
「こんなことまで会長がやっていたのかと改めて思うことばかりです。会長なのにやることが多すぎますね。それを分かってるつもりになってガミガミ言ってしまっていたことには反省です。」
「こーゆう機会があって良かったね。」
「本当にありがたい提案をして頂きました。」
会長が見守りながらの日々で更に絆が深まったように感じた。
嫁が。
「昨日、おじいちゃん(会長の親父さん)がいかに怖かったかの話しをして盛り上がったの。」
「アハハハッ(笑)親父ですか!」
「おじいちゃんに初めて会った人の体に異変が起きた話し。」
「いましたよね(笑)バタバタ座り込んだり、いなくなったり。あからさまに逃げていったり。」
「息子としてどんな気分だった?」
「親父の機嫌を損なわないか気が気じゃなかったですよ。何なんだあれは!なんて始まったら。分かるでしょ?(笑)」
「地獄絵図だよね。」
「(嫁)さんがいない時は本当に生きた心地がしませんでした。」
「でもあれだけの人がいたからまとまってたのよね。」
「そう言っていただけると聞こえは良いですけど、親父の存在そのものが地獄を見せているようで複雑ではありましたよ(笑)」
「(県名)にお葬式に行った時のこと覚えてる?」
「なつかしい!あの時は本当に助かりました。」
「おじいちゃんが怒った時、1歩引いてなかった?(笑)」
「アハハハッ(笑)止めるための助走をしようと(笑)」
「物は言いようよね(笑)」
「(嫁)さんのお陰で親父の表情が変わって。どれだけ命拾いした気分になったことか。」
「海のお散歩。」
「してましたね。親父が散歩なんて考えられませんでした。しかも笑い声がよく聞こえましたよ。」
「波の音って落ち着くはずなのに。(嫁)ちゃん、波はずっと行ったり来たりばかりしてて飽きないのかなって言ったのよ。」
「どーゆう感覚してるんだか(笑)」
「だから言ったの。毎日毎日おじいちゃんのお世話をしてくれる若い衆さんと同じよ?って。でも傍にいるのは飽きないから。平らで穏やかな時がナイおじいちゃんのお世話は大変なのに。」
「親父は?」
「よく傍にいるなぁって関心してた(笑)だから、おじいちゃんのことが好きだから大変でも傍にいるのよって言った。どうだかなって言ったけど、その時の横顔は本当に優しい顔してた。」
「そうでしたか。」
「あの時、おじいちゃんは初めて海をちゃんと見たんだってね。」
「でしょうね。景色なんか興味なかったと思うんで。」
「海ってゆうのは白い砂浜じゃないのか?ヒトデが落ちてるんじゃないのか?カニとかヤドカリがチョロチョロしてるんだろ?って(笑)それ、海の絵じゃないの?って笑ったわ。」
「自然界のことは何にも知りませんでしたから(笑)そんな話しをしてましたか。あの時の帰りにソフトクリームを食べてる親父を見て度肝抜かれましたけど(笑)」
「昔、アイスキャンディーを食べたなぁって話しになって。固いやつでしょ?アイスは固いんじゃないのか?のやり取りしてたのよ、ホテルで。うず巻のクリームのアイスがサービスエリアにあるよって言ってもピンときてなくて。(片腕の運転手)とソフトクリーム買って持って行って味見したらあの通り(笑)」
「今も脳裏に強烈な映像が残ってます(笑)表に長時間出ることもなかったのに、ベンチで(嫁)さんと(片腕の運転手)に挟まれて(笑)」
「孫とおじいちゃん(笑)」
「まさしくそうでした(笑)あの顔を見てどれだけ平和のありがたみを感じたことか。」
「ちっちゃく旨いなぁって言ってた。嬉しそうな顔で。ゼリーもそうだったよね。」
「あの辺あたりから親父は甘党になりましたよ(笑)ゼリーをなんて言ったんでしたっけ。」
「何物か分からない透き通ってブヨブヨした食べ物(笑)」
「そうそう!決して美味しそうじゃないんですよ!」
ソフトクリーム食ってるだけで平和を実感し。
嫁がいないと日々地獄。
どれだけ怖かったのかよく分かりました(笑)