そして。
心配なことを1つ伝えた。
「親父、大丈夫かな。実家には絶対帰らないと思うけど。でも姉ちゃんの所にいるのも悪いなって思ってるんじゃないかな。親父は我慢強いから顔にも言葉にも出さないから、心配なんだ。姉ちゃんが絶対引き止める!って言ってたけど、親父は辛いよな。」
「ヨシおじさん、おかしいよ。なんでタイミング合わせてわざわざ言いに来たんだろう。」
オレはこの問いは予想できてなかった。
そうだよな。
これじゃ母親とヨシおじさんが繋がってることがバレてしまう!って思った。
「たまたまだろうけど。こんなことまたあったら、親父だって意地になるかもしれないよな。」
「私、ヨシおじさんって違和感あったのよね。」
「そーなの?仲良く花見てたじゃん。どこらへんが違和感あったんだ?」
「そんなに人の家の子供のことって覚えてるモノなのかなって。私が気に入ってた花を覚えてるのよ?」
「自分で品種改良した花だったとかで覚えてるんじゃないのか?」
「それだけじゃないの。ヨシおじさんにも子供がいるでしょ?私、会ったことないのよ?あの人達(親父)兄弟なのに、家族連れて行かないで自分だけ弟の家族と海とか行く?」
「普通、どっちも家族連れてくるよな。ヨシおじさんの子供って男2人って言ってたよな。お前の記憶が戻ってないとかじゃないのか?」
「違う。前に会った時に聞いたの。ヨシおじさんの子供に会ったことないよねって。そうかもしれないって言ってたもん。」
これ以上疑問を掘り下げたらマズイと思って。
「変わり者なんだな。」
「あのさ、出て行かないよね。」
「親父?どうだろうな。本音は参ってると思うけど。姉ちゃんが見張ってるから大丈夫だと思う。」
「ねぇ、ヨシおじさんにもう1度会えないかな。」
やっぱり気になったことはとことんだから。
嫁はヨシおじさんに会うと言ってきた。
オレは会わせたくないのが本音だった。
ヨシおじさんって嫁は、おじさんだと思ってるけど、本当の親父だし。
こんなことになってから会うのは危険。
「会わなくてもいいんじゃん?親父の敵みたいなもんだぞ?それにオレらには良い顔するだろうし。」
「そっか。」
「ちなみに聞きたいことでもあったのか?」
「聞きたいことってよりも、見極めたかった。ヨシおじさんの本性を。」
「本性か。腹黒そうだから絶対出さないと思うけど。」
「それと、ヨシおじさんといると変な感覚になるのよね。」
「どんな?」
「何て言ったら良いのか分からないけど、私のこと知られすぎてるような変な感じ。」
血のつながりって、そーゆうもんなのかな。
変な勘が働いて。
ただ昔会ったことがあるってだけじゃ収まりきれない感覚が湧いて。
確かめたいと思うほど気になる。
オレもJも、嫁の本当の親父がヨシおじさんであることを知ってしまったけど。
これがもし、本当の親父がいることなんか知らなかったら。
同じようにヨシおじさんに違和感を感じていたのかもしれない。
とにかくヨシおじさんには会わせることはできない。
それだけは通した。