子供達が部屋に行き。
嫁に言いたくないけど言わなきゃならない時がきた。
母親のことを。
昨日は1日楽しかったから。
できればこのままにしておきたい。
今日もサプライズの部屋作りにワクワクしながら夢中になっててほしい。
だから迷った。
明日にしようかな。
明後日でもいいかなって。
でも。
その間に何かあったら対応できなくなる。
だから今、話しておかなきゃならなかった。
「聞いてほしい話しがあるんだ。」
「どんなこと?」
「実家のこと。」
一瞬で顔付きが変わった。
いつもならすぐ話しをするんだけど。
今日は先にオレの考えを聞いてもらおうと思った。
「聞きたくないことも分かってる。お母さんのことは1番嫌なのも知ってる。体調崩したりしてきたから、できればオレもこーゆう話しは避けたい。でもな、オレがどんなことしたってお前の代わりにはなれないんだ。だから意見を聞かなきゃならないし、伝えておかなきゃならないことを分かってほしい。」
「そんなに重大なこと?」
「いつもとは違う。面倒な人が加わってきたし、オレとJが対応しても解決は無理かもしれない。ただ、酷なこともお前に言わなきゃならない。それは勘弁してほしい。」
「分かった。」
「先々週ぐらい。オレとJで親父の見舞いに行っただろ?その帰りに実はお母さんに会ったんだ。あまりにも実家が空き家みたいに荒れてて、親父の家なんだから少しはキレイにしろよって言ってきた。」
「何か言ってた?」
「はい、とは言わないのは想像つくだろ?歳だからとか、除草剤撒けって言っても金がかかるとか言ってたよ。でもな、そこからオレ達も聞かれた。親父に小遣いぐらい渡してるんだろって。」
「またお金。」
「オレらもガッカリだった。親父が受け取るわけないだろって言っといたけど。」
「それが私に言いたかったこと?」
「そこからなんだ。何日か後に姉ちゃんの所にお母さんから電話があって。親父が実家を出てった本当の理由は何だって聞かれたんだって。もちろんお母さんがお前にしてきたことが原因だって言ったんだけど、お母さんはそうじゃなくて本当の理由だよって言ったきたらしい。」
「は?」
「誰もがお前と同じリアクションだろうな。今更理由とか意味分かんないし。まぁこれはこれで問題なんだけど。ヨシおじさん(親父の兄貴)分かるだろ?前に会った。」
「うん。」
「あの人が昨日、突然来て。親父に実家に帰れって。」
「何で!?」
「何でだろうな。しつこく言ってたみたいだし、そもそもヨシおじさんって性格悪いらしいぞ。」
「うそ。あの人が?」
「オレもビックリしたけどな。なんつーか、昔から親父のことを見下してたってゆーか、俺は偉いんだ!みたいな感じ?」
「じゃあ昨日は?」
「それがさ。ギャンギャン言われてるのに親父は最後まで笑って聞いてたって。姉ちゃんの家にいるべきじゃないって言われても、お前のことが原因で親父が実家を出たにしても親子で解決すべきことだろって言われても。ずっと笑ってたって姉ちゃんがもの凄く悔しがってた。でもヨシおじさん帰ってから姉ちゃんは謝られたらしいよ。」
「なんで?謝ることないじゃない。」
「驚かせてごめんって。」
嫁の悔しそうな顔が今も焼き付いてる。
それだけ親父のことが大切なんだと思えたことは良かったけど。
自分から親父と話すことも、会うこともできない悔しさ。
それはとても大きいと感じた。