NO.591
「罪の声」著者:塩田武士

読了日:2020年10月31日

初めて読む作家さんでした
本作品は、昭和の時代に本当に起こった未解決事件を題材にした社会派ミステリーです

時代背景は現在、主人公の一人「阿久津」は、大手新聞社に勤める文化部の30代の記者、畑違いの社会部のパワハラ上司からの指示で、昭和の未解決事件を調べることになった
一方、もう一人の主人公「俊也」は、父の跡を継ぎ「テーラー」を営んでいる同じく30代、彼は子供の頃の自分の声が録音されたカセットテープを偶然に発見する
しかし、その内容が昭和の大事件の際に使われた脅迫文の声と同じものではないかと疑問に思い、亡き父の友人と共に調査を開始する

この本を読む前の予想は、ある種の完全犯罪の「カラクリ」についての新解釈がメインで「こういう犯罪劇でした」というのが見せ場なのだと思っていました

ネタばれはしたくないんであれですが、読んでいくとそこは違ったかな

きちんと人間ドラマというか、事件を起こした加害者たちがどうのこうのというよりも、「被害者以外の事件の被害者たち」に焦点を当てていると思う

読んだ後に思ったことは、「やるせない辛い気持ち」
身勝手な大人によってどん底に落とされた子どもたち、本当にこんな目にあった実際にも子供たちがいたんじゃないかと、震えるほど憤る
罪は罪を犯した人にのみ負えばいいじゃないのか

実際の加害者たちが死んだ後、加害者家族たちが背負わなければならないものはいったい何なんだろうか、そんなものは......ね

2009年に上映された「誰も守ってくれない」を思い出しました
みなさんはこの本からどんなことを思うんでしょうか

ページ数
409
読みやすさ
2(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
2(満点3)
意外性
2(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
12(満点20)

2020年23作品目

つぶやき:
先日、映画 ” TENET ” を鑑賞した際に、たまたま「罪の声」の上映予告を観た
その時すでに、次に読む予定の本がこの作品と決めていたので、運命的な出合いかのように感じてしまった
全くの偶然だったんですが.....

 

NO.590
「化学探偵Mr.キュリー 8」著者:喜多喜久

読了日:2020年10月29日
人が死なないミステリーの代表作と言いたい
気軽に読めて、推理チックな作風もお気に入りの、第8作品目

今回も短編です
理学部の排水から覚せい剤の反応が?
大学内で撮影された謎の爆発動画とは?の2話と、その他3話収話

探偵役のMr.キュリーこと物理化学准教授「沖野晴彦」と、助手役の庶務課「七瀬舞衣」の二人が大学に起こる難事件や些末事を解決していきます

本作では、「ネグレクト」の話や「殺害願望」を匂わす話があり、暗いテーマも含まれていて、多少すっきりしない結末もあるかもしれません

まあ、とはいえ「沖野」と「舞衣」の会話のシーンのやり取りは、微笑ましくて、「沖野」の憎まれ口もかわいいところ
共に行動するシーンも多かったので、読んでいて歯がゆい感じもまたよかったと思います


ページ数
301
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
1(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
13(満点20)

2020年22作品目

つぶやき:
この「化学探偵Mr.キュリー」は時系列がしっかりしていて、今作の第8作目で主人公たちが出会ってから、まる二年経過したことになります
恋愛関係は、ほぼ発展していませんが、仕事や他者との向き合い方の変化にも楽しみがある
 

NO.589
「ハサミ男」著者:殊能将之
読了日:2020年10月28日

どんでん返しの作品として非常に評判の作品なので
前半から注意しながら読みました
特に、最初の100ページくらいは何度も気になるところを読み返したのですが......

二件の猟奇殺人を過去に起こしている「ハサミ男」と世間に呼ばれる犯人
「ハサミ男」は3人目のターゲットを定め、殺害の機会をうかがうが、
何者かに殺害を先に越されてしまう上に、手口も模倣される
しまいに運悪く第一発見者になってしまうミスを犯す
なぜ自分以外の人間が、ターゲットを殺さなければならなかったのか
「ハサミ男」は独自に調査を開始する

警察側と「ハサミ男」側と両面で事件の真実に迫っていくのですが
主に「ハサミ男」が探偵役として動くので、読者としてはヒーローなのかと混乱してくるんですよね
当然「ハサミ男」は二人殺した連続殺人者なわけです

正直、偽ハサミ男の正体についてどうでもいいと思うくらい
真の「ハサミ男」の正体と第三の被害者女学生の裏の顔の方が気になってきます

予想の範疇だったところも、そうでなかったところもありましたが
なかなか驚かせてくれる伏線も多く散りばめられていて、再読もあるかなと思うところです

ラストの「○○、○○○○○○○○○?」のセリフにはドキッとさせられました

ページ数
502
読みやすさ
3(満点3)
わかりやすさ
2(満点3)
ストーリー
2(満点3)
テンポの良さ
3(満点3)
意外性
3(満点3)
私個人の好み
2(満点5)
合計
15(満点20)

2020年21作品目

つぶやき:
どんでん返しものを、そうとは知らず読むのと
知ってて読むのではどちらの方がより楽しめるのか?
知らない方がいいのかな~
多くは帯にも書いてるしな~とも思う
要は、知っていてもなお面白いものが傑作といえるのでしょうが......