愛は言葉の壁を越えるのか -43ページ目

犬のきもち

彼は日本滞在中に犬の散歩によく行ってくれるので
助かります

うちで飼っているのは5歳のメスの日本犬で
たびたび来日する彼とはすっかり仲良し

彼が日本にいるときはたまに一緒に散歩したりもします

あるときそんな散歩中に彼に

「犬ってどうしてあんなに一生懸命匂いかいでるんだろう」

と常々疑問に思っていたことを口にすると
なんだ、そんなことも知らないの?とばかりに

あれは他の犬が残したメッセージを読んでいるんだよ

「オレはたくましいオス犬、3才
きみとの間にたくさんの元気なパピーを作れること間違いなし
明日の7時にこの場所で待っているぜ」

っていう風にね


そ、そうですか

いきなり別キャラで小芝居がはじまってちょっとビックリ

あ、ホラ
もう約束の時間を過ぎているからあきらめたみたいだよ


と、再び歩きはじめた犬を指差す彼

そしてまたすぐに
犬が立ち止まって匂いを嗅ぎ始めると

今度はメス犬のメッセージだね
もう興味をなくしたよ


などと
しばらく解説を続けてくれるのでした

それはさておき
彼には本当に犬の気持ちがよくわかるように思います

外出から戻って犬を見るなり

今日僕たちが出掛けている間に何かあって
それで僕たちにコンタクトをとりたかったんだね


と言ったかと思えば
おもむろに近付いて身体に手を当て

ほんの少しだけど震えてる

と言うので
わたしもそばに行ってよくよく調べてみると
脚を少し痛めていた、ということも

犬のことに限らず
身体の声にじっと耳を澄ませたり
気温や湿度や空模様の変化を敏感に感じ取ったり

例えば
動物の聴覚や嗅覚が人間より鋭いように
彼にはわたしよりも鋭いある感覚が備わっているんだな、と
そんなふうに感じます

うまく言えませんが

生まれてから40年間ずっと
圧倒的な自然に囲まれた環境で生きてきたからなのかもしれません

ワークライフバランス

ノルウェーに移住したらどんなふうに暮らしたい?
どんなことがあると幸せ?


と彼にしばしば聞かれます

ハテ
どんなふうに暮らすんだろう?

まずは語学学校に通わないといけないので
約9ヶ月間は学生の身分となりますが
そのあとは働くつもりです

ノルウェー語が流暢でなくても
働けるのかという疑問については

ノルウェーでは働く意思のある人には
贅沢さえ言わなければ必ず仕事があるよ


と彼のキッパリした回答

病気を抱える彼自身が得てきた仕事の経歴に加えて
実家のお隣の奥さんがやはりアジア圏からの移住者で
ノルウェー語が全く出来ないのに普通に働いていたという話からも
それは信用していいように思えます

ちなみにお隣の奥さんは働きはじめると
みるみるうちにノルウェー語が上達したそうですから
やっぱり早いうちに働くのは一石二鳥

仕事の内容については
あまり贅沢を言うつもりはないのですが
もし選べるなら週5日のフルタイム勤務ではなく
週3日とか4日程度にとどめて
日々の暮らしにおける仕事の占める割合を
今より減らしたいと考えています

そして将来的には
彼の森での仕事を一緒にやってゆくという
晴耕雨読式のワークスタイルが理想です

というのも

大学を卒業してから20数年間
会社勤めしかしたことのないわたしですが

自然の豊かな場所で暮らしたいとか
仕事に費やす時間を減らしたいとか

そういった傾向は10年くらい前から
確実に確かなものになっているように思うので

もしも移住が叶ったら
そろそろワークライフバランスを見直したいと
しみじみ思うのです

彼と知り合った時には
彼の暮らす環境が
わたしのそういった希望と合致していることなんて
全く知らなかったのに

不思議な縁だな、と思わずにはいられません

鹿の鳴き声

ある日
いつものように電話で話していると

森から鹿の鳴き声が聞こえてくるよ

という彼

羊だのきつねだの鹿だの
あいかわらずのどかだなあ

んっ?

鹿の鳴き声?

ちょっと待てよ
鹿ってそんな大きな声で鳴くの?

雄が雌を呼んでいる声は
まるでチェーンソーみたいな音がするんだよ
ギギギギギーってね


今はちょうどそういう季節なのだそうです
そしてエリアの中で一番強い雄が雌を一人占めして
春になるとたくさんの子鹿が生まれるらしいのです

じゃあ
一番強い雄を決めるために闘うわけ?

明らかに体の大きさが違えば闘わないけど
同じくらい大きな鹿同士は闘ってどちらが強いか決めるから
この時期に森で鹿に会うと危ないよ
雄は一瞬ぼくのことを闘う相手かと思ってしまうんだ


へえー
ずいぶんシビアな世界だなあ

わたしが数年前まで暮らしていた場所にも鹿はいましたが
こちらから山道に入って行くと出くわす程度だったので
鹿の鳴き声はおろか
彼らが闘うことも知りませんでした

つくづく彼の住まいは
大自然のど真ん中なのねと思いました

今日と明日は天気がいいから
薪をつくる木を切りに森に行ってくるよ


くれぐれも雄鹿に敵と間違われて
どつかれないよう気をつけてね…