能面と能装束と面袋 第4回
<浅井博物館訪問夜話> その2
熊 野
唐織着流し女紅入
* 熊野(ユヤ) 「熊野、松風に米の飯」と言われるほど、能の曲の中では演能の機会が多いと言う
事からそのように言われています。 ユヤという呼び方も特殊です。
先回の<浅井能楽資料館>は本来は能装束が専門なのに、近江の爺やの無駄話、茜ちゃんの脱線話の為にとうとう触れずじまいに終わってしまいました。
今日は能装束、面袋に集中しますので。
資料館で何が驚いたと言うと、ガラスの陳列ケースに飾ってあった能衣装。
博物館などのそれは江戸時代の或いはそれ以前の文化財ですが、ここのは現代になって仕立てられた能衣装。 色合いの鮮やかさ。 それは素敵なの。
専門的なことは分かりませんが、草木染、人工染色などの高度の技法が取られていることでしょう。 <わアーッ! 素敵>と思わず声を出してしまうほど。
完全な 胸キュン ね
草木染による微妙な色合いは、現在の科学では不可能ではないかしら。
確かに、最近の液晶やLEDのTV画面はくっきりとして色鮮やかですけれど、 ソニーのトリニトロンのプラウン管には遠く及ばない。
大島紬の泥染めの色合いに匹敵する染色を人工染色で出来るかしら。
当分無理だと茜は思います。・・・・・・・・どうでしょうか。
この宇宙の内蔵する全ての情報量のわずか4%しか分かっていないと、東大の先生がおしゃっていた。・・・・・・たった4%・・・・何も知らないと同じジャン!
泥染めの泥の中には宇宙が詰まっているわ。 今の科学で100%分析出来るの。
ノーベル賞の田中先生に聞きたいくらい。・・・・・・・アカン ておっしゃるかしら。
ほんとなら、資料館の能装束をお見せしたいんだけれど、著作権という怖い法律が有るの。 ちょっと、無許可では無理ね。 見たい人は茜ちゃんの様に訪問してね。
先ず「熊野」に登場してもらいました、シテの能装束。目も覚めるような艶やかさ。
パーット 花が咲いたような感じ。唐織の裏地の目の覚めるような紅色。
紅花から取り出した染料の色。 紅花は見た目は黄色だけれど、如何してこんなに変わっちゃうのかしら。草木染の不思議さ。マジシャンの世界ね。
熊野の能装束は「唐織着流 女紅入 出立」(カラオリキナガシオンナイロイリイデタチ)
面は「若女」です。 まるで真紅の薔薇が咲いたように見えますね。
唯、男の人の大きな手が少し気になるわ。しょうがないもんね。 能だから堪忍ね。
*紅入りは色入りとも書きます。
「三輪」
<巫女出立>
三輪明神
* 面は「増女」です。 端麗な顔立ちで、ほんの少し受け口気味に見えます
じゃ、これはどうでしょうか。 茜ちゃん もう、胸キュン キュン よ
布地は羽二重って言うのかしら。越前の羽二重は最高品種だと聞いています。
単狩衣(ヒトカリキヌ)を着ていますね。・・・・ほんとに 素敵!!!
面の増女が素晴らしいからかな? そうかも知れないね。 面のせいね。 ウン。
* 女面の場合、「小面」 「万媚」 「若女」 「増女」の順に年嵩が増していく。 増女は神性を表すので、上記のような曲には、ぴったりですね。高貴さを感じます。面と装束がマッチしているのでしょう。
*「熊野」 「三輪明神」とも 淡交社より出版の<演目別による能装束>よりお借りしました。Blog上からお礼申し上げます。
さて、今日のところはこの辺で。 次に面袋に移りましょう。
面袋は先の浅井能楽資料館でお願いすると、仕立ててくれます。
しかし、生地が¥25,000円から、縫製代は別代金です。
出来の良い面で無いと、面袋の方から<失礼、しちゃうわ>って、怒られるかも
今度は茜ちゃんのものだから、遠慮なしよ!
左には「小面」 、右には「黒式尉」が入っています。綺麗でしょう。
後ろは大きな面箱。 能面が幾つも格納出来るよ。
通箱(トウシバコ)と言っても良いのかな。 面箱は蒔絵のそれは素晴らしい豪華なものが多い。能の家元などに行くと文化財クラスの物が有ります。能楽宗家や美術愛好家などは面箱だけでは、とても保管し切れませんので、面を入れる面箪笥という物を用意しております。
どこかの娘さんの晴れ着かしら。
着れ・布・切れ 何れもキレ・・日本語難しいネ。
やっと、能楽資料館訪問、能装束、面箱、のご案内が一応終わりました。
さて、問題は能面なの。 これが難敵。
茜ちゃん、そんなに多くの能面持っていないもの。文章ばかりじゃ、分かり難い。
論より証拠。そう、現物を見てもらわなくちゃ。・・・ワカリャシナイ。
どこかの叔父様、叔母様から借りてくるしかないかー
茜ちゃん、明日から京都の叔父さんとこ行って来るわ。 銀閣寺の傍の、そうそう
「哲学の散歩道」の辺りに住まわれておじゃる。
<オッチャン、貸してーな> て言ってね。
じゃ、今日はこれでおわり
2011-01-25
琵琶湖の傍の茜ちゃん