能面と能装束と面袋-02 | 茜ちゃんとサワラちゃんの宇宙・素粒子物理学入門

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中学・高校生・叔父さん・叔母さんのための宇宙・素粒子物理を一緒に勉強していきましょう。

    能面と能装束と面袋  第2回


              彦根博物館訪問夜話


茜ちゃんの近江の自然と文化財の紹介

               * 楊貴妃 面は毛描のところが隠れて見えない

                       楊貴妃の場合「小面」「増女」のいずれかです

                       相貌からみて小面ですね。でも素敵ですね。

  

*毛描き・・・額の髪の分け目の髪の毛の筋のこと 「小面」は3本スッキリと左右対称に耳元まで延びる。 その他の女面等は複雑に描き、書き方に決まりがあり、面の正確な判断はこれで行う。 年齢を増すほど乱れ、狂・鬼畜面も同様になる。 般若が鬼畜面でありながら、女面に該当するのはこのことから来る。

                                                    

先回のブログに引き続いて、「彦根博物館」を以前訪づれた時のお話をしてみようと思いまーす。


「彦根博物館」は彦根市の彦根城の城内に在るのよ。 JR彦根駅から琵琶湖に向かって真っ直ぐ歩くと、お堀に突き当たります。そのままお堀に入らないように、危ない叫び

お堀ずたいに西に向かって歩いていくと、城内に入る橋が架かっております。

毎年春、三月になると、お堀端の桜の芽が一斉にほころび始めます。

お堀に沿って琵琶湖の方角にどんどん歩いていくと、滋賀大学のキャンパスに突き当たり、そこで桜並木は終わりになります。

さて、お堀の橋を渡りきると目の前に博物館が見えてきます。


当館は藩主、井伊家の所蔵する能面、能装束、その他関連文化財が所蔵されています。 井伊直弼と言えば桜田門外の変で暗殺されたことでも、歴史上有名な方ですね。 大変な文化人でもあったらしく、能の曲も書く位の才能のある方でしたようで、面打ちも行っていたという事が伝承されています。


お爺ちゃんは何度も何度も足を運んだそうです。

たまたま、お堀の傍にある滋賀大学に2年弱通っていた時がありましたそうで、何時も帰りがけに立ち寄ったそうです。

博物館の中には能舞台があり、時々能が上演されていました。

茜ちゃんは能よりも抹茶とお菓子の方が興味があったので、

それを頂くのが楽しみでしたドキドキ


能面は数百面も所蔵されているのですから、月の途中で模様替えが有ります。

大学の授業が早く終わった時、或いは何回もサボって足しげく通ったそうです。


館内は照明が薄暗く、能面の彩色(色使い)の勉強には向いていません。

これが不満でした。 自然光の中の観覧は文化財ですから不可能です。

でも、茜ちゃんにとってはそれでは困るんですーショック!


篠山能楽資料館の時は比較的明るい照明だったので、文句は有りませんでした。

特別展の時はかなり照明を明るくしてくれるので、名物面をため息を付きながら見ていた思い出がお爺ちゃんにはあるそうです。

茜ちゃんが見ても「班女」(ハンジョ)、「万媚」(マンビ)などはうっとりする位素敵。

本文の始めに掲載しました「楊貴妃の小面」だって見た瞬間、胸がキュウンと鳴ってしまいます。


* 本当は茜ちゃんの紹介した面を写真でお見せしたいのですが著作権の関係で難しいのです。実際に博物館までお越しください。 実物と写真では雲泥の差が有りますので。




能装束については次回以降に「浅井能楽資料館夜話」でまとめてご紹介しますけど、彦根博物館には素晴らしい能装束が展示されています。人工染料でない純粋の天然染料(草木染等)を使った装束ですから色合いは素晴らしいわ。


                  付録 1       

茜ちゃんの近江の自然と文化財の紹介 楊貴妃


上と同じ楊貴妃ですね。

さて、シテが付けている面は何でしょうはてなマーク

上の例と同じく面の毛描きが見えないわかお

下顎はハッキリとした二重顎に見えないし、

全体の感じから、これは「増女」よ。

ウン間違いなし。・・・と、思うんだけどなあーシラー


* 能の舞台でシテなどが付けている面が何であるかどうかは、見所(客席)からではほとんど無理。

同じ演目でも流派によって、シテの個性によって、何時も同じと言う訳では有りません。「楊貴妃」の場合は<小面><増女>の内から選択するようですが、それでも遠眼では判断が難しい。 その時は直感力で判断するしかありません。

全体の相貌から見極めます。

さて、「小面」でしょうか。「増女」でしょうかはてなマーク


赤鶴の「小面」だったら、こんな感じかなかお

もうどっちでもええわ!

でも、最初の楊貴妃もしかしたら若女」かもよドンッ

茜ちゃんとしては最初の方の面が好き。

とっても はんなり してはる、から


                           付録 2


茜ちゃんの近江の自然と文化財の紹介
* 現代の一流能面師 故羽生 光善作 「童子」 としてオークションに出品されていたものです。 唯、保有している能面師「羽生光善能面集」に掲載されている童子と比較してみると、細部で少し違う箇所を数箇所発見しました。また、面裏の焼印の形も違いました。

偽物でしょうか。迷いました。 しかし、抜群の出来です。

もし、贋物としても、大変な打ち手です。一流のプロ級ですね。


* 焼印・・・面裏に打ち手を表す陰影を木に焼ゴテを当てて、刻印する。これで面の真贋を判定する。しかし、贋作者は焼印も贋作する。 それで面の作者判定の際は鉋目をよりどころにする。

これを贋作するのは至難の技。


* 鉋目・・・槍鉋という特殊な小刀を使って、面裏を削る。これには様式があるので、贋作者の技が超一流でないと、専門家に見破られる。






何故・・・・目


1-毛描きが非常に達者な筆運び

2-眉の所謂「けもの眉」の書き方も丁寧な筆運び

  80万ー100万円位もする高級大和人形市松人形の頭(かしら)の眉も同じ書き方をする。

 打ち手の技量はここで発揮される。 普通は薄墨で暈かして誤魔化す。 

3-全体の彩色も誠に結構

4-口の造作、唇の色使いも好し

5-全体的に「童子」の能面としての約束事を守って、一目で「童子」と見分けられる。品位がある 


以上のことから、100% 故羽生光善作 とは断定できないけれど、文句なしの逸品と見ました。 

如何でしょうか。




故羽生師が若き修行時代に打った面がたまたま巷に流失したものか(能面集に掲載されていないので)、或いは相当の技量のある能面師が研究のために贋作したか。どちらとも現物を見ないとハッキリとは言えないが、文句なしの逸品。 唯、値段が安すぎるのが不信。23万円程度でしたか。 本物でしたら、ありえない値段。

美術骨董品の世界は魔物の世界。・・・・・・オー怖い叫び 皆さんは如何ですかはてなマーク

                                                   (近江の爺の独り言


そんなこんなで、今日はこれでオシマイ。


次回は浅井能楽資料館訪問記でーす


2011-01-23             

                              琵琶湖の傍の茜ちゃん