能面と能装束と面袋 第一回
< 丹波篠山能楽資料館訪問夜話 >
般若
*2- 般若(ハンニャ)は仏教の根本経典である般若心経
から由来。 サンスクッリト語の方言であるパーリー語
の<パンニャー>がその語源。 「彼岸に至る」がその
語彙。パンニャーが中国に渡り、音写されて般若となり
ました。 民間に次第に流布され、現在に至ります。
しかし、本来的に呪い、怨念等のマイナーな意味は有
りません。詳しくは「金剛般若経」の解説書でどうぞ
こんにちわ! 茜ちゃん、去年の12月24日に兵庫県三田にある白洲正子お婆ちゃんのお墓に行ったのね。 その後、丹波篠山の「篠山能楽資料館」に行ったの。
*12月26日が白洲正子さんの命日ですが、「能楽資料館」の年内閉館日が12月25日なので、已 むおえず24日としました。
*丹波古陶館
* 丹波古陶館に「能楽資料館」が併設しています * 能楽資料館
でも、一昨年行った時は12月26日でしたから、
休館日でアウト
能楽資料館ってJR篠山口からとっても遠いのよ。
寒い日で、いろいろ手間取ってから、駅に着いたのよ。 そして、タクシーに乗って運転手の叔父ちゃんに「能楽資料館へ行ってください」と言ったら、
「能楽資料館???」って言うじゃない。
一生懸命考えてるの
このオッチャン大丈夫かしら
タクシーの会社と電話してから曰く、
「分かりました、元篠山ですね」
何処でもいいから、はよいってーなあ・・・と心の中で叫びました。
・・・やっと、スタート(^-^)
それから、行けども行けども中々辿りつかない。
オッちゃん何処まで行くの
メーターはどんどん上がるし、茜ちゃん気が気でない。
¥2、000を越えた辺りで「はい、付きました」
そして、やっと能楽資料館に着いたら、様子が変なのよ。
ジャーン 「本日から冬季休館致します」 ・・・・ あったま きたー
そんなこんなで、一昨年の訪問はお釈迦。
この資料館はバスでJR篠山口から篠山営業所行に乗って(¥340)行くのがベターよ。
でもさあー、去年も不安になってバスの中で一人のおばちゃんに聞いてみたのよ。
「おばちゃん、このバス能楽資料館に行きますか?」
「能楽資料館??エーッ」 またかいな 茜ちゃん また不安になっちゃった
一か八か 行っちゃえー・・・・・でも 不安
でも、今回は無事に着き、観覧して来ました。 田舎の人って 大らかなのかな?
* 篠山能楽資料館は昭和51年(1976)、丹波古陶館二代目館長の中西 通 氏が創設した、全国的に有名な能楽資料館です。 中西氏はこの世界では著名な能面研究家でもあり、下図のような著書を玉川出版社か出版されております。 下図の中の朱字で「能面」とある書籍は国内で中々手に入れることは難しい奇観本。手に入れるのに往生しました。 右隣の「能のおもて」は館内でも発売しています(参考までに)
なんとか茜ちゃんも念願の「篠山能楽資料館」を訪れることができました。
*ここの資料館は個人の蒐集家によるもので、近江の彦根博物館のような組織だったものとは違います。彦根は井伊直弼縁の井伊家代々の藩主が蒐集した能楽全般の文化財です。近江の浅井(アザイ)には個人の蒐集による浅井能楽資料館があります。ここは京都の染色業者(能衣装専門)が設立したものです。
いずれにしてもどこもなかなかの名物面が収蔵されています。
篠山能楽資料館には宝とも言うべき、素晴らしい能面が収蔵されています。
<ルーム>にも書きましたが、赤鶴吉成作「小面」です。
*「小面」というと龍右衛門重正の「雪の小面」「花の小面」「月の小面」が有名ですが、個人的には赤鶴作に軍配を上げたくなります。詳細に付いては別の機会に茜ちゃんより話して貰います。
茜ちゃん せっかく赤鶴の「小面」を見たくて行ったのに、受付のおばはんの話では年に一回の特別展で出品されるかどうか、今のところ予定なし。 にべもなし。
「あーあーッ」 茜ちゃん 溜め息。・・・・・・・・・・
「大津からわざわざ来たんよ」なんて言ってみたけれど。どうしょうもなし。
すごすご帰りました。 付いてないなー! その内、チャンスがあるさ。
赤鶴は近江に在住したと言われている、鬼畜の面を打たしたら天下一と言われた スーパースター。 その内、茜ちゃんブログでご紹介しますから。
* 能面は 神男女狂鬼 の5種類に分類されますが、特に赤鶴は狂と鬼畜の面を打たせたら、彼の右に出るものはないと言われた名工です。 氷見(ヒミ)なども彼に勝るとも劣らずと言われる名工ですが、作の範囲が狭いことがあげられます。「痩女」「痩男」などは名物面です。
赤鶴の「小面」など存在しないと思っておりましたが、実物が現に有るということは、それだけでも驚きです。 ご覧の通り、素晴らしいの一語に尽きます。気品のある所が何とも言えません
付録
付録 1
* 「面」は<オモテ> 「能面」は<ノウメン>
「面を彫る」は<面を打つ>「面を被る」でなく<面を付ける>
「能の演能」は<掛かる>etc
いろいろ特殊な呼び方をする場合があります。
付録 2
* 故 石倉耕春作 「小渇食」(しょうかっしき)
現代の能面作家の面 大阪で活躍された
この面はオークションで売買されたようです。
良い面です。毛書き、彩色も結構ですね。
渇食とはお寺に住する坊さんの見習いのこと
年若い少年から青年です。
男色の対象にもなった・・・・寺の中にも色事あり
渇食にはこの他に中渇食・大渇食があり額の前
髪の大きさや、相貌で判断できます。
能面っていつも能舞台で使われていなくてはいけない。博物館などのガラスケースに入れておいては駄目だと言われていますね。 茜の眼で見ても
ケースの中の能面は肉が落ちて生気が無く痩せて見えます。可哀想。
赤鶴の小面もそうなってはいないだろうかと心配。
龍右衛門の「雪の小面」は金剛家で演能に掛けられるので、いつも魅惑的なのかもしれない。
人間の生気を吸って。 おおー怖わ
* 今茜ちゃんが言ったことはとても大事です。 能面を見るときの注意点です
<次回は「彦根博物館訪問記夜話」について書いてみまーす>
今日はこれでオシマイ。
2011-01-22
琵琶湖のそばの茜ちゃん