比較的あたたかく穏やかな日になり、犬鹿たちも穏やかに過ごしている。

 

わたしは、来月のお話会(「野生動植物と私たちの暮らしのお話会」)の準備に焦っているが、もちろん犬鹿たちは通常運転。

 

お話会に向けて、先日プロジェクターを購入したのだが、アナログなわたしは設定などにてこずり、本番が心配される(苦笑)。

 

猟期に入り、民家付近での狩猟について議員さんや市宛てに資料を作成したり、その間に、保護した鹿さん(のぼるくん)のこともあり、すごく忙しく時が過ぎているが、自分自身やれることはやっていきたいし、前進しかないなと思う。ただし、自分の容量オーバーになると失敗することが出てくるので、そこは気をつけたい。

 

ところで日本では、ジビエが持続可能性であると謳われ、消費促進を促している。

 

しかし、ジビエは持続可能ではない。

 

なぜなら、野生動物を殺す自体が生態系を破壊し、さまざまな予期せぬ問題をも引き起こすからだ。

 

地球上の自然動植物は他の種と相互関係にある。その相互関係が地球環境を生物が生存できる環境に作りあげている。このことは、数々の研究からも明らかになっており、世界共通認識だ。

 

個体数が増えているように見える種、たとえば、シカ。シカは増えすぎてしまうと生態系を破壊すると言われているが、本当にそうなのだろうか。

 

シカが増えすぎると、植物をブラウジングしすぎて、植物群を縮小させたり、他の種への影響が危惧されている。

 

確かに、環境収容力が超えた場所では、植物を多くのシカが食べ、植物の成長を妨げる。しかし、植物自体を消滅させることはほとんど報告されていない。

 

シカはウマなどと違い、前の歯は下にしか生えていない。そのため、前歯が上下ともにあるウマのように、植物を地面近くまで切り取り採食することができない。シカは植物の先端をちぎり食べるのであって、植物に直接致命的なダメージを与えることはない。このことは他国のシカ情報サイトでよく書かれている。

●ただし、例外がある。特殊な環境下、奈良公園で生活をするシカたちは、限りある空間で植物(食料)を得なければならず、地面スレスレの芝生などを食べたり、アスファルトの隙間に生える短い植物を下の前歯で切り取り食べている。このため、奈良公園のシカの中には下の前歯がすり減り極端に短くなっている個体が存在する。

 

日本では杉など、植林した木の皮をシカが食べ、木を枯らしてしまうということがある。これは、シカが木の皮を一周食べきったことで起こる。それ以外(一部の皮を食べる)では、木が枯れることはない。

 

この現象は、わたしたち人間がシカたちに強制的に住まわせている劣化した環境に問題あり起こる。

 

劣化した環境では悪循環が起こる。

 

たとえば、劣化した環境で、少ない植物をシカが食べることにより、小動物や昆虫、鳥などがその地で生活できず、他に移動をし、その地は生物の多様性に乏しい環境になってしまう。

 

これを「シカが生態系を破壊している」というのは誤りであるとわたしは思っている。

 

シカは、荒廃した地で生きるための活動を行っているだけであり、その生活をシカたちに強いているのは、豊かな自然環境を破壊したわたしたちである。

 

シカたちが生態系を破壊しているのではなく、生態系を破壊しているのは「わたしたち人間」であるということだ。

 

荒れた地にシカが生息しているのは、生態系の回復の最初であるのではなかろうかとわたしは考えている。

 

荒れた地に適応して生きようとしているシカは、今後長い年月をかけ、山に息吹を吹き込んでくれるのではないかと推測している。

 

そのためには、まず、わたしたちが現状の山を野生動物にとって食料豊かで、健康な自然環境に整えなくてはいけない。

 

なぜかというと、劣化した地に適応した種だが、何らかの要因で個体数を著しく低下させる可能性もあるからだ(そのため適応したにも関わらず絶滅してしまう可能性があるからだ)。その中には、環境収容力が超えると多くの個体が餓死するということがあるが、劣化した地だとこのスピードもはやいのではないかと思う。

 

健全な自然環境では、種の絶滅が起こらぬよう、自然環境とシカが環境にあった個体数調節をするが、そうでない劣化した環境では、いつどこで絶滅が起こるかわからないだろう。

 

生物の多様性の重要さを認識したうえで、持続可能性を理解し、それを目標としているのであれば、たとえ、農作物損失を引き起こしている種であっても、劣化した地に適応しようとしている種を大事にしなければいけない(種の多様性の相互関係や持続可能性を理解しているのであれば必然的にその種も大事にするだろう)。

 

わたしたちは、本来の目的、農作物の損失を防ぐといった活動に従事すべきだ。そうすることで、農作物の損失を防ぐことはできる。

 

自然環境を保護し、野生動物の生息地の拡大や環境の質の向上を行わず、野生動物を殺し利活用するという発想は、持続可能性への理解に欠けているのではなかろうか。

 

健全な自然環境を構築しているのは、ここに棲む生物たちである。その種たちのおかげで、わたしたちはきれいな空気や水、食料などを得る今の暮らしができているのだ。

 

過去に絶滅した種の多くは、狩猟(や乱獲)が原因で地球上から姿を消している。

 

現在、ジビエを持続可能だと謳い、無数のシカを殺して、人間の利益のため利用しているのはあらゆる方向から危険である。

 

地球の健康、種の多様性、持続可能性についてよく調べ学んでほしいと思った。

 

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