野生動物の身体の一部である皮を利用して、革製品にすることを「エコでサスティナブル」ということが散見される、本当にそうなのだろうか?
まず、理由づけがどうであれ、野生動物を殺すこと自体が、自然生態系に混乱を招き生態系を破壊する行為であることから、サスティナブルではない。
現在、わたしたちの社会では、鹿や猪などを「害獣」と言って虐殺しているが、鹿や猪は自然生態系の一部であり、その者たちの存在があって自然生態系が維持されている。
他の動植物との相互関係が成り立っており、鹿や猪の存在が消失すると、困る野生生物が多くいる。
たとえば、鳥や昆虫、土壌生物など。植物も影響を受けている。
植物は一見、鹿に食され群集が減少するかに見えるが、地中で根を広げる植物もある。
植物が元気に植生する土壌を助けるのは、鹿や猪、他の動物の糞など、動物のそのものの存在。鹿などが移動をしてできた窪んだ爪痕には、窪みに種や水分がたまりやすく、植物が発芽しやすい。山における鹿や猪の存在は大きい。
鹿は植物を食べるが、食べ物が比較的ある季節は、葉っぱの先端を食べる。なので、草は枯れることなく生息することがほとんどだ(が、食料がない環境だと状況は変わる)。
野生動物を「資源」として利用するために「害獣」というレッテルを貼り、野生動物を堂々と殺害しているところからもサスティナビリとは違うものだ。
「害獣」として殺される動物を「無駄」にしないと言い、その者の身体の一部を利用してい作られる革製品だが、まず、野生動物を殺さないようにしよう。
殺さないことは「無駄」と思うことをなくす最もな行為だ。
殺した生き物の身体の一部をわたしたちが使用する物に仕上げるまで、どのような物質を使い製品にしているのだろうか?
殺した動物から、身体の一部である革を剥ぎ取るのだから、もちろん菌やバクテリアなどがいる。それらから腐食や軟化を防ぐために大量の化学物質が使われる。
なめしのプロセスは、皮膚のコラーゲンまたはタンパク質繊維を安定させて、実際に生分解を停止させる。そうしないと、革がクローゼットの中で腐ってしまうのだそうだ。
毛皮の保存と染色には、アンモニア、ホルムアルデヒド、過酸化水素、その他のクロム酸塩および漂白剤とともに、さまざまな塩も使用される。
六価クロムはアスベストと並ぶ2大発がん性物質であり、皮膚がんや呼吸器系のガンの発生率が高い。
そして、革製品の加工や仕上げの工程で大量の水が所費されている。自然環境保護活動団体、グリンピースによると、1足のカーフレザーの靴を生産するために使われる水の量は、およそ8,000リットルにも達するそうだ。
皮なめし工場からの廃棄物には、タンパク質、髪の毛、塩、石灰スラッジ、硫化物、酸など、他の汚染物質も大量に含まれている。
なめし工場の近くの有毒な地下水は、周辺地域の住民に健康上の問題を引き起こした。米国疾病予防管理センターは、ケンタッキー州の1つの皮なめし工場の近くに住む住民の白血病の発生率が全国平均の5倍であることを発見した。
伝統的な皮革なめし産業で環境にやさしいと利用されている植物タンニン(アカシア属)だが、比較的高濃度で環境損傷の懸念を引き起こす可能性があるという研究結果がある。
・参考https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15195805/
クロムより、植物タンニンを使用する方が自然環境に害が少ないと考えられているというだけで、植物タンニンを使用したなめし工程が、自然環境や自然動植物に無害(毒性がない)ということではない。
毛皮、皮革の生産は、気候変動、土地の荒廃、汚染、水質汚染の一因になっている。
レザー製品は数多くの動物に苦しみを与え、地球自然環境を汚染する。
レザーについて、「あなたはあなたの犬の皮を身に付けますか?」と聞かれると、「NO!」と言うのではないだろうか?
殺され皮を剥ぎ取られている動物は、種が違うというだけで、犬や猫たちやわたしたちと同じ動物だ。
現在は、残酷で動物たちの苦しみを生みださない、植物レザーがある。
パイナップルの葉やキノコ、リンゴ、ブドウ、ココナッツウォーター、サボテン、桑の葉、バナナなど。
動物を犠牲にしないということは、地球自然環境にやさしい、本来のエコロジー、サステナビリティになる。
動物たちや自然環境に配慮した思いやりある選択をわたしたちにはできる。
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他の参考文献
・Summer Edwards,"The Environmental Impacts of Leather",(May 2, 2016).https://www.tortoiseandladygrey.com/2016/05/02/environmental-impacts-leather-fashion/
・ "Wool, Fur, and Leather: Hazardous to the Environment."PetA.Accessed18 February 2021.https://www.peta.org/issues/animals-used-for-clothing/animals-used-clothing-factsheets/wool-fur-leather-hazardous-environment/