鹿たちと出合ってから、鹿や猪、アライグマ、熊(やその他の野生動物)たちが直面している問題を知るようになった。
野生動物が生活をする自然環境の破壊や汚染、狩猟、疾病、気候変動の影響が拡大し、野生動物たちに衝撃的な危機をもたらしている。
2020年9月に世界自然保護基金(WWF)は、世界の野生生物の個体数がわずか40年あまりで平均68%減ったとする報告書を発表している。
しかし、わたしたちの社会では、鹿や猪の個体数が爆発的に増えているなど言われている。
本当に個体数は増えているのだろうか?
野生動物の個体数調査はハンターの目撃証言が主になっているようだが、「○○という動物を○○で○頭見た」という証言だけで、正確な個体数を知ることができるのだろうか?(目撃証言だけではわからないよね、と思う)。
わたしが以前、参加した野生動物のシンポジュームでは、猪については、個体数が全く把握できていないと言っていた。
ベイズ法を用いて個体数調査をしているところもあるが、その正確性について問題点が指摘されている。
「個体数が増えた」と言っているが、その信ぴょう性に疑問があるし、落ち着いて考えると、
「増えた」ということに、いろんな疑問が出てくる。
野生動物の生息地が急速で大規模に日々減少していることから考えると、自然環境破壊→野生動物の生息地減少→野生動物の個体数減少となるのではないかと(WWFの報告書からもそう言える)。
生活エリアを失った動物たちは、移動をしながら新たに生活できる環境を探す。
しかし、その環境が見つからない場合、食糧を探し歩くなどして、人里への行き来がやむをえなくなる。
そのような行動をしてると、動物は人目につきやすくなる。
人目につくと、鹿や猪、熊などが「増えた」と勘違いする人間もいるだろう。
野生動物の生息地については、毎日減少していることから、野生動物が爆発的に増える可能性は、かなり低いのではと思う。生息地を失えば、生存できないし、狩猟や気候変動、疫病など、個体数減少を招く他の要因も加わる。
生息地を人間によって奪われた動物たちが行き場を無くし、人目につくとどうなるだろうか?
目についた者を人間は大人数でよってたたく、ということが起こる(ことが多い)。
種が異なる、というならなおさらだ(現在、わたしたちの社会では差別がひどいので)。
これは、人間同士でもよくあることだ。目立つとたたかれ、潰されてしまう。
たたく者はたたける相手、自分より弱い立場に置かれた者や弱い者をたたく。
そうなると、たたく者は個体数についてはどうでもよくなってくるのではと思う。
実際、熊は個体数が減少しているにも関わらず、人間の目につくと、ほとんどの者が殺害されている。
WWFの報告書にあるように、野生動物は減少をたどっている。野生動物が増えた、ということは、よく調査して、慎重に言うべきことだと思う。
まれに、環境に適応して、個体数が爆発的に増加する種も存在すると思うが、それは一時にすぎない。
増加した個体数は、その後減少するという報告があるので、わたしたちは何も事を起こさないでいい、という場合がほとんどだ。
どういったことから、野生動物の個体数が増えたと断言できるのだろうか?
農作物の被害が多い?目撃証言が多数ある?などだろうか?
しかし、これはただ、目の前で見えていることを言っているだけにすぎない。
「なぜ、農作物被害が多くなっているのか」「なぜ、目撃されるようになっているのか」を綿密に調査するべきではないのだろうか。
簡単に、「個体数が増えたから」と断言できることではないなと思う。
社会で一般的に言われていることについて、いったん立ち止まり落ち着いて考えてみると、「あれ?これおかしくない?」と思う内容がたくさんある。
なので、一般化されていることに疑問を持ってみる、ということが大切なんだと思う。
でないと、一般的になっていることが誤りであった場合、それを正すことができない。
誤りからはよい結果は生まれないと思うので、「おかしくない?」「これ、おかしいよ」と思ったら調べて自分なりに整理をしていき、おかしなことに参加しないようにしたい。
一般的になっていることや言われていることは「普通」となり、違和感がないことも多いが、その普通となっていることに疑問を持ってみると、世界が広がり新しい知識や情報などを知るきっかけにもなる。
お昼に珍しく室内に入ってきた鹿ののぞみちゃん(♀推定3歳)。
犬のひよりちゃん(♀7歳)も鹿のすぐるちゃん(♂3歳)ものんびりと昼休み~。
思い込みや過度の単純化を防ぐためにもクリティカル・シンキングに磨きをかけることはいいと思う。
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