熊森協会が山で暮らすクマたちにドングリを運んでいることについてさまざまな意見をみたので、わたしもこのことについて考えようと思いました。
まず、山で暮らすクマたちの状況は「生存地の減少、食糧不足」で大変困っています。
「山に食べものがないと『勘違い』している人がいる」と書かれた記事もありますが、どのようなことから言えるのでしょうか。野生動物の行動や山、山里で実際起きていることをみると、このようなことは言えないはずです。
種の移動について、それが生態系の脅威になるのかを考えると、ならないとわたしは思います。
なぜなら、生態系(自然環境)はずっと現状を維持しているのではなく流動し続けます。
ドングリの移動は生態系に変化をもたらすかもしれませんが、種の移動はわたしたちが意図的に行わなくても、ずっと昔から常に毎日起きており、それらにより地球という自然環境があります(もちろん他の要因もあります)。
生態系は種の移動や種の変化などがあり機能しているということです。
地域特有の種と言われているのは、何十年も前からそこに自生しているというだけで、その以前は植物種が風や誰かなどによってその地へ運ばれ根付き分布するといった、このような繰り返しが自然環境であります。
在来動物と言われている種についても、何十年、何百年前に、この地に移動してきた者たちかもしれず、種は常に移動するものであることから、種に在来種、外来種と定義付けるものではないとわたしは思います。
種の移動について、専門家などに意見を聞くことも大事ですが、専門家であっても推測できないところもある、というのがこの自然環境であり、動植物の相互関係であると思います。
種の移動が生態系の脅威になると推測していても、実際はその真逆ということの方がはるかに多く、生物にとって環境がよくなり生物の多様性が増すことが報告されています。
もし、種の移動が生態系に問題であるなら、わたしたちは山に入ることも、他の都道府県に移動することや物、動植物の移動など、すべてやめないといけません。
しかし、それは非現実的なので、人為的、意図的な種の移動を回避する対策は必要だと思いますが(本来の種の移動に近づけるという意味で)、対策を行っていたとしても、それがうまく機能するかは疑問です。
そして、山で生活をするクマにドングリなどを運ぶことが「餌付けになる?」のかを考えると、現在クマは食べ物に大変困っているわけで、そのクマたちに食料を提供するのは「餌付け」ではなく、「救護」です。
昨年、オーストラリアの大規模森林火災で棲む場所や食料を失った動物に政府がニンジンをヘリから投下していました。
背景に異なりはありますが、困っている者がいれば助けるということに変わりはないと思います。
そもそも、野生動物たちが棲む場所や食べ物に困っているのはわたしたちの活動が原因です。わたしたちは自分たちが行ってきたことに責任を持ち、今できるベストなことを行うべきだと考えます。
今ある自然環境を守り維持することは大事ですが、現状の維持「だけ」に目を奪われていると、生態系という根幹を見落としてしまうので気をつけたいです。
ドングリは、大型のクマだけではなく、小さな昆虫、小動物など多くの動物たちが好む実です。だからこそ、不足しないように山には実のなる樹木が必要なのです。
わたしたちは将来にわたり生態系が機能する自然環境を守ることに尽力すべきで、それに必要なのが、動植物の多様性なのです。
現在、地球で行っているわたしたちの活動、自然環境破壊や汚染、「駆除」などが、生態系には脅威であり、大きすぎる問題です。
今、実際に困っている動物たちを救護しながら、生きものたちが生活に困ることのない自然環境を整え作っていくことがよいと考えます。
参考文献
・『なぜわれわれは外来生物を受け入れるのか』 著クリス・D・トマス
・『外来種は本当に悪者か?』著フレッド・ピアス
・『外来種のウソ・ホントを科学する』著ケン・トムソン
・『超訳 種の起源』著チャールズ・ダーウィン
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